思い出を大切にする

日記

ここ数年はすでに所有されている古いバイクの整備、レストアの依頼が増えてきています。
旧車バイクの値段自体が急激に高騰してしまったこともある思いますが、私と同世代くらいの方が自身の持っておられるバイクに新ためて意識がいくようになったのだと思います。

現在タサキチューニングでもお客様が所有されているZ1、Z750FX、Z1-R、CBX1000などなど複数台のバイクが持ち込まれて作業を行っています。今受注で作業している古いバイクのうち、3~4割ぐらいは持ち込まれた車両で、今後はより増えていくと思います。

このうちの遠くから持ち込まれたZ1は入庫時の状態は結構傷んで見えましたが、エンジン内の状態はとても良いもので完成が近づいています。もちろん美しく仕上がっています。

これ等持ち込まれる古いバイクたちには10年、20年と長く動かしていなかったものもあります。保管の状態もピンきりです。

こういう時はお問い合わせ時に「レストア可能でしょうか」という質問がついてきます。一見錆がひどく、レストアしても綺麗に仕上がらない、きちんと走るようにならないのではないかという心配ですね。

最終的には直接見てみないときちんと判断できないことも多いのですが、ほとんどの場合、今までの経験で写真を見てほぼ復活できるかどうか判断できることが多いです。遠慮なくお問い合わせ下さい。

またフレームやエンジン形式が取り扱い車種に似ているものはフルレストアはできなくても、こちらのやり方で作業できるのであれば復活自体は可能の場合がほとんどです。

また見た目の表面錆はひどくても、フレーム自体の錆は上の部分の浅い所だけで、機能面ではむしろその辺で最近売られているものより状態が良かったりする場合もあります。

長く所有されている場合でよくあるのは10年以上前に仲間や身内、先輩から譲ってもらったなどという話です。それらのことも踏まえ復活させたいというわけです。これらの思い出は同じ車種を手に入れても特別な感慨があると思いますが、可能なら今持っているバイクを再生できた方がよいですね。お金だけの問題ではないのです。そういう思いも踏まえ作業させていただきます。

新たに別のバイクを購入するときにはこれから新たに思い出を作っていくことになりますが、既にお持ちのバイクをレストアするときには過去の思い出も大切にしつつ、という事ですね。新たに古いバイクを手に入れる時でも昔乗っていたバイクであったり、気になっていたバイクであったりというのも納得できます。

日本でいうレストアは海外とは言っていることが違ったりしていますが、私の印象では日本流レストアは難しい取り決めがあまりなくもっと幅が広く自由で、綺麗にしつつ、機能面で必用な部分には手を加え、乗り易くスタイルも自分流に仕上げることだと考えています。

今持っているバイクを目覚めさせる時は過去の状態に戻すだけではありません。なぜなら過去乗っていたバイクに比べ、確実に加速はよくなり、良い音がして、曲がりやすく乗り易くなるからです。古いバイクが新車で売られていた時よりも暑く、交通量も増えており環境面では厳しくなってきていますが、その年月分の技術の進歩は素晴らしいものです。

むしろただ単に当時の状態に戻すだけであれば(かえってはるかに難しいのですが)現代の交通事情の中で運転することは危険かもしれません。また過去の思い出ではすごく良く走っていたバイクもいま改めて接してみると、今のバイクや車を知った身には期待しているほどの走りはしてくれないものです。

やはり今乗っても乗り易い、扱いやすいということはたとえ古いバイクであっても大切なことだと思います。暑くてもエアコンはないですけど。

話は変わりますが今日の最後に大切なことを書かせていただきます。

旧車バイクのレストア、エンジンオーバーホールなどの大掛かりな作業の見積りについてです。

古いバイクの作業について上っ面しか知らない、このようなものをまともな店で注文したことがない方は解らないかもしれないのですが、部分的な整備、例えばフロンフォークオーバーホールのように、この部品を換えてここを修正したからいくらになる、という見積りにはなりません。

