今回書いている内容とは
直接関係がありませんが、
この写真は結構前にOHの作業をした
CB750Fのエンジンです。
この写真は完成手前ぐらいの状態です。
最近の車に多い
私が好きではないダウンサイジングターボ
などと違い、
古いエンジンであっても
自然吸気エンジンをきちんと正しく
オーバーホールし、本来の実力を発揮すると
車体には手を加えない場合でも、
車体側の反応まで良くなります。
車に比べれば、はるかに構造がシンプルで
フレームにエンジンを載せただけのような
乗り物であるオートバイでは
その影響はとても大きく、
エンジンの状態、アクセル対しての反応を
本来のものに戻す、あるいは純正より
良い状態にすることにより、
その恩恵がエンジンだけでなく車体
側でも得られるのです。
70年代のバイクであれば約50年
80年代であっても40年も経っていますから、
正しいエンジンオーバーホールが
されていなければ、
そのバイク本来の魅力、楽しさをほとんど
捨てているようなものです。
先ほど私がダウンサイジングターボが
好きではないと書いたのですが、
自分で運転しなくてはいけないのであれば
趣味でなく移動の手段としても
いくら燃費が良くても欲しくありません。
その中には人間にとって一番大切な、
時間をどう有意義に使うかという部分が
抜け落ちているからです。
移動のための運転も大切な時間を
使っているということに変わりはありません。
つまり移動時間を無意味で楽しくも
なんともない状態で過ごしたくないのです。
だから運転して楽しくない車やバイクなど
は乗りたくない。
ボディのタイプがセダンであっても
スポーツカーであっても、
良い車であればそれぞれに運転しての
楽しさはあるのです。
これは値段が高いものが良い安いものを
悪いと言っているわけではなく、
高くてもダメなものはダメ、
安くても良いものは良いのです。
もし移動の手段ではなく、
趣味がバイクと言ってくれているのであれば
ぜひ面白いバイクに持ってもらいたい。
移動が目的なら電車や飛行機、タクシー
などであれば運転しなくてよいので、
その間にスマホも触れるし、
疲れていれば寝ることもできる。
移動時間を有意義に使える。
私はゲームに興味がありませんが、
それが好きな人であれば、移動中に
ゲームをして楽しむほうが、面白くない
車種のバイクの運転をするより
はるかに良いと思います。
だから私は車でもバイクでも移動手段と
しての物なら自動運転になっても良い、
と考えます。
そうでなく自分で貴重な時間を
使って運転するのなら
運転自体が楽しめるものこそが
本物のバイク、車だと思います。
特に忙しく頭や体を使って働いて、
責任のある立場の方なら
なおさら時間の大切さが解っていただけると
思います。趣味がバイクなら運転して
楽しくなければ。
先日乗る機会があった2000ccの
ダウンサイジングターボ車は
加速もそれなりにして走らないわけではないですが、
レッドゾーンのはるか手前の4500rpm
で頭打ち、後は惰性で回っているだけで
排気音はボーボー言っているだけ、
それに合わせているのかシャシー側の
レベルも低く見積もっているのか
ハンドルを切るとその途端クイッと早く反応
するのみ、
ブレーキもチョイ踏みでカックンブレーキ、
車として深みも何もなく全くつまらない
乗り物でした。
なおダウンサイジングターボでも
もう少し自然に上まで回るものもあります。
この辺はメーカーの考え方によって
違うようですね。
スポーツカー風の見た目をしているその車、
調べてみると新車では一番安価な
ベーシックなもので約600万円もする。
バイクであれば、はるかにもっと良いものを
得られるのに。しかも維持費は断然低く。
払ったお金に対して、
実際に見ても乗ってもどれぐらい楽しめたかは
とても大切なことだと思います。
私はダウンサイジングターボ車は
好きではない、私には合わないと
書きましたが、
新しいものすべてを否定するつもりはありません。
結局新しいバイクや、車が売れなければ
メーカーに余裕がなくなり
古いバイクの部品も作ってくれなくなり
供給も止まってしまうわけです。
だから好きなメーカーの新しい
バイクが売れることは嬉しいことです。
また車やバイクの進化を考えたとき、
70年代などはエンジンの出力や
ブレーキの性能も低く、
より高みを目指していましたが、
その後それが充分に達せられるようになると
より振動が少なく静かに
快適で、扱いが簡単、
しかも燃費も良いほうにと
進んできました。
その中で、メーカー内でも
