FX750製作模様10

間があきましたが、FX750製作模様の続きです。
今回はエンジンヘッド組み立てを途中まで紹介します。
エンジンにしても、車体にしても段取り八分と
良く言ったもので、組み立て前までの各作業の
方がはるかに時間がかかります。
よく一般の方の趣味や、普段車体全体をばらして行う
レストアの仕事をしていない会社で、
ばらしたはいいが、そのままで組み立てまで
持っていくことができず、
ずっと組みあがらないという話を聞きます。
また組み付けまでは持っていくことはできても、
それぞれの各パーツの完成度が低く、
レベルが著しく低いものもあり、
それでは何のためにばらしたのか意味が解りません。
クルマほどではないにしても簡単にできること
ではないとはっきりと言えます。
前にも紹介したかもしれませんが、
当社に来店された方は見たことがあると思われる、
しなければいけない作業を貼ってあるボード。
DSC01889.JPG
上の数字は日にちを書いている感じになってますが、
これは関係ありません。
大体各お客様ごと色分けされており、一人当たり
どれだけ作業項目があるか、見てもらえると解ると
思います。
これを全部作業すると一台完成して、その写真を
撮ったものは最近納めたZ2であれば1500枚程度になる
というわけです。
同じような作業がある場合で、なおかつ準備やかたずけに
時間がかかるもののみ、トータルの作業時間短縮の為、
数人のお客様の作業を連続でおこなったりします。
準備に時間がかからないものは1人分ずつ納期の早い方
(ご注文いただいた順に)から作業を進めています。
話がいきなりそれました。
エンジンはクランクケースから組みたてても良いのですが、
当社は狭いので先に大きなクランクケースから
組み立て始めると、作業スペースが確保しにくくなるので、
段取りが良ければヘッドから先に組みます。
DSC01197.JPG
ヘッドの各作業、
ポートのカーボン落とし、段つき修整、
ある程度研磨、
燃焼室のカーボン落とし、ある程度研磨
バルブシートカットすり合わせ、
修整面研、外観サンドブラスト、各部バリ取り
バルブガイドの点検、
外観をサンドブラスト、プラグ穴清掃
が終わり、洗浄して乾いた状態になったヘッド。
DSC01198.JPG
カーボン落とし、消耗具合のチェック、
振れ、曲がりのチェック、
フェイス傷、へこみのチェック、
すり合わせも終わったバルブ。
バルブは毎回新品に変える必要はなく、
消耗していたり、悪ければ交換します。
組み付けミスを防ぐため、番号は書いたままにして
おきます。
ポンチでバルブに番号のしるしを打っているものを
見かけることもありますが、、
わざわざ傷をつけるのは好きではなく
私が行うことはありません。
よってマジックで書き順番に並べるだけ。
DSC01201.JPG
これは今回使用するバルブスプリング、
他車種の物を使ってます。
なんでも強化型にすればよいというものでは
ありません。強すぎればその分回転時の抵抗は
増すわけで、車種やエンジンの仕様によって
スプリングをチョイスします。
ハイカムを使っていないのに強いスプリングを
組み付けるのは、回転抵抗を増やすだけで
意味がないと思います。必要なものを適所に。
Z系はJ系、ローソン系よりピストンとバルブの
隙間に余裕があるのでなおさらです。
(使うピストン形状により変わります)
DSC01204.JPG
スプリングシート、これは純正の物を使います。
これも普段は交換の必要はありません。
ハイカムを組み付ける際に、このシートの厚さを
変えてくださいとなっていることがありますが、
当社のチューニングエンジンでは普段使いません。
DSC01202.JPG
ヘッドにスプリングシートを組み付ける前。
DSC01205.JPG
組み付けた後。
DSC01210.JPG
バルブステムシール。
社外品も売られていますが、当社では純正品を使います。
ゴム関連は社外品を信用していないので値段が高くても
純正品を使います。
(仮に同じ品質のものだと言われていても)
DSC01215.JPG
ステムシールまで組み付けたところ。
組み付け忘れなどを防ぐため、
こういう部品は1つずつではなく、
IN側4個、EX側4個とそれぞれ組み付けて
いきます。
DSC01217.JPG
EX側から組み付けしてます。
ヘッドを立て、バルブまで組み付けたところ。
これも同じく4本ずつ組み付けます。
DSC01218.JPG
このFX750は等長タイプがついていましたが、
このエンジンには先ほどの不等長タイプの
バルブスプリングを組みます。密度が高い方がヘッド側。
純正のZ系はほとんど等長タイプがついていますが
後期モデルでは不等長タイプがついているものも
あります。
DSC01228.JPG
スプリングを組み付けたところ。
DSC01230.JPG
リテーナーを組み付けたところ。
今回はオーバーホール仕様のエンジンで
アウターシム用のリテーナーです。
コッターは丁寧に正確に組み付けます。
コッター、リテーナーとも通常痛んだり
消耗したりはせず、再使用です。
チューニングエンジンでリテーナーの
軽量化をねらいチタンだったり、
アルミを使用すれば減ったりしますので、
定期的に消耗具合を確認したりした方が
良いと思います。
通常のエンジンでそこまで使う必要はなく、
当社ではメンテナンスのことを考え、
組み付けることはありません。
ここまできたら、向きをかえIN側を同様に組みます。
DSC01225.JPG
IN側のバルブ。
DSC01227.JPG
リテーナー。
リテーナーはIN、EX共に同じもの。
DSC01232.JPG
IN側も組み付けました。
DSC01233.JPG
バルブ位置も間違うことなく
組みつけができています。

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