なんせ部品点数が多いですし、ばらして軽く洗って乾いていない状態ではネジ山が傷んでいる、クラックが少し入っており修正の必要がある(これ一つの修理で数時間かかるなんてのは当たり前に良くあること)あるいは部品交換の必要がある、なんてのはすべて完璧に解りません。作業していくうちに新たに解ることが沢山あり、経験があっても変数があまりにも大きすぎるわけです。

そこで今までの経験からこのバイクのエンジンオーバーホールは一式でいくらです、という表現になります。はっきり書きますが、悪い所と、一つ一つの値段を書き出し見積り、請求をしていたら、その時間代は請求してもいいのでしょうか?払ってくれる人は殆どいないでしょうし、私も払いたくありません。また悪い部分が一つ追加になり、そのぶんを全て請求したら払ってくれるのでしょうか。

私の経験で過去に(当社ではありません)エンジンオーバーホールで100万円ぐらいだったものが、納品時に150万円ぐらいになっていたものを見たことがあります。
作業中に連絡もされていなかったようで、店側としては特別には思っていなかったようですし、お客さんも払っていましたがそれはダメだと思います。

私は変数が多く見こまれるバイクであれば、ある程度作業前にこういうところが追加費用が必要になる可能性があると説明が必要だと思いますし、予測ができない事態が起きた時にはお客さんに連絡が必要で、またできるだけ追加費用が抑えられるように努力することが大切だと思います。
当社であればその部分は部品代だけもらって工賃はもらわないと思います。

一つ一つ、一か所一か所で見積書や請求書を作っていたら、まともな作業をしている店であればあるほど高額で、驚く請求金額となります。

むしろ一式でいくらと言い切るにはリスクがあり、良心的なわけです。新しめのバイクのエンジンをばらすのとはわけが違います。そういう細かいことが気になるのなら自分が一回、作業してみたり、自分の希望どうり見積りしてくれる店に注文して見ればいいのではないですか。見積りに時間をとられて作業は雑になり良い結果が出ないと思いますが。書類を作るのが整備ではない。

私などもエンジンオーバーホール一式、車体1台のレストアをする際、部品の手配をする時に細かい部品の金額はなるべく見ないようにします。
理由は簡単で1円玉ぐらいの大きさの小さなゴムの部品一つで千円近くするものがあったりして、交換が必須な物でも金額ばかり見ていたら注文する気がなくなってしまうでしょう。一式で受けているわけですから頼めば頼むほど利益は減る。こういう時の考え方は単に高いでなく、まだ欠品でないことに感謝!です。

ただ、純正部品をまとめて頼むと30万40万50万と請求書が来ますから、そこだけ見ます。それなら大体の金額は把握でき、細かいことは気になりませんから「それでよし」だからそれを踏まえエンジンオーバーホールはいくら、としているわけです。

しょうもない質問としてやる気がなくなるのは、じゃあこの部分が交換しなくてよければ5千円安くなりますね、みたいな質問。こういう質問をする人が10年に一人ぐらいいます。間違いなくまともな店にエンジンオーバーホールや車体のレストアを頼んだことのない人です。

どんな優しい人でもできる人ほど途端にやる気がなくなるでしょう。
その一か所は交換しなくてよくても、それ以外に悪いとこが沢山あったり、部品の一つが欠品になっていたりしてそれを探すのに丸1日費やしてしまったりすることの大変さがこれっぽっちも解っていない。

ではどうするか。そういう場合はそのお客さんの仕事は丁寧にお断りをして、(あるいは考え方が違う事に気づき注文自体が入らない)この文で最初に書いている、すでにご注文いただいているお客様のため、あるいはこういうことに理解がある本物のお客様のために全力で仕事に励みます。

先々紹介できると思いますが、今回のZ1も見てもらって仕上がり具合を知ってもらえれば納得してもらえると思います。結果を出すことが一番大切ですから。



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