いろんなものを試行錯誤しているようで、
同じメーカーのものでも車種、
年式によってもつまらないものや、
面白いものもある。
私の考え方は自分で運転しないのであれば
移動時間が短くて済み、早く静かで快適にすごせ、
乗り心地も良く移動コストも低いほうが良い。
逆に自分で運転するのなら、
機械の作動が解りやすく正確に運転者に
伝わること。面白さ、楽しさが
優先されます。
まずは見た目が自分の好みであること。
その上で、
スピードを出したなら、それが運転者に
伝わり、
ゆっくり走っているならそれもきちんと
運転者に伝わる。
アクセルワークや、ブレーキング、
体重の移動などにきちんと正しく反応してくれて
なおかつ一般道を走るバイクなら、
多少ミスをしても大ごとにならないような
懐の広さ、余裕が欲しい。
それが結局運転しているときの
楽しさにつながると確信しているからです。
それをかなえるのにベース車両として
理想的な乗り物が、
1970年代~1980年代の古いバイク、
そのあとの年代で基本となる部分は設計され、
2000年代のはじめくらいまで
生産されていたインジェクション
になる前の特定のキャブレターの車種
なのです。
新しいバイクが失ったものが
そこには確実にあります。
新しいものを何でもよいと書く
物書きなど笑い、無視しましょう。
ただ、古いバイクはそのままだと
いろいろ問題があります。
最近紹介したバイクであれば
例えばCBX1000。
このバイクは6気筒エンジンの魅力を
足回りの能力の低さが
足を引っ張り、そのままでは見た目の
存在感こそあるものの、楽しくない
車種になっています。
その足回りに現代のパーツを組み込み、
セッティングすれば
6気筒エンジンも存分に楽しめるように
なります。
もちろんエンジンはOHし、
マフラーとキャブも変更します。
つい先日、美藤社長(ビトーR &D代表)
と、一緒に働いておられる息子さん、
よく私たちが仕事がらみのやり取りをしている
社員のKさん3人で当社にわざわざ
来てくれました。
美藤社長とは時々電話でしゃべるものの
直接会うのは久しぶりなので
少し緊張しました。
(バイクの経験が浅い方は知らない方も
いるかもしれないので、
元私の勤め先ビトーR&DさんのHPはこちら。
http://www.jb-power.co.jp/)
その時にたまたま当社作業場内に
マフラーを外したCBX1000が置いてあり
それについても話したのですが、
美藤社長が若い時にホンダCBX1000の
販売前の試作車が当時働いていた所に持ち込まれ、
本当に販売されるのか?と思っていたそうですが、
その後本当にその6気筒モデルは
大きく変更されることなく販売されたとのこと。
いい時代です。
CBX1000は海外で好きな人が多く、
持っている人から自慢されることが
あったそうです。
ちなみにカワサキZ系の新品のヘッドが
販売されることの経緯も教えて
くださいました。
私が、当時もう少しCBXの足回りは
何とかならなかったのでしょうかと話すと、
当時としてはこれでもできることは頑張っていた
とのこと。
それを思えば今はとても高性能な部品が
たくさんあります。もちろんダメな部品も
たくさんありますが。
良いものを古いバイクに適切に組み込み、
セッティングすれば、
いろんな縛りのある現在のバイクとは違う、
とても運転して楽しいバイクに
進化できます。
とかく燃費だ、自動運転、電気自動車
と言われています。
私が考えるには、先ほど書いたように、
もう一つ一番大切な時間をどう有意義に
使うかということを頭に入れたいところです。
運転中の時間どれだけ楽しめるかです。
自分で運転するなら、そこに楽しさがなくては
時間を捨てているのと同じになると思います。
運転中は運転することしかできないのですから。
私の書く文章にしょっちゅう運転して
楽しい、あるいは面白いという言葉が
出てきます。
これは数値などで表せるものでは
ありませんが、私自身のこの感覚を
信じています。
やたらとダメなバイクや車を
買ってしまう人の共通点として、
数値など確実な解りやすい答えを
欲しがる人が多いように感じます。
そういう人に限って、
スポーツカーが欲しいはずなのに
先ほどボロカスに書いた
ダウンサイジングターボのような
物を買ってしまったり、
300万円でフルコンプリート車
などと言って売られている
改造ポンコツまともに全く走らない
ダメカワサキZを
買ってしまったりします。
何馬力ある、車重は何キロだ。
キャスターは何度で、トレールは
いくつ。キャブの口径は?
