定常旋回長い短いの話

時間が足りなかったので文が変な感じに
なっておりますがご容赦ください。

圧倒的に優れた技術を持っており、
規模も大きい会社が、
それに比例して実際に良い商品を作り、
販売しているとは限らない。

逆に小さな会社、
ランク付けでは下位である会社が、
良い物を作り、実際に高い評価を
受けることもある。

また、良い商品、悪い商品とは別に、
自分に合う、合わないということもある。
実はこれがとても重要。

他の人が薦めてくれたから、自分も買ってみた。
だが、どうもしっくりこない、
今まで使っていた物の方が良かった。
ということもよくありますよね。

これは新しいバイク、古いバイクにも
当てはまることがあります。

技術者の話を聞いていると、
今度の商品はこの部分が進化している、
今までの物はこうだった、
この部分を変更して素晴らしい商品に
なった。

その技術者にとって素晴らしいことも、
私達個人には合わないことも多くあるのです。
もし生きている中で、1台でも自分にあっている
これというバイクにめぐり合えたなら、
本当に幸せなことだと思います。
その1台に合えない人がほとんどなのですから。

若い時には色々試すのが良いと思うのですが、
そろそろ上がりのバイクだ、なんて考えが
時々頭に浮かぶような年齢になってきた時に、
全く一貫性のない、走りの面で方向性が
決まらない物選びをしている人を見ると、
とてももったいないと思います。

当社が主に取り扱う70~80年代の古めのバイクを
最初に購入するきっかけとして考えられるのは、
私を含めやはりそのスタイル、見た目から入る方が
経験から多いと感じるのですが、
それ以外の走りの面から、古いバイクと新しいバイクの
方向が違う部分について書きます。

今回の話は主に走りを重視した
バイクについて書いているとお考えください。

ですのでアメリカンや、ツーリングバイクは
当てはまりません。
古いバイク、新しいバイクの良い悪いではなく、
見た目以外の部分で自分に合うか合わないかを
判断する手助けになればと思い書いています。

もしスタイルが気に入って購入し、
休みの日に乗りたい気持ちが起きないのなら、
この部分があっていないのかもしれません。

その違いの一番の根になるのはフレームです。
昔のバイクフレームの剛性が高くありません。
ここから全てはじまっています。

今のバイクや車の様に
フレームの剛性が今ほどには重要だと
言われていなかった時代の乗り物なのです。

と言っても昔から車体剛性の重要さは
解っており、レースなどでは頻繁に
補強などはされていましたが。

70年代~80年代のバイクは鉄パイプを
組み合わせ、作られている物がほとんどです。

弱いからダメ、強いから偉いという話に
なりそうですが、必ずしもそうはならない
ところがサーキットで一番速い人、メーカーを
競う場合と違い、一般道で乗る私達の
面白いところです。
私達は仕事でなく趣味でバイクに乗っていますから、
曲げる時のプロセスが重要です。

一番の根本の違い、
それは古いバイクはコーナーを曲がる時には、
定常旋回をしている時間が長め、
(定常円旋回とも言うのかな?)
新しいバイクの方が、古いバイクより定常旋回
している時間が短い時に走りがしっくりきます。
そこの部分が大きく違います。
古いバイクの方がバンクしている時間が
長い走り方になります。フレーム剛性から
そうならざるを得ないのです。

このコーナーの侵入から定常旋回の長さ、
短さが運転する方に合う合わないが、
バイクを運転して楽しいと感じるか、
感じないか、一つの大きな要素です。

つまり自分の運転の技術、乗り方にこの部分が
あっていないと、購入したては喜んで乗っているものの、
すぐに飽きて乗らなくなり、買い換えるか、
バイクは思うほど楽しくないから辞める、
となるわけです。要は自分にあっていない物を
買っているかもしれないということです。

簡単に、少し大袈裟に書くと、
新しいバイクで走りを重視したものは
コーナー侵入で強めにブレーキをかけフロントに
荷重をかけバンクさせクルッと回りその後バイクを
起こし立ちあがる。このバイクを寝かしている時間が
古いバイクより短め。

