2017年10月より持ち込みのでの下記内容の点検を初回のみ無料で行います。(車検は除く) 遠方の方はご相談ください。
旧車バイクの車検整備や点検整備は、新しいバイクのようにただブレーキパッドの残量がある、タイヤが減っていない、ラジエター水量の点検などでは不十分で、古いバイクたちに対し、そんな点検は点検をしていないのと同じです。
今ほど設計技術、製造技術が発達していなかった時代、1970年代~1980年代ぐらいに設計、製造されたバイク達は今の新しいバイクたちと同じ点検項目や整備をするだけでは不十分なのです。
人間であれば20代の健康診断と40代、60代と年齢が加わって来たときの健康診断の内容は違います。20代の診断項目に40代さらに60代となれば必要な診断項目が加わってきます。
ましてや機械物は自分で治癒することはなく人間がチェックして悪い部分を治さなければどんどん状態が悪くなっていきます。それなのにただラインを通すだけのような車検、外から簡単に見るだけの点検で良いのでしょうか?
このページでは、せっかく苦労して購入した旧車バイクたちを本来のコンディションで乗っていただくために実際に当社が作業している点検内容をご紹介したいと思います。今まで当社に車検、点検を出していただいていた方もぜひお読みください。
一番大切なのは義務の車検ラインを通すことではありません。定期的に悪い部分がないかチェック、キチンと整備してそのバイク本来の能力を楽しめるようにすることなのです。本当にバイクが好きなのなら見た目だけでなく、中身や乗り味も大切にしたいです。
当社の点検作業内容を紹介します。初めて入庫する車輌と、すでに過去に入庫したことがある車輌、当社で製作販売した車輌では状態が異なりますので内容や手順など異なってきますが、代表的な点検内容をご紹介します。
① 車体周りを目視でチェック
まず車輌が入庫したら車体周りを目視でチェックします。ここではまず、この後テスト走行するのに支障はないかチェックします。
② 試乗テスト前の簡単な整備とタイヤの点検・調整
先程チェックした走行に支障がある部分のみをとりあえず手なおしをします。明らかにネジが緩んでいる、レバー類が著しく変な高さになっている、クラッチのつながり具合が変、などです。その時に必ずタイヤの空気圧を点検、調整します。またタイヤの銘柄、ハイグリップタイプか、タイヤの状態、サイズはどうかをチェックします。これをきちんとしないと試乗テストで適切な判断はできません。
③ 試乗テスト
ここからが本腰で一番重要な走行テストをします。状態によっては悪い部分の確認の為もっと長くなる場合もありますが、最低30分以上走ります。
これには理由がありエンジンが冷えている状態からかかりが良いか、始動後すぐ調子に不自然な点がないかチェックし、完全に暖まった状態でかぶったり、ぼこついたりしないかなども30分走ればキチンとチェックできます。これが15分程度ですと季節にもよりますがすべてが暖まりきらないときがあり、お客さんが通常ツーリングなどで使用している時と状況が大きく異なってくる為です。短い時間でのテストでは意味がありません。
冷えているときと、暖まったとき、両方キチンとチェックすることが重要なので簡易チェックでなくキチンと点検する場合は当然車輌を預かることになります。
また点検での試乗チェックで重要なのは今のバイクに比べてどうか、私の試乗車と比べてどうかということではなく、お客様自身の車輌が、今ついている部品、仕様の中で本来の能力を発揮できているかどうかです。
例えば、オーリンズのリヤショックが付いているけど、付いているなりにサスペンションは動いて、踏ん張っているか、アルミのホイールが付いているけど寝かしこんでいったときにハンドルが不自然な切れ込みはないか又切れ込みがある場合は、整備不良なのか、その車種特有の癖なのかを判断することです。最新のスーパースポーツと高速コーナーの安定感を比べてもなんの意味もありません。
【どのような道でバイクのどのような点をチェックするのか】
スピードのでる緩めのカーブ、ヘアピンのようなきつめのカーブ、その間の中間域のスピードで曲がれるカーブ、減速帯の連続の小さめのギャップから、連続ではなくで少し大きめの単発のギャップ、車種によりますが3速、あるいは4速で、レッドゾーン手前まで回せる直線、きつめの上り坂、下り坂、などでテストします。