レースで何位だった。
自分で考えず、素人の方が
ましなようなバイク屋の言うことを
そのまま受け入れてしまう。
良く思うのですが、
バイクのことに詳しくない人が
素直に感じたことのほうが
正しかったりするのです。
乗りにくいと感じたなら、
本当に乗りにくい、
面白くないと感じたら
本当にそうなのです。
人間の素直な感覚は結構正しいと
思います。
むしろ余計な間違った情報、知識が
人の感覚を間違った方向に導く。
私は常に自分の感覚が
正しいのか、常に責任を持てるように
確認してきました。
ビトーR&Dで以前働いていたのも
技術的なことを学ぶのはもちろん
この感覚が私の独りよがりなのか
それとも多くの人にも感じられる
共通のことなのか、
確認したかったのもあります。
ビトーR&D製のコンプリートMK2に
乗った時、この感覚に間違いがないと
自信を持てました。
そして今確信を持って言えるのは
私が面白いと思う乗り物は
お客様(バイクの持ち主の方)
にも同様に楽しんでもらえる、
そういうことなのです。
近々、以前から少し手を加えると面白く、
断然お勧めできるZRX1200R
(色はブルーでフルノーマル)
の良さげなものがあったので
1台購入しました。
ノーマルでは面白いとは全く思いませんが、
少し手を加えるだけで、別のバイクのように
面白くなります。良いバイクです。
当社で実際にZRX1200を所有している
お客様のものを長く整備してきましたが、
故障もほとんどなく、
維持費も低く済むのに乗って扱いやすく、
運転して面白い。音も良いです。
70年~80年代空冷物で、まともなものを
手に入れるにはある程度予算が必要です。
それに比べれば半額ぐらいで購入できます。
今後、ニンジャ同様程度の良いものは高くなる、
あるいは入手が難しくなっていくと思います。
今回いろいろ調べましたが、
販売されている数はとても多いのに、
良いものは少ないことが解りました。
すでに空冷物を持っている方の
気軽に乗れる2台目として、
あるいは空冷物程予算を回せないが、
良い、楽しいバイクが欲しい方に
お勧めします。
今回納車時に変更予定部分は
フロントブレーキマスターシリンダーを
ブレンボラジアルポンプに、
ブレーキホースとともに変更。
フロントフォークのスプリングレートを
変更。
フロントのブレーキパッドを純正のものから
別の材質のものに変更。
キャブレターをFCRに変更。
スロットルもJB削り出しタイプに変更。
マフラーはビトーR&Dチタン製に変更。
チタンサイレンサータイプで、
集合部内部を通常のものから
当社オーダーで変更したものを作ってもらい、
サイレンサーは外径100mmタイプに
変更、長さを20mm延長、
バッフルを変更します。
シートは場合によっては純正をベースに
手を加えるかも。
ここまで作業してスタートすれば
間違いなく楽しめるバイクになります。
リヤショックはノーマルですが
予算に余裕がある方は変更されると
よりよいと思います。
すっとこのまま乗っていても良いですし、
手を加えたくなったらそれにも
対応できる。ネイキッドでいえば
XJR1300、GSF1200などもありますが
こちらを薦めます。
後は必要な部分をがっちり整備して
販売します。現在走行1万キロぐらいですが
長く乗れるものになるでしょう。
整備部分は写真に撮って渡すのは
いつもと同じです。
なお今回のZRXは、
特定のお客様に向けて購入したものではなく、
ZRXは今が値段、状態から買い時であるため
常々買おう買おうと思っていたのですが
予定が詰まっていて探すのが
先延ばしになっておりました。
このままでは口だけ状態になってしまうので
いい加減行動しなくてはと思い、
休日を使って探して購入しました。
いいものは少ないですね。
調子の悪いバイクの愚痴を言っていても
納得いかないバイク屋の文句を言っていても、
何も変わらず、チャンスはつかめません。
お問い合わせは田崎まで。
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