エンジンオーバーホールのタイミングは?

エンジンオーバーホールは
どれぐらいに一度行えば良いか?
ついて書いてみます。

もちろんこれについては、
車種、使い方、走行距離、保管状況など
要素がバイクごとに違うので、
これが正解などというものがないのですが、
私なりの考えを、一次情報、つまり
人に聞いたなどではなく実際に自分が
経験したことから書きます。

世の中間違った情報が氾濫して
いますが、私自身一番信頼できる情報は
一次情報だと思っています。

20歳くらいから今の整備にかかわる
仕事についています。
今48歳ですので最初の数年は普通の整備士
だったため計算に入れないとしても、
25年以上は今の仕事をしていることになります。

最初に結論を書いてしまうと、
空冷エンジンもので15年くらいから
20年くらいでエンジンオーバーホールするのが
タイミングとしては良いのではないかと
思うようになりました。
(以下オーバーホールはOHと書きます)

ちなみにその空冷エンジンの後に
販売された水冷のバイクで
GPZ900Rなどでは

20年~25年くらいかなと思います。

具体的に書くと、
純正そのまま、新車で販売されてから、
エンジンのメイン部分を開けていないもの、
あるいはきちんと技術のある人が
過去にエンジンフルOHしたとして、
その後トラブルなくエンジンを再度
大きく開ける必要がなかった時、
どちらも空冷エンジンでOH後15年から
20年ぐらいという意味です。
水冷なら20~25年くらい。

理由は、実際に純正のエンジンで
過去に開けられたり、余計な作業がされていない
エンジンを実際にすべて分解してOHする時に
15年くらいから20年ぐらいで作業するものが
傷みすぎておらず、また程度が良すぎて
オーバーホールの必要がなかったということも
ない、ちょうどいいなと感じることが
多かったからです。

常に最高のコンデションで乗りたいというのは
今回書いていることにはあてはまらず、
そういう場合はもっと短くて構いませんが、
今回書いているのはOHするタイミング
についてです。

もちろん、当社で古いバイクの
エンジンOHを依頼される時には、
生産されてからもっと年数が
経っていることがほとんどです。
Z1なんかは今で約50年近く経っています。

そうなると内部の部品が予想以上に
傷んでいてOH後の品質を高く保とうと
すると大変になり、予想以上に
交換しないしなくてはいけない部品が
多かったり、難しい修理箇所が増え、
手間が増え時間がかかったりする。
そうなるとOHするには高い技術と
モチベーションも高めである必要があり、
費用も古いほうが高くなります。

基本としてOHとは新車で販売された時の
ように、あるいはそれ以上に調子よく
そのエンジン本来の能力が発揮できている
ことをいいます。
中身もそうですが、外観を美しくするにも
ノウハウが必要です。
当然誰にでも、どこの店にでも
できることではありません。

ですから、生産されてから年数が経てば
経つほど作業としては難しさが増します。

そうなると当然レベルの低い店、
作業者であれば本来の調子に戻すことが
出来ず、OHしたというのに
一向に結果が出ず、調子悪い、
OHする前と変わらない、なんか
OHする前の方が良かったなどという
ありえないことが起きるわけです。

それで結局お金はとられたのに
全く調子が良くならないということに
つながるわけです。そのリスクは古くなれば、
なるほど高くなる。

純正そのまま、つまり新車で販売されて
からエンジンがほとんどそのままと
いうものとは違い、過去にすべて分解され、
きちんとOH作業が行われてから
15年~20年近く経ったものについては
自社で実際に行ったものの
話になります。

やはり過去OHしたものを、
実際に見てみると一番丁度良い

タイミングのOH、あるいはメンテナンス
サイクルは
15年~20年くらいだと思います。

つまりすべて分解して、消耗品を
交換し、組みなおすのに一番適切な
タイミングといえます。

カワサキZ系でいえば、カムチェーン、
アイドラー回り、ベアリング類、
スタータクラッチを交換し、
ピストンリングを交換する、
あるいはピストンを交換して
再ボーリングする。
ポートや燃焼室のカーボンを落として
バルブシートカットすり合わせをする。
そしてエンジン外観を必要なら再レストアし
セルモーターをOHする。

このような作業です。

勘違いしてほしくないのは、
15年~20年以上経っても全然
走れますし、鍛造ピストンを使った
ものなら乗っていての大きな出力低下は
感じません。
まだまだ調子よく乗っていけるわけです。

それでもカムチューン回りは特に
交換したほうが良いと感じますし、
EX側のバルブシートはメンテナンス
したほうがよい。
この辺は傷みやすい部分なのです。

で、再メンテナンス、再OHするのに
余計な手間がかからず持ち主の方も
作業する私たちにも負担が少ない
タイミングは15年~20年くらいかなと、
実際に分解したエンジンを
見て思うわけです。

これはどういうとか、
今私は48歳ですから今自分のバイクを
OHしたなら20年後で68歳です。

そうなると自分の子供がバイクを
乗り継ぐなどとならなければ
もう一度OHする必要はほとんどない
と言えます。

今30歳の人がOHするなら
50歳くらいの時、それぐらいであれば
エンジンをチューニングして、
ステップアップするタイミングとして
前向きに考えるのも良いと思います。

もしあなたのバイクが
OHしたというのに、数年程度で
すぐに再OHが必要だというのなら
出した店(作業した人)が悪い、
あるいは極端に乗り方が荒い、
あるいは負荷の高い使用方法だった。
(サーキット走行、峠道行ったり来たり)
というわけです。

店が悪いなら変えればよい。
今の時代に、近いからなどという理由で
大きな仕事を頼むのはナンセンスだと思います。
スマホでなんでも調べられる。

またGPZ900Rよりも後のバイクの
ZZ-R1100や、今当社で販売している
ZRX1200R
などはOHの機械的タイミングは
もっと長く
てよいと思います。

これはGPZ900Rなどの進化系なので、
より対策が進み、
消耗品もへたりが
少なくなってきているからです。

例に出していない他のメーカーはどうか。
もちろん車種によって違いはありますが、
私の知っている範囲で、ホンダ、スズキは
同様のイメージです。
ホンダのCB-F系などはカムチューン回りが

複雑で強くありませんが、
OHはそれに合わせて行いますから、
カワサキ車のように大きく出力アップしたり
しない(しないほうが良い)、
結果としてOHやメンテナンスサイクルは
似たようなものでよいと思います。
ヤマハはほとんど取り扱いがないので
解りません。

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