カワサキZ系J系を中心に、
古いバイクに関わる仕事をしてきましたが、
大切にしていることがいくつかあります。
その中の一つに、バイク全体をタイトルどうり
鋭すぎず、鈍すぎない状態に仕上げることです。
これは乗ってのこと言っており、
見た目のことを言っているわけではありません。
見た目は綺麗な方が良いと思います。
先日も問い合わせをいただきましたが、
フルノーマルのZ2。
かなりのご予算を記入していただいておりましたが、
現在の当社の方向性とは違うため、
お断りさせていただきました。
フルノーマルZ2は、好調であっても乗れば
鈍い方に入ります。
アクセル開けても加速はたいしたことなく、
エンジンを上まで引っ張ってみても、
6000回転から上は惰性で回っている感じで
抵抗にあいながら回る感じとなります。
楽しいものではありません。3日で飽きそう。
Z2はZ1に比べショートストロークで
レスポンスがよく、などと思われているかも
しれませんが、実際にはノーマル状態では
パワーもトルクも今ひとつ、車重はZ1と対して
変わりませんから、Z1に比べ全てに鈍い感じに
なります。
Z1の排気量を設計の中心に置き、
Z2は小さい排気量なのに、
ヘッドはZ1とポートの大きさ、
バルブ径も同じなのですから当然です。
足回りはブレーキが効かず、
サスも連続でギャップをこえるような
素早い動きには全く期待どうりには動いてくれません。
まさにリヤカーのような乗り心地です。
かろうじてノーマルのシートはスポンジが分厚く、
スピードもあまり出す感じではないため我慢できる、
という感じでしょうか。
飾って当時の雰囲気を楽しむ、なんてことを言う方も
いますが全く理解できません。
なぜなら価格がすごく高いから。
Z1、Z2を飾れるほどにレストアすれば
かなりの金額になります。
古いバイクだからこそ、レストア済、
未レストア車でも美しくあって欲しいです。
今の若い人にも美しいからこそ、
その良さが伝わると思います。
価格が安ければ鈍い部分も、楽しくない部分も
値段なりと納得もできますが、そんな悠長な
ことを言う金額ではありません。
かと言ってあまりに乗り方を選ぶ、
鋭いピンポイント仕様もおすすめしません。
上手な人が運転するにも、
エンジン、車体ともにクイックな、
ピックアップの鋭すぎる仕様は、
能力を引き出せたにしても運転するのに
大きなストレスがあります。
またとっさの時に、事故、転倒につながって
しまうでしょう。
複数台所有でき、どれも万全のコンディションを
維持でき、しかも扱うスキルを訓練により
持っているほどの方ならそういうものが一台くらい
あっても良いかと思いますが、
そういう方はほとんどいません。
いれば尊敬に値します。
金銭的に余裕があっても、
乗るスキルが足りない人は、
時にそれをバイクのせいにしてしまいます。
カッコ悪い。
全く乗りこなせない大きな車を無理して購入して、
そんな狭い道でもないのに上手く寄せられず、
周りに迷惑をかける。
そんなに背伸びして見栄を張らなくたって
いいと思います。
乗り続けていれば使いこなせるようになるかも。
そういう自分を成長させてくれるような
ものはどうでしょうか。
あまり無難なもの選びばかりも退屈で、
すぐに飽きてしまいます。
少し背伸びをするぐらいのものが
いろんな刺激があって、
乗りこなせるようになる過程が楽しい。
アクセルを開けてもあくびがでるほど
退屈な回転上昇の鈍い旧車は面白くない。
アクセルを開けられないほどのバイクは
恐怖しかなく、所有を自慢するだけのものになってしまう。
やはりオーナーさんがなんとか頑張れば、
上まで回すことのできるトルク、パワーで、
それに合わせた車体、できるだけ見た目もオーナさんの
理想に近い形。こういうものはどうでしょうか。
これを励みに仕事は頑張れます。
カワサキZ系。J系はそれに近いものが製作できる。
本当の名車です。
この名車をどこでバランスをとるか。
1台、2台、ほかの仕事をしながら部品よせ集めて
作っても、上手くはいきませんよ。
コメント