点火系の話(少し追加)

今回は点火系に何を使うか?
の話です。
これにすればよい、
という話でなく目的に応じて選ぶ、
ということになるのですが、
店が何の考えもなく儲けるためだけに
すすめた商品だったり、
ネットで目に付いたからなんてことで
わざわざお金を払って自分の好みとは
違うものを選んでしまう人がいるので、
そうならないために書いています。

換えれば偉い!ということでは
ないからです。

当社のメインの取り扱い車種である
カワサキZ系の初期モデル、
カワサキZ1には
純正でポイント式の
点火系が使われています。

カワサキZ系に限らずこのころのバイクは
ポイントがよく使われていました。

これはスパークプラグから火を飛ばすたびに
接点が使われるためそのたびに少しずつ
消耗します。

オリジナルであることを最も重視する人で
定期的に調整やメンテナンスをする、
という人はポイント式も良いでしょう。
雰囲気ですから。
調子が良ければ何の問題もありません。
ただ、調整や、メンテナンスしないと
確実に調子が悪くなってきます。

私自身はそういうのが面倒なので
ポイントは使わず、またお客さんのバイク
には頼まれても使用しません。
今まで頼まれたことは幸いなのですが。

で、ここ10年ほどは
MK2などに使われている無接点の、
写真の純正のフルトラタイプを一番よく
使用しています。
写真のイグナイターもMK2のものですが、
これは違うものを使う時があります。

このころは他メーカーでも同じ部品が
使われていたりするので、
他のバイクでも部分的に
流用できたりします。
GSにや、刀の初期物にカワサキのものを
手を加えて使ったりなど。

私がタサキチューニングを立ち上げた
20代の中頃は、私自身のバイクや
お客さんのバイクに社外品の点火系を
良く使っていました。

これはその時の時代、やや過激な車体や
エンジンが、全体的に好まれることが
多かった時で、とにかく何でも交換するほうが
偉いというような雰囲気だったといえると
思います。
当社の名前もチューニング(笑)と入っている
ぐらいですので。
逆にその時にいろんなことをして、

ノウハウが溜まり、現在があるとも言えます。
とにかくいろいろ実際にしてみて、
必要なもの、良い物を残していくという
感じでしょうか。

もちろん今でもそのようなものを好まれる方は
いますが、今は割合的にかなり減っている感じで
ノーマルの雰囲気に近い物を好む方が
増えているとおもいます。
なんでも改造すれば偉いというわけではないと
解ってきた人も多くいるのではないでしょうか。
ただ、きちんと手を加えたバイクでしか
得られない面白さ、世界も確実にあります。

 

当社では今では点火系にどれを使うか、
メリット、デメリットが
充分に解って
いるため、何でも社外品にする、では
なく、
ほとんど純正フルトラを使い

たまに必要に応じて社外品を使っています。

ではそれぞれのメリットを簡単に
書きます。社外品の点火系を作っている
メーカーは
自身の部品についてあれが
良くなる、
これも良くなるといいますが、
使う側の私たちから見たメリット、
デメリットでないとあまり意味はありません。
「言うほどかわらないじゃね~か。」
ということがあるからです。
作る側が自分の床の商品を
いいというのは当たり前ですから。

まず社外品点火系の良いところ。
中回転域のトルクが上がる。
点火時期の調整ができる。

大きな良い点はこの2点でしょう。
中回転域のトルクが上がるのは
一般道を走るうえで変化が一番わかり
やすいです。
どちらかというと海外ものの方が
トルクが大きくなる印象です。
もちろん使用する商品によって
変わります。

大体その時は、アクセルの4分の1から
2分の1くらい開けて走ることが多いので
そのよく使う回転域でトルクが上乗せられます。

点火時期の調整は走っていて
ノッキングが起きたときに、
ダイヤルのスイッチなどで点火時期を
遅らせることが簡単にできるので
その時に使います。
これは空冷エンジン車で、暑い時に
ノッキングは起きやすいので、
その時に特に使えます。

他にも作っているメーカーは
あれこれ良い点をあげますが、
私は主にこの2点だと思います。

悪い点は、
純正フルトラより壊れやすい。
始動性が純正品より少し落ちる。
これについてアメリカ物については
長く使っていないので記憶があいまいなの
であてになりませんが、国産物は
そうです。

