FX750製作模様9

前回から間が空いてしまいましたが、FX750製作模様の続きです。
エンジン外観をレストアをします。
このFX750のエンジンはオーナーさんの依頼で
色を塗らず、サンドブラスト仕上げでカバー類は
バフがけとなります。
ブラスト仕上げでも屋内で車両保管できるのであれば、
状態の維持は簡単で、生で見るとアルミ地の独特の質感が
とてもよく高級感があります。
時間がたつと少しずつ色が変わってきますが、
これも味があり空冷エンジンならではの仕様です。
以前働いていたところで、ロールスロイスで少し古い年式の
状態の良い内装を知る経験ができました。
今のクルマの痛みにくい、新車でもややペンキ塗り感がある
高級車の本革シートとは風合いが違い、いかにも痛みそうな
か細い感じの、拡大したら動物の毛穴が見えそうな薄い塗料が
吹いてあるような手作り品!の印象でしたが、
美しいウッドの他の内装部品との組み合わせで
本物の高級品でした。乗ると古い機械でしたが。
エンジンのブラスト仕上げ物は保管の仕方以外は、
特に気を使うことはありませんが、
旧車バイクもあまり質感を失うような仕上げは
避けたいものです。
私はアルミの削りだし部品に一つとっても、
あまりにこねくりまわしたデザインであちこち無駄に
わけの解らない削りが入ったものは好きではありません。
掃除しにくいですし。
本当にいいものはしつこくない。
ブラスト作業でまず紹介するのは、砂が入らないように
マスキングしたものです。
エンジンのカバーが使えるところには、
傷が入っていたりして使えなくなったカバーを使い、
それ以外のところには一般で売られているものよりも
かなり強力なガムテープでマスキングします。
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見えませんが、裏側もマスキングしています。
エンジンの中身部品をすべて抜いて、
エンジンの、外側だけまるごと1機組み立てて
ブラストする方が手間がかからず良いのですが、
どうしてもブラストしにくい部分がたくさんでてきます。
その関係で部品ごとに分けマスキングし、
なるべく丁寧にブラスト作業を行います。
この方が断然隅々までブラストができます。
ヘッドカバーなど、部分的にバフがけの必要がある箇所は、
先にバフがけを行いマスキングしています。
ヘッドカバー端の部分4か所です。後でご紹介します。
ヘッドカバーのバフされている部分を、
すべてブラストすると手間がかからず良いのですが、
これはオーナーさんにとっては良いことではないと
思います。(お客さんから依頼された場合は別)
これは、売る側が手間をかけるのが嫌なので
そうしているだけだと思います。
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ヘッドのマスキングで上から見たところ。
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前から見たところ。
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ななめ後ろから。
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クランクケース上側。
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クランクケース横。
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シリンダー。
中身にひびが入っていて使えなくなったクランクケースを
加工して下側のふたとして、上側は厚めのアルミの
プレートでふたしています。
この下の写真4枚は粗目の砂を使ったブラストが
終わって軽く掃除したところです。
ペーパーがけでいえば粗目の120番とかの
作業が終わったぐらいです。
この後仕上げの砂を使って仕上げます。
最初から仕上げの砂を使ったりして、工程を省いたり
してはダメです。
そうすると錆や塗料を除去しきれない部分が
出てくるからです。
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粗目のブラスト作業が終わったところです。
ここから下は、仕上げの砂を使いブラスト作業が
終わったところです。写真だと解り難いですが、
自然な感じで光沢が出ます。
上と比べて違いがわかるでしょうか。
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この4枚はクランクケースです。
むらがあるように見えるのは洗浄前だからです。
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次にヘッドカバー。
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この部分が先ほど言っていた、
ヘッドカバーのバフがけしている部分です。
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この3枚はシリンダーヘッド。
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この3枚はシリンダー。
続いてエンジンカバー類の紹介です。
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バフがけ前の状態。
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バフがけ後です。
ポイントベースやブローバイボディも
バフがけしています。
エンジンの中身が仮に良くても、外観の仕上げが
悪くてはがっかりです。
古いバイクだからこそ外観もきれいに仕上げ、
最近のバイクとは違う!という部分を見せたいものです。
旧車バイクの金属の部品に塗装したものや、
メッキしたものは、樹脂部品ばかりの最近のバイクとは
明らかに直接見た時の質感、オーラが違います。
旧車バイクのレストア、チューニング車両では、
外観が美しく無理のないものはたいてい中身も良いです。
こてこてぎらぎらに色を塗ってあるものが美しいもの
と言っているわけではありません。
ころ合いが大事です。
したがって外観の美しさは内部にもつながる評価の大切な
要素の一つです。
中身はいいけど外観がボロ。そんなことはありません。

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