楽しめる仕様

整備作業でお預かりした、1100カタナです。
これは整備後の写真です。
DSC03954.JPG
約10年間、不動状態で保管されていたそうです。
再度乗るか、手放すかを迷われていたようですが、
当社に依頼される前に2社ほど問い合わせをして、
2社とも作業は受けられないとの返事をもらった
ようです。
できないことを引き受けて、調子の悪いまま
納車し、「古いからこんなもんですよ」
と言われるより、はるかに良いまともな答え
だと思います。
動かせない状態でしたので、当社増井君が引き取りに
行き、復活させるための見積り、段取りを考え、
了承をいただき復活作業に入りました。
普段から全バラでのフルレストアが当たり前の
当社にとって、最終的にきちんと走るように
できるのは解っているのですが、問題は、
どれだけその費用を抑えられるかです。
今回は当然車検も切れているので、
車検の再取得費用も考えていなければ
いけません。
その中で一番どうすべきか迷ったのは、
最初付いていたノーマルキャブレターを、
再使用するかどうかです。
カタナの純正キャブレターは負圧タイプが
ついていますが、今回のようにまず動く状態に戻す
ことが目的の作業依頼の場合、もし使用可能なら
再使用すべきだと思います。
まず、他の部分は後回しにしてエンジンを
始動することにしました。
すると初爆はあるのですがとても調子が悪く、
原因が純正キャブレターと燃料にあると
推測しガソリンを交換し、キャブを分解して
みました。
10年たっている割には、キャブレター外観は
それほど痛んでいるようには見えませんでしたが、
中身の方はかなり悪い状態でした。
これを見たとき、費用対効果を考えれば、
キャブレターを交換をした方が良いと思いました。
中の部品を多めに換えれば、動き、走るようには
できるのですが、完全に調子を取り戻すのは難しく、
納車後走行中に何度もオーバーフローをおこしたり、
それがおこらなくても、よく使う日常域でよく使う、
アクセル開度半分ぐらいまでのトルクが薄く
なったりします。
これでは何のための1100ccか解りません。
走っていても本来の調子ではなく、見た目は
カタナでも走りはカタナ1100ではないということ
になります。
今回の車両はマフラーも最初から変わって
いたのでなおさらキャブの調子が戻らないと
トルクが出なくなります。
また10年もの不動状態から復活させるときは、
電気まわり、エンジン本体もきちんと機能
するか解りません。
エンジン本体が仮に少し調子が悪い場合でも、
社外品キャブレターならきめ細かく
セッティング変更できるので、対処しやすく
なります。
走っているうちにエンジン本体の調子も
良くなることもあります。
この辺の融通も利くことから今回は
キャブレター交換を提案して了承いただきました。
今回の整備作業は
(細かい部分は省いてます)
車検取得
フロントフォーク分解しての
インナーチューブ交換含む整備、
スイングアームを外して、ベアリング
チェック、グリスアップ
ステムベアリングの動き確認、
カムチェーンテンショナー交換、
エンジンオイル、フィルター交換、
前後ともブレーキのマスターシリンダー、
キャリパーの分解整備、
バッテリー交換、
ヒューズチェック、
前後タイヤ、バルブ交換
ホイールベアリングチェック
クラッチケーブル交換
ガソリン交換
スロットル、キャブレター交換
(キャブレターセッティング含む)
インシュレーター、バンド交換
マフラー集合部の加工
で、調子はどうよ、ということなのですが、
絶好調といってよいレベルになりました。
というか当たりだと思います。このエンジン。
このカタナ、乗っていなくて外観にサビなど
でていますが、エンジンは新車からパワーも
ほとんど落ちておらず、振動もノイズも
増えていません。
つまキャブレター、加工前のマフラーなど、
まわりが足を引っ張っていただけで、
エンジン本体、フレームなど、基本的なところの
程度はとても良かったのです。
手放さなくて本当によかった。
乗ってもキャブレター交換と、マフラー交換で
得たエンジン出力と、あらかじめ変わっていた
リヤショック(イニシャル調整は無段階が良いが)
と基本整備を施した足回りのバランスが良く、
普通に走る分にはとても楽しいのです。
ブレーキも思うよりは効きました。
ファイナルエディションより効くのでは?
さらに速い速度で走るようにとなれば、
部分部分をグレードアップして高い部分で
バランスをとる必要は出てくるでしょう。
ですがノーマルエンジンで吸排気系を変更し、
本来の能力をある程度引き出したエンジンと
足回り基本整備のバランスが日常域での運転で
とても楽しく走れるようになっています。
フルに手を加えた車両もその刺激が楽しいですが、
やはりこのようなノーマルに近い車両もバランス
良く調子よく仕上がれば、(フルノーマルは全くお勧め
しませんが)間違いなくお勧めできる仕様なのです。
DSC03958.JPG

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