各カーブではフィーリングではなく、自分の思うように素直に曲がるかをチェックします。この判断は車種ごとに違いますからとても難しいことですが、当社では取り扱い車種や年式などをある程度絞っていますから、このバイク(車種)は本来のコンディションならこのように曲がるのが本当だという事を熟知していますので、適切な判断が出来ます。そこでもし素直に曲がらない場合は必ず原因があり、それはなぜそうなっているのかを試乗後調べます。
各ギャップでは、サスペンションが本来の能力を発揮しているかテストします。同じメーカー、系列のバイクで、フォーク径などが同じでも、前期型、後期型で動きが異なるのは普通なことなので、繰り返しになりますがその車種、付いている部品が本来の能力を発揮しているかどうかをチェックします。点検はチューニングするときと違って今のバイクと比べるのではありません。
カーブでもどこでもエンジンの調子をチェックはしていますが、エンジンを高回転域まで回したときのチェックは直線でします。このときもただ闇雲に全開で上まで回して終わりではなく、意地悪に悪い部分が出るようにチェックしたりします。
また高負荷時(全開に近い状態)の車体の直進安定製や車体のよれ具合もチェックします。車体のよれ具合は Z1~MK2系、ローソンなどのJ系、カタナ、などはフレーム剛性うんぬんよりも整備不良からくる物が多いので特に確認が必要です。ステムベアリングに段ツキがあってハンドルが素直に動かずヨレを増幅させているなんてこともあるのです。
試乗時の車体周りのチェックと別に、エンジンの調子は具体的に以下の点をチェックします。
- エンジンから不自然な異音が出ていないか。
- 信号待ちなどでアイドリングは力強くしているか。(車種によっては調子良くても不安定なものもある)
- 同じくアイドリング時、ギヤをニュートラルに入れクラッチをはなした状態でにクラッチ付近から変な振動や音 が出ていないか。
- オイルが完全に暖まった状態でニュートラルはでやすいか。
- 完全暖気後、ゆっくり、アクセルをほとんど開けずに車の流れに乗って走っている状態で調子が悪くなったりしないか。マフラーからの音はこもった感じの音がしていないか。
- 低回転域から高回転域までアクセル全開で引っかかりなく、力強くスムーズに回転が上がるか。
- 完全暖気後にアクセルを大きめに開けたときにノッキングしないか。(上り坂が解りやすい)
- アクセル全開でレッドゾーン手前まで回したときにクラッチが滑っていないか。クラッチは重くないかスムーズに動いているか。つながり具合は不自然でないか。レバーを完全に握ってクラッチはキチンと切れているか。
- 低回転域からレッドゾーン回転の3分の2程度までアクセル半開(2分の1ぐらい)で引っかかりなく力強くスムーズに回転が上がるか。
- エンジン冷機時と完全に暖まった状態でエンジンのレスポンスに異常な違いがでていないか。
- アクセルを開けある程度エンジン回転とスピードを上げ、その後アクセルを全閉し、エンジンブレーキが かかった状態でパンパンとマフラー出口からアフターファイアーの出る量が多すぎないか。
(特に下り坂で解りやすい) - 同じくエンジンブレーキのみでブレーキを使わない減速時にカチャン、カチャンとチェーンの干渉する音や、 あるいはウォーなどベアリングのうなり音のような変な音はでていないか。
- エンジンブレーキのかかり具合が弱すぎないか。
- お客様が自分のエンジンの仕様が解っていた場合(例:エンジンが1105ccにボアアップされていてオーバーホールされ点火系が社外品に変更されていることなどを知っている)その加速感は適切なものか。 その仕様に対し、遅すぎたり、早すぎたり しないか。
これらの点を最初の試乗テストでチェックし、作業場に戻ってから乗っておかしいと感じたところをまず点検します。 試乗しておかしい部分は100%大なり小なり問題があります。
特にお客様が気づいていない点で多いのは、
車体姿勢が前下がりになり乗りにくく曲がらない状態になっている。
ステムベアリングが悪い、あるいは調整不足で大変乗りにくく曲がらない。
エンジンに力がなく、特に開度2分の1までのアクセルに対しツキが悪い
(アクセルの開け閉めに対し反応が悪い。空気をたくさん吸っているようなトルクの不足感。)
ハンドル、レバー、の位置調整不足。
チェーンの張りすぎでリヤサスペンションの動きが悪い。
フロントのブレーキのディスクがひずんでいて、ジャダーがでている。
