先日車で移動している最中に信号待ちしていると
バイクが横に止まりました。
新車に見えとてもきれいです。
その時は何のバイクか解らなかったのですが、
カワサキ車だというのは感じました。
たぶんエリミネーターだと思います。
きちんと調べてませんが。
その時気になったのは車種の事ではなく
クラッチレバーが明らかに上向きに
なっていること。そりゃねえだろというぐらい
上向きで、車に工具が乗っていたので
止めて調整したくなるほどです。
もちろんそこまではしませんが。
乗っている人もベテランという感じではなく
20代後半~30代くらいかな?という感じです。
その時に思ったのは、こんなでたらめな状態で
納品されているのかという事。
せっかくの新車なのにレバーさえきちんと
調整されずもったいない。
新車ですからディーラーでの販売ですね。
また、どう考えてもオーナーさんが
わざわざ自分でクラッチレバーを上向きに
乗りにくく調整しなおすなんてことは
ありませんわね。担当が悪かったのでしょう。
以前整備の工具の事で書いたのと似ていますが、
極端に言えば下手こそ良い道具を持った方が
良いと思っています。
そこまで下手でなく私のように一般平均レベルの
ライダーも良い道具を使用するのが良いのです。
プロのライダーであれば少々乗りにくい
ダメバイクであってもその性能をある程度引き出せます。
実際に取材の時にその現場を見ましたし、
裏話も聞いたものです。
あれはひどかったがこうやって乗ったなど。
その時は具体的にどこのカスタムバイクと
聞きましたがきれいさっぱり忘れました。
そしてプロのライダーはバイクの悪い部分も
知りつつ良い部分を引き出して走ることができます。
ですが長い距離を走るならおおいに消耗すること
でしょう。こういうバイクは転倒しやすくなり
結局プロでも勝つために、あるいは
きちんとした結果を出すためには良い道具の方が
いいのは間違いありません。
短い距離乗るなら何とでもなります。
よく私は運転が上手くないから、
プロのライダーではないから、
いいものは必要ないと言われる方がいます。
私は逆だと思います。上手く乗れないから
バイクに合わせていろいろできない。
上手く操作できず思ったように曲がれないし、
上手に加速減速も出来ない。面白くない。
そして手放す。
だからこそ、自分に合ったものに乗る。
あるいは力まず何も考えずに乗った時にも
ある程度楽に思うように走るバイクが良いわけです。
つまりそれがよいバイクです。
自分に合ったバイクに乗る。
でもこれは結構難しいことで、
私も含め最初は殆どの方が見た目から入ります。
つまり見た目や雰囲気が好きだから
買う対象になるわけです。
そして実際に見た目で買ってみると
乗りにくかったりする部分があります。
そこを改善したり、整備をする。
好きなバイクがハンドルが遠かったり、
シートが高かったりすれば
変更可能なら乗り易いように変更する。
最近扱ったものでは
初期型のGSX-Rはハンドルが遠いので
すぐに変更しました。
クラッチのつながりが遠かったりすれば
手前になるようにチューニングする。
これはニンジャのノーマルやZRX1200Rなど
クラッチマスターを変更すれば
操作も軽くなり、つながる位置も自然にできます。
アクセルを開けたときに思うような
加速しなければキャブを整備したり
変更したり、エンジンをパワーアップする。
ブレーキの効きが悪ければ効くようにする。
乗り心地が悪ければサスペンション回りを
変更し、
軽く曲がるようにしたければ軽量な
マグホイールに変更する。
これを予算に合わせ行うという事が
良い道具を持つ、使うという事で
特別なことではないですよね。
そうすれば運転中余計なことを考えずに済み
楽しく走ることに集中できる。
結果転倒や事故も減る。
例えば古いバイクでは
大体手に入れたそのままでは調子の悪い
ところだらけ。
エンジンも、キャブも、足回り、
ブレーキも調子が悪い。
良い道具ではないわけです。
それをそのままにせず、整備して売っているのが
当社のレストア車や整備済み車両です。
逆に現状販売で売っているものは
何にしていないものですから、
乗りにくいわけです。
だから現状販売車は整備できる人間が
整備をする前提で手に入れてもらう。
あるいは業者さんが買う。
その分整備済み車両より金額は安い。
自分で整備するのが趣味な方には
そういうのも楽しいものです。
もちろんアドバイスもしますし、
整備しても良くならないものは売りません。
ボロを買って一向に良くならないではなく
適切に整備すれば良い結果が出るもののみ
売ってます。
当社で整備したものはその分金額が
