GSX750Eがようやく完成に近づいてきました。
なんせ珍しいバイクなので、
一つ一つ確認しながら作業を進め
ようやくここまできました。
写真は後日紹介します。
良かったのは受注したタイミングです。
実際に注文していただいたのは数年前ですが
お客様にはその前に話をいただいていました。
オーナーさんは、
当社ではカワサキZ系を一台購入していただいており、
2台目という事で普段は販売できない車種ですが
特別に取り扱う事にしました。
車体回りの
例えばメーター回りやウインカーのような
部品が販売終了であることが予想されたため、
私が考える完成イメージから考え、
いつもより、さらにいっそう程度の良い
車両をベースにすることが必要になります。
エンジンはカタナ系と似ていることから
1100系の方がパーツが豊富で絶対に良いと
私は思ってお客様に薦めていましたが、
それでもベースにできるよい物がない。
少し前のことで、記憶があいまいですが
確か750の方を買いたいと
言われていたような気がしますが、
どう考えても1100の方が整備やレストアで
融通が利くのはあきらかです。
この辺はまともなものを納品する前提での
作業する側でないと解らないことですが。
そのまま時間が過ぎてしばらく経った頃
見つけたのが今回のGSX750Eです。
フルノーマルなのですが、車体番号から行くと
輸出仕様の様です。
車体が入庫し実際に分解してみると
エンジン内部の構造がカタナ1100とは
大きく異なり、いわゆるメーカーも
試行錯誤しながら作ったのがありありと
解る特別なつくりでした。
悪く言えば作る技術が未熟で
プロトタイプの様、何とか形に
したようなエンジンです。
特に目立つのがクランクシャフトの
クランクウェブの構造でウェブの部分が
ボルト止めなんていう、ありえない構造です。
回してガンガン乗ったら壊れるだろ、
みたいな。
ヘッドのカム回りも変わった作りでした。
オーナーさんの方はガンガン飛ばす、
そういうタイプではなさそうなので
大丈夫だと思いますが。
純正部品を注文するにもパーツリストから
普通に注文すると違うものが送られて
きたりします。
どうやら輸出仕様なので国内の年式などで
注文するとエンジンとの相違があるようで、
実際の車体形状、構造と、パーツリストを
何種類か探し、その中から同じようなものを
探して部品を手配するという感じに変更しました。
こういう感じですから、届いた部品が違った、
なんてのもあり、無駄になったものもあります。
これらはお客様には請求できませんし、
今後使うこともなさそうでどうしようもありません。
旧車の世界ではあるあるですが。
それでも良いタイミングでベース車両を
見つけることが出来、
またすぐにお客様も購入の決断を
していただいため、幸い重要な純正部品を
そろえることができました。
先日たまたまそれら純正部品が今出るか
調べることがあったのですが、
特に大事な部品が全部販売終了に
なっていました。全く部品なし。
スズキさん。もう少し何とかしてほしい。
こうなってはお手上げで、
今後の注文はうけられません。
注文した時、
純正部品で欠品だっものもいくつかあり、
それについてはカタナ系のお店で
頑張って純正のリプロ品を作っていただいている
お店が販売しており、何とかそれもそろえることが
できました。助かりました。感謝!
今回750ccでピストンも純正サイズですから
マフラーのパイプ径が当社の普段使っている
サイズでは作っても調子や音が悪くなる
可能性があり製作しませんでした。
お客様は当社製を希望されていたようですが。
そこで今回はバンス&ハインズ製を使うことに
しました。
これは集合部がやや右寄りになっているのが
見た目不満なのですが、私が知っている中では
まともな方で、性能と音がこのGSX750Eには
一番合うと判断したからです。
実際に一部加工して取り付けてみると、
予想よりも良い音で、セッティングも
無事でそうです。
(今はまだチョイ乗りしかしていないので
セッティングはまだ途中なので)
つくりを見ているともっと変な音になりそうな
構造ですが、理屈道理ではないところが
何事もやってみないと解らない。
外国人がタンク内に余計な間違った処理を
してくれていたおかげで、それをはがすのにも
往生しましたし、
とにかく手間だらけ、余計な時間とお金を
ロスしまくりました。
ですが、いったん注文を受けたものは
できるだけのことはする。これのみで、
根性と忍耐、覚悟は必用です。
マフラーのように明らかに悪くなる可能性が
高い場合には利益が出てもしませんが。
この整備と部分レストアを施した
GSX750Eを見ていて、
最近残念に思うのは旧車バイクの
値段が上がりすぎていることです。
今までだったら購入できた金額でも
急激に高くなり買えなくなってしまった方が
多くなっているかもしれません。
そうなってくると、以前にも増して
本来ならきちんと整備してから手にいれたり、
乗り始める方がよいのに、そこをしない方の
割合が増えてきます。
内容が全くないただ高いだけのバイクも
多く見受けられます。
以前から何度も繰り返し書いていますが、
換えなくてはいけない部品を換えなかったり
必要な作業時間を与えなかったりすれば
まとも旧車バイクには絶対に仕上がりません。
部品を換えずに費用を抑える、
作業時間を少なくする。
これでは絶対によくなることはないのです。
作業時間には工賃がかかりますが、
旧車バイク購入時の車体のレストアや、
整備作業時間というのはそのまま請求
されることはありません。
実際には請求費用よりはるかに作業時間が
かかります。
今回のGSX750Eのようなあれもこれも
上手くいかないことは当たり前なわけです。
したがって旧車バイクの整備や、
販売の仕事はそのバイク屋、経営者、
実際に作業する整備士の考え方、
モチベーション次第で同じ金額でも
出来上がるものがまるで違ってきます。
当社としましてもできるだけ購入しやすい
金額で、できるだけ納期も早くと考えていますが
実際にはノウハウも含め簡単なことでは
ありません。
金額、少しでも安く、
納期、少しでも早く、だけを見て、
それなのに壊れずに、見た目が美しく
カッコよく良く走るなんて近道はない
というのが長くこの業界で働いてきた
私の結論です。
人間の体だって、
重い物を持たなくなれば
軽い物しか持てなくなる。
走ることをしなければ走れなくなる。
これと同じです。
何とか楽して稼がず、安くていい物。
そんな旧車バイクはありません。
100%自分の希望通りでないといけませんか?
できるだけ希望通りの車種で買えるのが
それは幸せです。
空冷4発のZ1やMK2でないといけませんか?
今王道のこのバイクの購入は
限られた人しかできなくなっています。
まともに走らないZやMK2を中身を見ず
高い金額で買わされている。
そしてつまらない品質が悪い物も
名前だけでどんどん価格が上がってしまう。
今回のGSX750Eも作業してみて感じましたが、
きちんと整備して、レストアを施してみてください。
王道のバイク以外でも、見ても乗ってもまるで違い、
本当に楽しいバイクに生まれ変わります。
これはニンジャでも他のZ系でも
J系でもホンダ、スズキのバイクでも
同じです。Z1やMK2や、R1、
その他人気のあるバイクだけが
旧車バイクではありません。
このGSX750Eも作業前に試乗したとき、
乗りにくく楽しくもなんともないバイクでした。
良く走るようになるかな?
そんな感じです。
完成したら、写真を紹介したいと思いますが、
きちんと整備して、必要な箇所は手を加える。
そして初めて、生まれ変わったこの楽しさを
経験することができます。
私は多くの人にこの経験をしてもらいたいと
思っています。
長くなってしまい内容バラバラでまとまっていませんが、
ではまた。
その理由は私が交換したい希望する純正部品が
ほぼ出たこと。
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