この走りを実際に実現するには変形の少ない
荷重に耐えられる高いフレームの剛性が
必要になります。

そうなればそのフレームに合わせ、強度の高い
フロントフォークや、ゴツいスイングアーム
が必要です。
フレームが強くても、他がグニャグニャでは役に
立ちませんので。
さらに太いタイヤ、17インチホイールなどと
なったりします。

古いバイクは強くブレーキをかけると
フレームが変形するので、そこまでフレームが
荷重を受け切れず、そのような走りは向いていません。
運転の上手い人が走れば、何でも乗りこなしますが、
それは修行の様なもので、一般的なバイク乗りには
当てはまりません。苦労がしたいわけではない。

古いバイクはそのにフレームに補強を施せますが、
補強ができる箇所は限られており、
補強するからと言って大幅に強度が上がるわけでは
なく、走りの根本は変えられないのです。
(当社無料メルマガ会員、旧車バイクユーザー支援会
のメルマガ、フレームについてで
このことは書いています)

つまりコーナー侵入で現代のバイクの様に
ブレーキを強くかけ大きな荷重はかけられない。
つまり新しいバイクの様にクルッと旋回できない。

古いバイクのフレームは変形する。
そこで現代のバイクの様に
強くブレーキをかけ、クルッと回り
立ちあがるのではなく、
現代のバイクに比べ、そこまで侵入時に強く
ブレーキをかけず侵入し、バイクを寝かして
定常旋回している時間が長めとなり、
その後加速、立ちあがる。
という走り方があっています。

私達が古いバイクで一般道で頑張って
ブレーキをかけ進入しても、
現代のバイクの様には走れません。
その根本はフレームの剛性にあるわけです。

つまりあらかじめ曲がり具合が解る、
サーキットを走る、良く知った道を
行ったり来たりするような、
進入でフロントブレーキを強くかけ高荷重で走るなら
(サーキットと峠路では大きく荷重が違いますが)
もっと高荷重に耐えられる元から強いフレーム、
それに合わせた車体づくりの方があっています。

カワサキZ系などでサーキットを本気で走る方が
フレームの剛性が高い方向、
(フレームそのものを作ってみたり)
足回りの部品も高剛性、そして17インチの太いホイール
の方に進んでいくのは現在のバイクに近づけていると
言えると思います。

ただし、そうはいっても古いバイクを
そちらの方向で改造していく際には、
一般道で乗るとデメリットの部分も
いろいろ出てくるので、
特定の場所で、高い荷重で乗るための
スペシャルバイクと言えます。

ほとんど方にとっては一般道で乗るには
ストレスの多いバイクとなるでしょう。
そのデメリットも解った上でそちらの方向に
改造するのは自由で、それを希望するのなら
それに合う店を選ぶのが良いです。

逆に言えば当社の様な店には
そのような改造をさせるのは合わないのです。

まず、考えておきたいのは、一般道で運転する
私達が、めいいっぱい好きなように自分の限界で
ブレーキングできる、好きなように飛ばせる状況で、
どれだけ走れるでしょうか。

知らない道、あるいは知っている道でも、
先が見通せない状況、あるいは好きなように
スピードを出すことができないことが
ほとんどの中でバイクを走らせていませんか。

そうなればめいいっぱいブレーキングすることは
とても少なく、そもそもフレーム剛性が
そこまで高い必要があるのでしょうか。
フレーム剛性が高いことで、かえって失った物は
ないのでしょうか。

フレームの剛性が高くない古いバイクは
ダメなのでしょうか。そこを知る必要があります。

先ほど書いたように古いバイクに補強を施しても
それほど数値的には剛性が高くなりません。

ですが、走りの面では向上が見られます。
これは力のかかる時間が関係あり、
強く力がかかる時間が短ければ、
フレームのネックなどに補強を施すことにより
その力がかかっても変形が全体には伝わらないので、
走りは向上します。