高くなるのですが、
まとめて効率よくノウハウを使って作業して
いるので、金額に対して圧倒的に良いバイクに
なりますし、
どこをどのように整備したか全て記録に
撮ってあるので納品後の維持がしやすい。
整備のことが出たのでキャブについて少し。
バイクの面白さを体感するには
アクセルの開け閉め、
極端に言えばその0.1mmの開け閉めに
対して忠実に反応することが大切です。
開けたら加速、閉じたら減速で、
それが大雑把になっているとバイクの良さを
間違いなく体感できなくなります。
といいますかバイクに乗る意味すら
なくなると言っていいほどです。
それの印象で足回りの印象も変わってきますから。
新しめのバイクにはインジェクションが
積まれてます。
この時アクセルの開け閉めに対して
どの様な加速減速をするかは
メーカーによって決められています。
大きな排気量車や高出力車はエンジンそのもの
の力を条件が整わない状況ではフルに発揮すると
危険と判断され、
その辺を走っている程度では
ねむ~い反応しか示さないものがあります。
スペックほどには走らない印象を受けるものが
あるのはこれのせいですね。
これは初心者でもお金を払えば誰でも
ハイスペック車が買えるわけですから
仕方のない部分ではあります。
車より危ないですし。
ただ眠い反応だと思ってもそれをいいように
簡単に変更はできない。
そこで古いバイクに積まれているキャブ。
これは余計な制御はついておらず
アクセルと開ければ開けた分だけの加速
閉じれば閉じた分だけの減速をしてくれます。
ただし負圧式キャブは除いて
強制開閉式キャブのみです。
キャブの調子が悪いものが本当に多い。
エンジンが悪いものも確かに多くあります。
でもまずはキャブです。
いま売り物で出しているGPZ400F、
これも一発で始動します。
でもキャブは本調子ではありません。
この時に分解整備をして純正キャブの
ままでいくか社外キャブでどちらが
いいか聞かれたら、間違いなく
社外品のキャブを選びます。
そこが目立つのが嫌ならブラックボディを
選べば良いですし、純正キャブは
保管して持っておけばよい。
当社でのエンジンオーバーホールには
純正キャブ取り付けはお断りするほどです。
仮にFCRキャブレターであれば
開け始め出力の出方が素直で急すぎることなく
アクセル開度が大きくなるにつれ
高出力を発揮します。
このキャブはセッティングパーツの
スロージェット、メインジェット、
特に重要なジェットニードルの種類が豊富で
手に入りやすく、データも多い。
となればエンジンのコンディションや
マフラーの違いがあっても適切に
調整ができる。また不具合が出ても
修理がしやすい。
きちんとセッティングが出てこそ
エンジンの調子が引きだせます。
旧車バイクにも負圧式キャブはよく使われて
いますが、これは乗っていない期間が長いと
オーバーホールしても本調子には
なりにくい。
といいますか本調子に戻ったものに
出会ったことがない。エンジンは動いているものの
どこかすっきりせずぼやけているのです。
これは調子の良いものを知っているから
解ることです。
しかも本調子でも0.1mmのアクセルの
開け閉めに反応する楽しさがあるとは
思えない。構造上そういう物なのです。
せっかくのキャブ車なのに。
高速道路をただ淡々と移動するためのもので
あればそれでもいいかもしれませんが
バイク本来の加速減速コーナリングを
楽しみたいのであれば本調子の強制開閉式キャブ
が断然お勧めです。無駄な修理時間の節約にもなる。
上手くないから良いものは必要ないではなく、
上手くないからこそ、普通の腕だからこそ
良い道具に(きちんと整備されたバイク)
乗ってみてください。
バイクとはこんなに面白いものなのかと、
あらためて思うはずです。
私が自分のお金で買った初めてのバイクは
NSR250の新車でした。
回りの友人は私より運転が上手い人が
多かったですが、中古で本調子でない
ものを買った人が多く、借りて乗った時には
乗りにくいと思うものが多かったですね。
そして回りの仲間は上手いのに転倒する奴が多かった。
その時の新車を買った判断は今でも正しかったと思います。
強いて言うなら初めて買うバイクは
4サイクル車の方がよかったですね。
ある程度エンジンの重量がある物の方が
荷重のコントロールを学ぶのに良いと思うからです。
今でも2サイクル車は好きですけどね。
以前売ったNS400Rの極上車みたいなのがま
た出てこないかなと思ってます。
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