などです。次に簡単な調整で治る部分(無料)と、手間がかかったり、部品交換が伴う修理が必要な部分を書き出していきます。ここまで来たら、次に普通の点検項目をチェックします。ここではきりがないので代表的なもののみ書きます。
[普通の点検項目の代表的なもの]
- ブレーキパッドはあるか。
- タイヤはゴムが生きていて、溝の深さは充分にあるか。
- チェーンの点検、一周回して方伸び(チェ-ンの伸びが一定でなく一部分のみたくさん伸びていたりする)していないか。
- チェーンに関連してスプロケットは磨耗していないか。またスプロケットのボルトや、ナットは緩んでいないか。
- バッテリーは問題ないか。また、弱っていたら充電はされているか。
- オイルを今回交換しない場合は、量は大丈夫か。オイルとフィルター交換したのはいつか。
必要以上に交換する必要はないため。 - アクセルケーブルは大丈夫か。油圧クラッチでない場合はクラッチケーブルは大丈夫か。レリーズ機構は大丈夫か。
- ブレーキオイルなどは毎回点検ごとに交換。
- 前後ブレーキの引きずりの異常がないか確認。
- エンジン、ブレーキオイル漏れはあるか。
- 各ランプ類は切れていないか。
- 車体全体の、外から確認できる部分のネジ、ボルト類は緩んでいないか。
- サスペンションのリンク部などスムーズに動いているか。
- フロントフォークからのオイルにじみ、漏れはないか。
ここまでが当社の一般的な点検です。
もし車検、点検で、試乗でのテストをしなかったり、その辺を一周するだけで簡単に済ませてしまっては、そのバイクごとに違う、最も重要な本来のハンドリング、サスペンションの動き、エンジンパワーやトルクが発揮できているかどうかが絶対に解りません。それはどんな名人であっても見ただけや、エンジンをかけ、少し空ぶかしをした程度では絶対に解らないことなのです。
ここまできたら当社が何を言いたいかがお解りだと思うのですが、普通の点検項目の代表的な物などは、少し整備に詳しい方や、普通の旧車バイク専門店でないバイク屋さんでもある程度可能です。
ですが古いバイクを本来の状態で走らせるなら、古いバイクの調子の良い状態を知る人間が、試乗してどこが悪いか的確に見つけ出しその悪い箇所をピンポイントで整備できるかどうかにかかっています。ですから当社では試乗テスト重要視しています。
以上試乗テストと普通の点検項目を実施して見つけ出した問題点を、すべて整備した場合いくらかかるかのお見積りをまず製作します。 実際には危険なのですぐに整備しなければいけない箇所と、そのままでもとりあえず乗れ、余裕がある時に整備したら良い点箇所などがありますので、その辺をふまえ、お客様と相談して今回はどこまで整備するか決めます。
そしてお客さまの作業OKの了解が得られましたらその部分について整備作業します。
作業が終わりましたらもう1度試乗してのテストを行います。これも30分以上行います。過去のデータがあってもそのバイクごとに微調整が必要な事が多く、キャブレターセッティングや足周りの調整の場合はそれだけで1日では終わらないこともしょっちゅうあります。当社に点検に出したら普通のバイク屋さんと違ってなかなか返ってこないと思う方は実はこのように作業しているからです。
車検の場合は、これら作業の後、あるいは段取りによっては途中でラインを通します。
車検代は79000円(税込み)です。
(自賠責保険料+代行手数料+試乗テスト+普通の点検項目)
※この中にはブレーキオイルの交換は含みますが、エンジンオイルの交換、点検で見つかった悪い部分の修理費用は含まれません。
車輌持込の試乗テスト+普通内容の点検費用は初回のみ2017年10月から無料になりました。2回目以降は以外は32,400円(税込み)です。
※こちらもエンジンオイルの交換、点検で見つかった悪い部分の修理費用は含まれません。
通常の試乗+点検で、あまりにも危険な箇所が多い場合、調子の悪い箇所が多い場合は別途さらに詳しく分解して調べる必要があります。(もちろんオーナーさんが希望したときのみ)
その場合はキャブレターの分解や、エンジンのコンプレッション(圧縮)の測定、点火系のイグニッションコイルやケーブルの点検、エンジンヘッドカバーをはずしての点検、車体のタンクなどの外装類をすべてはずして電気系ハーネスの点検、車体のサスペンションリンク部やスイングアームのシャフト部の分解点検などをする必要がある場合もあります。これらについては車体の状況によって費用が変わりますので、その都度、お見積りさせていただきます。