前回ブログで紹介した実際に販売したGSXR1100の整備(1)
の続きです。
まずフロントフォークの整備とレストアです。
インナーチューブの再メッキは費用もそれなりにかかるため
今回の車両は程度が良かったことからそのまま再使用する
つもりでしたが、分解して清掃してから状態を
よく確認したところ、再メッキする方がよいと判断の変更して
再メッキを施しました。
アウターチューブもレストアしています。
古いバイクはエンジンのオーバーホールやフルレストアなどの
大がかかりなもの、そこまでではなくても今回の販売車両
GSXR1100整備車両にしても、作業を行っていくうちに
必ず追加整備や、追加レストア、追加の部品手配を行う方がよい
箇所が必ず何点かでてきます。
ここではっきり書いておきたいのは、
この部分を行うことこそがその店の良心であるということです。
どの店でも組み上げを始める段階になると一気に組み上げることが
一番効率が良く、追加で作業したりすると著しく作業効率が
悪くなります。つまりそんなことをしていたら儲からないどころか
マイナスです。賢い経営者ならしないです。
当社だって実際にはやりたくない。
ほとんどの一般の店はこういう部分は目をつぶって
(気が付いていないこともあるが)スルーして
予定外のことが起きてもすぐにトラブルにつながるような
ことでなかったり、
お客さんに解らないことであれば、問題を見つけても
そのまま組み上げてしまうでしょう。
どこまでするかは経営者しだいです。
皆さんでも休みの日に何かしらのDIY作業を始めて、
予定外の悪いところを発見してしまったら、
作業を追加するか、そこには目をつぶって予定の箇所だけするか
悩むでしょう?同じです。
一旦作業を始めたら予定通り終わらせる方が
段取り的には良く、目先の費用だけ考えれば
お金も使わずに済み、時間もかけたくないですよね。
ですが治せるのに悪い所をそのままにしたら
1か月は平気でも2年壊れないか?という話です。
つまり私たちプロであっても作業を一旦中断して
止めてしまうわけですから、準備したものを片付け、
バイクの足回りをばらしていたりしたらバイクの移動などが
出来なくなる為、他の足回りを用意して仮組みして
移動できるようにしたりします。これだけで数時間失う
こともあります。何とも無駄なことか。
こういうことがないように
事前になるべく一気に組み上げを行えるように
きちんと段取りできることが一流のプロであり、
実力の高い人ですね。
私たちも今までの経験から頭をフル回転して準備を徹底します。
それでもどんなに準備しても、古い物ほど、
大掛かりな作業程、いざ組み上げの段階で
やっぱり追加作業したほうが良い、あるいは修正、
部品の追加手配などをした方がよい所が見つかります。
必ずあるものなのです。
そこでこのように予定外のことが起きても良いように
多くの部品をあらかじめ用意したり、すぐに対応できるように
特殊工具を用意したり、人の対応力を(つまり技術)
を磨いたしますが、100%その場で
そうすぐに対応できないようなことがおきます。
この時に効率が悪くなっても整備やレストアなどを
追加できるか、そうでないかで完成時の出来上がり
レベルが大きく変わってきます。
完成品は一つ一つの作業の積み重ねですから。
つまりそれでもなお、商売的には何のメリットもない
この修正を加えることができる店こそが良心のある店(人)
心がある整備士なのです。ニコニコ笑顔で寄ってくる奴が
必ずしも心があるとは限らない。
また当社の販売車両であれば追加のこのような
作業があってもお客さんが追加オーダーをしなければ
販売価格が上がることはありません。
つまり時間も余計にかかる、段取りも悪くなる、
今回でいえば再メッキの費用も追加でいただくわけではない。
それでも変更すべき部分は変更してオーナーさんの
メリットが高くなる方をとっているわけです。
そうなると予定した納期が下がることがあります。
これはよくないことです。約束を破っているわけですから。
ですが長く古いバイクを扱っていると、
そこで多少嫌みの一つを言われようが怒られようが
(実際には怒られていませんが)
結局長い目で見ればその最後の頑張りが
納品後のトラブルを減らし、見た目品質の向上につながり、
維持費も安くなって、オーナーさんがその車種本来の乗り味、
性能を発揮できる状態で乗れることにつながるわけです。
はっきり書きますが、こちらのGSXR1100のご注文を
いただいたお客様から時間的にせかされたことはありません。
たまたま作業説明の流れつながりで書いているだけです。
それでもZ系のフルレストア車など作業が終わって夜などに
作業していたので納品まで結構時間がかかりました。
前置きが長くなってしまいましたが、
紹介している整備内容はそういう事の積み重ね、
実際の作業を紹介しているわけです。
シールなどの交換部品です。こういう物が普通に買えるのは素晴らしい。
このように時々撮り忘れるのですがなるべく写真に残しておきます。
ピストン部の状態は良いですね。
シール、クリップまで組付けたところ。
アウターチューブ下端につく、この時代に流行ったアンチノーズがらみの部品です。
750の方は機械的な物だけでしたが、1100は電気仕掛けもついており配線が
つながってます。確か3段階で調整できますが回すと結構変わります。
雑に触ると壊れそうな感じですが。
本来中央ぐらいにあるガスケットを交換したいのですが
欠品ですので、考えた挙句本当は好きではないのですが
ブラストしてそのまま色を塗ることにしました。
マスキングして塗ろうかとも考えましたがガスケットの
厚みが薄くキワが綺麗になりそうもなく、
かえって不自然になりそうだったので。
オーリングを入れて組付けました。
この手のアンチノーズダイブ機構は実際に乗ってみると
不自然なものが多く取り外すことが多いのですが、
このGSXR系は違和感は少なく、当時優れたものだったと
思われます。
フォーク剛性も充分、一般道で走るなら
無理にフォークごと交換する必要もないと思います。
1100系はフォークとリヤショック換える予算があるなら
もう少し頑張って先にマグホイールつけるほうが費用対効果抜群。
足回りをレストアします。オーナーさんに頼まれたわけではありません。
ベアリング類は欠品のものもありますから全てを交換できるわけではないので、
まず状態の良いベース車両を手に入れる方が良いのは当然のことです。
写真はブラストを行った後の写真ですね。
ついでなのであちこち他の小物部品もブラストしてレストアします。
こういうことを全て請求したらいくらになると思いますか?
ダメ経営者ですが心はまだあります。
この写真は実際にはずっと後の工程で撮ったものですが、
こうなりましたと解りやすいのでとりあえずこのタイミングで紹介。
写真の撮り方が雑で仕上り具合がいまいちわからないですね。
余計なことを書いていたらここまでしか紹介できませんでした。
(3)に続きます。
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