つまり数値としては大した向上ではないけれど、
実際に荷重がかかる時間が短ければ、
それによる変形が一部にしか起きず、
またその変形自体もなるべく抑えられるように
補強を施せば、その他のフレーム部分に変形が
伝わりにくくなるので、
乗っての印象は全体が剛性が高いフレームの様な
走りになる。

つまり一般道で乗る際にはサーキットの様に
長い時間負荷が連続でかかることはほとんどないので
本気で走ってもきちんと走れます。
しかも懐が広く扱いやすい。
扱いやすい理由はこれから書きます。

このように一般道で走る場合には、
古いバイクでも速いペースでも充分に走れるということ、
さらに古いバイクには他の面で、私達の様な
一般ユーザーが一般道で乗る時には、
いろいろ良いところがあります。

それはセッティングがドンピシャでなくても
走れるということ。
私達が一般道を走っていると、走る場所により
道が綺麗なところもあれば、ギャップがあったり、
わだちがあったり滑りやすかったりします。
走行条件がころころ変わります。

そういう走行条件が変わっても、
フレーム自体もしなったり曲がったりしながら
ショックを吸収、緊張感を減らして走らせてくれます。
ですから状況が変わり、足まわりのセッティングが
多少ずれていてもそれなりに走れます。

また足回りのパーツがそれほど優秀、高性能の
物でなく、しなやかに動かなくても、フレーム側で
それに対応してくれているのです。

これがフレーム剛性が高いバイクなら、
足回りも優秀でなくてはいけません。
これでセッティングが決まれば、
素晴らしく良く走ります。
要はピンポイントに、シビアになりやすい
傾向です。

セッティングのずれというと
どこか几帳面で、神経質な感じがしますが、
これはサスのへたり、タイヤの消耗なども
関係してきます。
新車の時やオーバーホールしたての時は良いですが
そこから劣化していきます。

その劣化などの消耗に対しても
フレームがおおらかに対応してくれるので、
少しぐらいへたったり、タイヤが減ったり
やや硬化などしても愉しく乗れるのです。

ご自分で古いバイクを改造したりする方も
いますが、それがうまくいっていなくても
それなりに走れるのは、そのフレームのおかげです。

また、ほとんどの方は維持にそれほど費用は
使いたくないものです。
少しタイヤが減ったぐらいなら、
もうちょっといける、と思いたいのでは
ないでしょうか。性能の劣化が解っても。
私もそういうタイプです。
タイヤは高いです。

また、扱う人間によっても変わります。

私たち人間は日々ストレスがあったり、
体調が変わったりして、乗る側もその日によって
上手く扱える日もあればそうでない日もあります。

これもセッティングがずれているのと同様です。

今日は上手く扱えない、乗れないといういう日が
あって当たり前なのですが、それを古いバイクの
高くないフレーム剛性が、多少扱いが上手く
できていなくても、それが顕著に曲がらない
乗りにくいと感じることにつながらず、
結果楽しく乗れ、気分転換になるわけです。

つまりフレームの剛性が高くなるほどに
あいまいなセッティングは受け付けなくなる方向
だと言えると思います。
つまり足回りのセッティングはきちんと、正確に
行われていなければ、乗っていても楽しくなく、
あるいは本来の魅力、性能を感じることができません。

ですから、新しいバイクを買うのなら、
ぜひセッティング技術が高い店を探し、
作業してもらうことをお勧めします。
できる店は少ないと思いますし、
多少職人的で、気難しい人がいるかもしれませんが。

またフレーム剛性が高いバイクは
運転の仕方も技術が求められます。

だから私の様な並みの運転レベルの人間が乗っても
上手く曲げられず、乗りこなせないから、
バイクを操っている感じがせずに、
乗せられている感がすごくあって全く楽しくない。
つまり合わないのです。

たまにめでたい人で、この乗せられていることに
本人は全く気付いておらず、
「今度買った新しいバイクいいんだよ」
と言いつつノーマルの古いバイクに
簡単に抜かれてしまう方がいますが、
これは運転の技術とバイクがあっていない。

