燃焼室のカーボン

燃焼室のカーボンのつき方が・・・などの
話を聞くことがあると思います。
1年中、もう20年くらいカワサキZ系、
J系も全てばらして作業する仕事をしていますので、
エンジンを分解して中身を見なくても、
乗ってみればその走り具合で燃焼室のカーボンの
つき方はある程度想像できます。
この写真の燃焼室はS様のMK2で、
純正キャブレターとノーマルマフラーがついている
状態で当社がベース車両として購入したものです。
エンジンのオーバーホールをするのにバラしてます。
DSC01794.JPG
これがこのエンジンのMK2の全体写真です。
程度良さそうでしょ。
当社ではあくまでベースの車両です。
DSC01518(hp).jpg
ちなみ下の写真は先ほどのMK2ヘッドの
(このエンジンはオーバーホール仕様です)
燃焼室の作業が終わったところです。
まだシートカットすり合わせの作業は
行っておりません。
DSC01801.JPG
このようにベースとしては良いものなので
きちんと仕上がります。
オーバーホールエンジンとして、
この燃焼室の作業は丁寧にしすぎで
チューニングエンジンの燃焼室のヘッドに
近くなっています。
一旦作業を始めると勢いでどうしても過剰に
丁寧にしすぎてしまいます。
(料金は変わらないので心配なく)
燃焼室をこのようにするのは大体1日
かかります。
特別な機械などなく地道に手作業です。
このようなことの積み重ねだから、
納車までに時間がかかる。
この写真のMK2もエンジンは普通にかかり、
エンジンが暖まってもプラグの番手が
低ければ走れる状態でした。
それでも燃焼室は先ほどのカーボンの状態。
とてもそのまま売れる状態ではありません。
普通のバイク屋さん、あるいはたくさん旧車を並べて、
割と回転よく旧車を販売するようなお店であれば、
このMK2は店員さんに自信を持って
「調子いいですよ!」
とすすめられるぐらいの品質のものです。
ですがエンジンを分解し燃焼室だけを見てみても
表面はカーボンによりデコボコが多く、
その落差が大きいです。
カーボン自体の蓄積量が多いのもわかります。
写真では紹介していませんが、
エキゾースト側のポートのカーボン量も
相当なものです。
これではとても本来の調子では走れません。
また未燃焼のガソリンが相当量オイルなどにも
混じっていくので、オイル劣化が早く当然
エンジンにもよくありません。
ですがこれがそのへんで走っているZの
普通の状態です。
一般に言われている調子いいは、
知識や経験のない方がみて調子がいいと
言っているだけでで、
解る方がみれば、それは事実ではありません。
高いお金を出してはいてもZを本当の意味で
知っている、楽しんでいるとは言えない状況です。
そこで当社でエンジンオーバーホールしたもので、
そこそこ距離を走った燃焼室はこれ。
DSC08367(hp).jpg
ガスケットをはぎオイルを流し、
プラグ穴の修理を行っていますが
燃焼室はそのままで、この燃焼室を見れば
誰でもその違いが解ります。
薄めに均一な感じでカーボンが付いています。
このエンジンはコスワースピストンにてOH、
プラスFCRキャブレターの組み合わせのものです。
もちろん乗ってもその違いはあきらかで、
燃費も良いのにはるかに加速もよく、
音もよく、その走りは全く別物です。
もちろん当社のものでも、この写真の物より
多少燃焼室表面がデコボコすることはありますが、
(乗り方によっても変わる)
こういう傾向になっているものが多いです。
このエンジンはオーナーさんが変わる時に
メンテナンスのためエンジンを全分解した時に
撮影したものです。
過去に製作模様を記録する為に撮ったものを
紹介している関係で、上の写真と同じ撮り方でなく
すいません。
純正キャブレターはFCRキャブレターなどと違い、
多少は調整できても、エンジンの状態に合わせ、
思うように変えたい開度部分のセッティングを
変えることは出来ません。
キャブレターはとてもちょっとしたことで
調子の変わる繊細な部品です。
たまに新車のようなものがでてきて、
それについているキャブレター、エンジンともに
ほとんど消耗していない状態のものでも、
当時技術的にまだ低い時代のものなので
どうしてもカーボンの蓄積量は多めとなります。
なぜならばセッティングとしては全体的に
濃い目に躾けられているからです。
では薄くすればいいと、多少セッティングを
いじってみても、そうすると途端に加速が
鈍くなったり、回転落ちが悪くなったりしてしまい、
とても使えたものではありません。
こういうこともあり、FCRなどは加速ポンプを
別にもうけ、普段は薄めで走り、加速時
(アクセルを開けるとき)のみ加速ポンプから
燃料を吹きだして燃料を追加する措置を取っているのだと
思います。
その結果、巡航運転の時などは薄めで走れ、
無駄なカーボンもたまらず、加速時には
加速ポンプから燃料がでて加速もよくなります。
MK2の加速ポンプ付きの純正キャブレターも、
まだ技術が未熟な時代で繊細なセッティングはできず、
最初の写真のような状態となります。
CRキャブレターも加速ポンプはつかず、
よく使う低~中開度をきちんと加速するように
するなら、普段から割と濃い目にせざるをえない。
そうすると少しセッティングがずれたりすると
かぶったりするので、その調整は難しい。
かと言ってCRで薄目に調整し走ることができても
それは本来の加速、減速が得られず、全く意味がない。
きちんと加速し、なおかつ、かぶったり、
息つきしたりせずに走れるようにし、
それをするのがセッティングです。
そうでなければ、セッティングしたうちには
入らないということです。時間をかけ、
マスターする価値があります。
(当社の納車時のように、最初にあるセッティングが
あった状態からスタートすればその後は微調整
のみでできるのでなんとかなる。
全く何もデータがない状態からはとても難しい。)
だから口径選びもFCRより、より考えて行わなければ
なりません。口径が大きければ偉いのではありません。
今は交通量も多く、どうしても車の後ろにつき
走る時間が多くなります。
いつもある程度のスピードとエンジン回転数を
保って走ることは難しいです。
となるとどうしてもカーボンの蓄積量は多くなる
使用方法となります。
キャブレター選びは重要です。
エンジンだけよくなっても無意味です。
ただFCR、CRの価格が上がったのはきつい。(泣)

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