取り付けが難しくないがやや面倒。
面倒なことはきちんとした店で
取り付けないと雑につけられる。
ETCなんかと同じ。

金額が純正を使うときより余分に
必要になる、
です。

では純正フルトラの良い点です。

壊れにくい。
これは最高のメリットだと思います。
これについては当社では20年以上
の経験で壊れたことが一度もありません。

もちろん納品時に
きちんとしたものを付けている前提に
なりますが。
イグニッションコイル、プラグキャップは
新品、イグナイター、配線などは
レストアして使用しています。

始動性がとにかくとても良い。
これは古いバイクのエンジンを
かける時には大変気分が良いものです。
かけ方が適切だと、いわゆるセル一発で
かかります。キュ、ボンという感じです。

悪い点はないのですが、
社外品に劣る部分を書きますと、
中回転域のトルクが社外品より
低くなる。

点火時期の調整をしたいときに
簡単に出来ない。です。
また同じ純正フルトラ式でも、
機械式とそうでないものがあります。
旧車に使うときは、機械式の方が
アクセルに対するツキが少し良い
印象で、機械式の方が楽しめるような
気がします。大きな違いでは
ないのですが。

これらそれぞれのメリットを知った上で
持ち主の方が判断し使用するのが良いです。

ですが重要なのは
点火系単体で考えず、
エンジンの調子、どのような仕様なのかも
含めて考えることが
大切です。

ここからはそのエンジンとのことも
考えた私の経験から得た考えです。
参考になればと思います。

エンジンの調子が良く
充分にトルクとパワーがある時、
カムシャフトがノーマルの場合は
純正フルトラが良いと思います。
何せ壊れず始動性が良いので。
エンジンに力があれば点火系の
変更は必要性を感じません。

よく一般的なバイク屋さんで
本来の調子を発揮していないZ1を
売っていて、元々ポイント式のこのバイクを

購入する時に、社外品の点火系を
勧められることが多いようです。
どうせ変えるならと。

これについてはエンジンの力が
充分でないのを補うために使われて
いる部分もあると思います。

当社に持ち込まれる旧車は、
乗れる状態にある時には、
最初に試乗してチェックします。
、始動性がいまいちで
キュキュキュ・・・・・・と
セルを長く回してようやくエンジンがかかる
加速についても、どこでも全開にできそうな

「まあこんなもんかな」程度の加速。
と思いつつ帰ってきたら、
点火系が変更されていることを知り、
始動性については納得、
(普通のフルトラならもっと係が良いのに)
点火系が変更されているなら

加速はもっと走らないといけないと
思うものが
とても多いです。と言いますか
ほとんどです。

つまりエンジンに力がないから
点火系を換える。まあ、解らない話
ではないのですが、本来ならエンジンを
本調子にして売るのが本当だと
思うのですが。

エンジンがバキバキに本来の調子で
(キャブも調子が良い前提)
カムシャフトなどがノーマルの場合、
点火系を換えると中速のトルクが
出すぎて乗っていてギクシャクすることが
あります。

特にアクセルを全閉し、開け始める時にです。
純正の点火系にはそういう部分がなく、
自然なのでとても乗り易い。

では社外品を使うのにお勧めな時は
どういうときか。
それはヘッドなども手を加えられた
チューニングエンジン仕様で
ヨシムラのカムシャフトでいえば
ST-2以上のものを使うときです。

ST-2のカムシャフトを使うと
中回転域のトルクが明確に落ちます。
そしてそのかわりに高回転域が
力強くなる。

その中回転域のトルクを補うのに
点火系を社外品にします。
この場合は多少壊れるリスクが上がっても
使用すべきです。

ではそこまでいかずもう少し
穏やかなST-1カムシャフトを
使うときはどうでしょうか。

これはエンジンの排気量や、
圧縮比などの組み合わせにもよります。

当社であれば、なるべくエンジンの方で
力を出して(本来の調子にして)
点火系は純正フルトラを
使えるようにします。
その方がほとんどの人にはメリットが大きい。
これは長く実際に旧車バイクを
納品してきた経験からことです。

乗ってみると解りますが、
それ以上トルクもパワーもいるという人は
稀で、ほとんどいません。そもそも
飛ばす方は最初からST-2カムを選ぶので。

ST-1仕様で何年か使ってから
変更してみたいとなれば社外品に
変更するのもよいとなります。
その時は違いもはっきり体験できますし、
両方のメリットも解る。
純正の方が自分には合っていた、
ということもあります。
また当社であれば純正品もきちんとした
値段で下取りできるので、
損にはなりません。

 

 

 

 

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