そういう方は鉄フレームのそれなりの
フレーム剛性の物の方が、きっと上手く
扱えるでしょう。

また新しいバイクを上手く扱えない状況だと
乗っていて事故や転倒も間違いなく増える
でしょうね。

それなりの年齢のリターンライダーが
しばらくぶりに現代のバイク乗った時に
上手く扱えず事故などを起こすのは、
上手く旋回させることができずに
乗りこなせないのも関係あると思います。

つまり高剛性のフレームはきちんと足回りも
セッティングし、それを存分に引き出せる環境
(走る条件)も整い、運転する側のスキルが
存分にあるのなら、その方にとっては、
最高に楽しい乗り物なのです。

ところが日によって使い方が違う、
今日はツーリングに使いたい。
時間があるので、気晴らしに少し軽く走ろう。
たまには通勤に使ってみよう。

飛ばすのは好きだけど、同じ所をずっと
グルグル走り続けるわけではなく、
ツーリングの途中でよい道があったら、
思いきって走る。
など、幅のある使い方の場合、
(この様な方が多いと思います)

古いバイクの様な鉄フレーム、
前後18インチ、あるいはフロント19インチ、
またはアルミフレームでも
押し出し材のややしなやか時代のフレームの方が
扱いやすい、つまり自分に合っていると言えるのです。

バイクを飾るだけの趣味の方は
何でも良いと思いますが、
実際に乗って楽しむ方がほとんどだと思います。

その中で、技術者の言う剛性何%アップが
自分にとってプラスになるか、自分の乗り方に
あっているかどうかは別の話です。

全く今までバイクを所有したことがなかったり、
それなりの距離を走ったことがない
全くの初心者であれば自分の好みと
言うのは解らないと思いますが、

もし数台乗って経験のある方なら、
あのバイクは乗って楽しかった、
友達のバイクを借りて乗ってみたが、
なんか乗りにくくて楽しめなかった。
そういうことを感じたことがあると思います。

私がお勧めするのは、
乗って楽しめたバイクを
あるいはそれに近いモデルを購入し、
より自分の理想に近づけることです。
もっとパワーが欲しい。
もっとブレーキが効いてほしい。
軽く曲がって欲しい。
その全ての元になるのがフレームです。

自分の乗りかた、曲げる技術、リズムが
合わないバイクは、結局どう改造しようが
根のフレーム部分が合わないので、
何をどうあがこうが結局自分には合わない
バイクなのです。

私に合わないのは水冷のGPZ1100ですね。
全く合いません。ニンジャは好きですが。
人が良かったと思うものでなく、
最後は自分で自分に合うと思うものを手に入れるのです。

高速道路で安定感があって、他の道も
そこそこ走れるというよりも、
ご自分が峠路や、交差点でも、
旋回性が高く楽しい物が好みであれば、
そちらを選ぶべきなのです。
なおかつカッコも自分好みであれば最高なのですが。

ここまでの結論として言いたいのは
とにかく走りを追求したいならば
フレーム剛性高い、セッティングがきちんと
でているバイクを勧めます。

いろんな用途で、楽しめるバイクが欲しいのであれば
鉄フレーム車、あるいはそれほどフレーム剛性の高くない
車種がお勧めです。

こういうフレームのバイクには、
タイヤサイズはそれほど太くないものがついていますし、
ホイールのインチ数も18インチ、19インチなどが
ついている物が多いです。

もし両方体験したいのなら、
1台で両方でなく、2台で用途と方向性を
きちんと分ける方が良いと思います。

写真のフレームはZ2のもので、
黒色のフレームはばらしてすぐの写真です。
同じアングルで撮った写真がなかったのですが、
補強前の写真です。

もう一枚は今回書いている特に重要なフレームの
ネック部分に補強を入れた写真です。
この部分にこのような補強を入れる意味が
少しでも解ってもらえたらと思います。
飾りではないのです。
見比べてもらうと解りやすいと思います。

 

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