ミッションとそれに関する部品

ギヤを変速する際に、スムーズでしやすいもの、そうでないものもあります。
古いバイクの場合スムーズに変速できれば全て良い、というわけではありません。
簡単にシフトできるものは、逆に簡単にギヤ抜けする場合もあります。
以前のブログにも書きましたが、
正確にギヤを入れてから抜けるものは、
ギヤ抜けで、そうでなくきちんと入っていなくて
ニュートラルみたいになるのはシフトミスです。
全然違います。
どこまでを古いバイクというかは人それぞれだと思いますが、
当社で扱うもので言えば、カワサキZ系、J系、ニンジャがメインです。
この大きく分けて3種類で、正常なものでもシフトがスムーズにしやすいもの
そうでないものがあります。
当社のこのシフトしやすい基準は、トランスミッションアンダーカット加工を
されていない車種のものでも、当社でエンジンオーバーホール時に加工を施したもの、
あるいは最初からされている車種基準で、ほぼ同条件にアンダーカット加工されて
いる、あるいは加工した場合で考えています。
GPZ900Rや空冷最終モデルのGPZ1100F等は最初から施されています。
アンダーカット加工については2014年6月20日分のブログでご確認ください。
簡単に言えばZ系のZ1~Z1000MK2はしやすく、
J系、GPZ900Rはやや渋いといっていいと思います。
このギヤシフトがスムーズにできるか、やや渋いかの違いは
ギヤの爪の数の違いが一番影響あります。
こちら爪3個タイプ
DSC00271.JPG
こちら形状が違いますが、爪6個タイプ
DSC00270.JPG
この写真はどちらもZ2のものですが、ギヤによって
3個爪の箇所と6個爪のものがあります。
これによりスムーズにギヤシフトしやすいものと、
そうでないものが出てきます。
これはZ1100Rのものでその爪の数がすべて6個ずつあります。
DSC09209.JPG
よって、Z1系よりは変速はややスムーズさにかけます。
これはZ1000R1のものですが組み立てるとこうなります。
DSC03378.JPG
隣り合う爪の部分が噛み合ってエンジンのパワーをフロントスプロケットに出力します。
もちろん爪の数が多いからダメということではなく、
カワサキの方で、ギヤ抜けをしないように、耐久性がより高いように
ということを、シフトのスムーズさより優先した結果だと思います。
当社でもそうです。ギヤヌケが起きればエンジンを降ろして、
クランクケースをバラすとてもお金のかかる修理になりますから。
次に、ミッション変速のしやすさに関係するのがクラッチです。
これはZ1000R1用強化クラッチです。
DSC03716.JPG
このクラッチは向かって右側(ねずみ色)のプレートにも
滑りにくいように表面処理が施されています。
当社でエンジンOH時、純正プレートに同様の処理を行います。
そうするとクラッチは滑りにくくなるのですが、
同時にクラッチレバーを握った時の切れは悪くなります。
となるとどうなるかといえば、クラッチを握っていても、
完全に切れておらずやや引きずった感じになります。
ほんの少しだけ半クラッチになっているとでもいいましょうか。
エンジンが完全に暖まってオイルも柔らかくなり、クリアランスが
正常になると、クラッチを完全に握った際にバイクが前進するほどでは
ないのですが、実際にはほんの少しクラッチがつながった感じには
なっているということです。
そうなると上記写真で紹介したギヤの爪の部分が軽く噛み合ったまま、
ギヤシフトの際抜かれることになり、スムーズに変速できなくなって
しまうのです。アンダーカットが施されていればギヤが抜けない場合もあります。
これが6個爪のほうが3個爪の場合より顕著にでて
渋さが感じられます。6個の方が接触面積が増えるのと、
爪と爪の感覚が6個で60度と、3個で120度では大きう違うので
通常無意識で行うシフトのタイミングを正確に合わせないと
いけないのも関係あると思います。
話がそれましたが、クラッチは使っていくうちに減っていきます。
そして自然に引きずりも減っていき変速がスムーズにできるようになります。
そういう話になると、クラッチの遊びの調整も重要で、これが適切でないと、
クラッチが完全に切れない状態で変速することになり、スムーズに
ギヤシフトできなくなります。
クラッチが切れているかどうかの判断が解りにくい時は、エンジンが完全に暖まった状態で
信号待ちなどでギヤを1速にいれたままクラッチをいつもどうりの握り方で握り、
(例えば指4本で握るとか、2本で握るとか)
車体が前にじわじわ進まないかどうか、当然進んでいる場合は
クラッチが切れていない状態なので、遊びを調整するか、
握り方を変えたりします。
またこれもエンジンが暖まっている状態での確認となりますが、
ニュートラルがすぐにでるかでも判断できます。
暖まっていてもでにくい時はクラッチが切れていないかもしれません。
バイクは半クラッチでもシフトできますが、ミッション爪の部分は
確実に痛みます。きちんと切れた状態でシフトできる方が良いと思います。
早いバイクで本気の全開加速の時は難しいですが。
またギヤ側も走って力が加わることによって、出っ張っている部分など、
変速のスムーズさの邪魔になっている部分は自然とならされていき、
こちらも適切にシフトできるようになります。
ただ湿式クラッチはもともと減りにくく(簡単に減っても困る)
ミッションのギヤ自体も頑丈なためなかなかすぐにはスムーズに
動くようにはなりません。
またギヤの方は、力が加わらないとならされないので、
車の後ろについて、全然アクセルを開けないような走りをしていると
本来のスムーズさになるまでかなりの距離を走らないといけなくなります。
当社のOHエンジンのミッションは、
「2000キロ程度は本来の動きになるまでかかります。」
と言って納車していますが、走り方によってはもっとかかる場合もあります。
またZ1系よりはJ系の方が長くかかります。またクラッチの調整は、
J系、刀の方がやや難しく正確にすべきです。
遊びが多くクラッチがきれていないのも良くないですし、
遊びが少なすぎもクラッチを痛めます。
Z1系はそこまでシビアではありません。
またホンダのCB750F等はこんなにかかりません。すぐに
スムーズに動くようになります。
またライディングステップについているリンク周りの構造が
シフトのしやすさに大きく関係します。
当社取り扱いのビトー製はどれもきちんとしていますが、
それ以外のものは、中にはとても悪い商品も有り、
シフトが極端に固く、渋くなるものもあります。
特に古いものは要注意で、有名メーカーのものでも悪いものがあります。
良いライディングステップは、純正よりもシフトがしやすく
節度もよくなります。ダメなものはミッションも痛めますので、
とっとと捨てましょう。

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