販売車両GSXR1100の整備紹介(5)

GSXR1100販売車両整備

前回FCRキャブレターまで準備が終わりましたが
その続きです。

ヘッドライトの裏側に取り付けられている
この純正部品が壊れていました。
整備紹介(1)の方でヘッドライト回りの作業は
終わっていますが、この部品の在庫を切らしていたので
再度分解してこの部品を交換します。

今はまだ部品が出るので、少し多めに在庫しました。
ちなみにこの1100の後、販売車両GSXR750を手に入れましたが
それも一つ壊れてましたね。

転倒して壊れるというよりは自然に劣化して
振動で折れたり割れたりするようです。
外から見ても解らないのですが、ヘッドライトを
手で触るとグラグラしているものはこの部品が壊れてます

ヘッドライトにこのように取り付けられています。
古いバイクの経験が深い人は解ると思いますが
こういう部品が欠品になるととても困るので、
少し多めに手に入れておきます。

ただし買い過ぎにならないようにします。
旧車の世界は自分だけ良ければいいという事ではないので。
よく買いしめて売る奴はいますが。

ヘッドライトグラグラもきちんと治りました。

ちょっとしたことですが、
エンジン回り作業のついでなのでセルモーターを
外してオーリングを交換しておきます。
ここはあまりオイルが漏れたりしないので
換えなくても良いのですが、セルモーター付近を
を分解したのでついでです。
値段は見ていませんがカワサキの同じところの
オーリングは確か高かったような記憶が。

オーリングの交換をして、ついでなのでナット類も
交換しておきます。普段端子キャップがついているので
湿気がこもって錆びやすいのです。
セルも少し色が剥げていますが状態が良いです。

左上にセルモーターが見えますが、フロントスプロケット
回りを外して掃除をした所。通常ここはチェーンがあるので
どろどろに汚れています。
一度きれいにしないと状態が解らないですし、
次に整備する時も作業しやすくなります。

スチームで洗うなんて手荒なことはしては
いけないので地道にコツコツとにかく時間がかかります。

フロントスプロケットがつくアウトプットシャフト
の左横にクラッチを切るためのプッシュロッドが見えます。

この部分中央にオイルシールがありますが、
ここのシールは古くなると欠品になりやすい部品です。
これも旧車に日頃から接していると解ります。
こういう物もいくつか持っておきます。

古いバイクが欲しい方は部品が欠品になる前に
とにかくバイクを買う事です。部品がなければ
どんなに腕が良くても整備はできませんし、
出来たとしてもかなり高くつきます。

定番ですがオイルとフィルターを換えます。
エンジンマウントを外してあるのはマウントと
ボルトを綺麗にするためです。
エンジンカバーのボルトも見えますが、
これも交換してあります。

奥に見える配線と赤い部品は油温計のセンサーですね。

当社では普段油温計は取り付けたりしませんが、
元々ついていたので。

ただ、そのままにせず、
配線のまずい取り回しと溶けまくっていた
保護チューブは違う商品に換えておきます。
つけるなら、ある程度考えてきちんと
取り付けるべきですね。

オイルフィルターは純正を使います。
スズキ用の社外品があるのか知りませんが、
品質の悪いものは内部で分解したりしますから。
分解したものが小さい穴のオイル通路を塞いだら・・・
と考えたら怖くありませんか。

エンジン前のこの部分もゲロゲロに汚れやすいところですが、
普段マフラーがついていて掃除ができないので、
できる範囲でここも掃除しておきます。
通常のオイル交換時はここまで掃除はできませんが、
車両販売時の整備ではチェックも兼ねて、
できるだけ綺麗にする方がよいです。

続いて後ろの足回りの整備です。
まだフレームと一体構造になっている
シートレール回りや、リヤフェンダーなどは
整備前の状態です。
フレーム前半はある程度清掃しています。

足回りの整備はこのような不安定な状態で
おくことになるので、一気に作業を終わらせなくては
いけませんから大変です。
地味な作業が続きますが重要な整備です。

リンク回りを分解した状態です。GSXRはこの様に
エキセントリックタイプの変わった形状をしています。
分解して掃除しますが、
今回はスイングアームなどと一緒に
以前一度写真を紹介していますがリンク回りも
整備とレストアします。


エキセントリックを抜いてレストア、清掃したところ。
簡単に書いてますが時間と手間かかってます。
エキセントリック部分のシールは欠品なので再使用。

清掃した後にグリスアップ。程度が良いベース車両を
使っているので、再使用でOK。この後シールを組付けます。

エキセントリック側も清掃グリスアップ。

これでエキセントリック回りの作業は完了。

リヤブレーキのサポート回りの整備。
清掃、レストアしてます。

グリスアップしてブッシュを組付けたところ。

ホイールに取り付けるスプロケット部分のベアリング。
状態が良いので清掃して再使用。

ベアリングをグリスアップしてスプロケットを組付け
スプロケットボルトは再使用。ナットは座付きUナットに交換。

シールを組付け。

裏側。スプロケットボルトの9マークがはっきり見えます。
強度が必要なボルトです。
私がカワサキZ1000MK2、足回りノーマル、エンジンボアアップ
仕様に乗りまくっていた時にこのボルトが折れたことがあります。

ホイール側ハブダンパー程度が良く再使用。
ホイールのベアリングも再使用OK。
ちなみにこのGSXR1100は実走行距離1万3000キロ弱の
程度の良いもの。

続いてスイングアームのベアリングを清掃してチェックです。
全く問題ありません。

カワサキZ系後期物のここにはブッシュでなく、
この様なニードルベアリングが使用されていますが、
Z系の整備していない車両のここのベアリングは
ほぼダメになっています。

ベアリングをグリスアップ。
当社ではベアリング系にはワコーズ製の
グリスを長年使っています。

シャフトの長い方のスペーサー。
見ての通り状態が良いですね。
グリスを塗ってから挿入します。

ベアリング部のスペーサー。こちらも状態が良いです。

スペーサーを入れ、グリスを塗った
ダストシールを組付けました。

純正リヤショック上部。

レストアと整備をしたリンク回り。

全てではないですが、リヤショックや
このあたりのボルトとナット類は再メッキ品か
純正新品を使います。

スイングアームに取り付けるチェーンアジャスター。
黒い部分とボルト類はレストア。

リヤショック、スイングアーム、リンク回りを
ようやく組付けました。
ノーマルでは塗装がしょぼくて錆びやすい
レストアしたサイドスタンドが見えます。

続いてテールランプ回りを整備します。
分解したところ。

ナンバー灯ダンパーに使用されているカラーが
長すぎて少しグラグラしてよろしくないので
旋盤で削って少し短く加工します。
こんなとこ気にしてる人が私以外にいるのか?


テールランプのステーとダンパーのゴム。
少し前の作業で正確に覚えていないですが
ダンパーはおそらく欠品で再使用。
このダンパーに先ほどの削ったカラーが入る。

純正のゴムは長持ちする箇所もあり、
傷んでいなければ換えなくても良い。

このGSX-R1100は全体の状態が良いものを
仕入れているので、欠品で部品の出ないところも
再使用できるため問題なし。

ステーはこれでもかなり掃除をした後の写真。
くすんでいるものの錆びはなし。
錆止めを塗ってから組付けます。

ナンバー灯が取り付けられるソケットまわり。
当然清掃、チェック済み。

カプラー、配線回りを清掃、チェックしたところ。

新品の電球を取りつけ、レンズ、パッキンを
清掃して組付け。
このレンズの取付ボルトは強く締めないほうが
よい所なので(レンズが割れる)
ねじロックを少し塗ってから
それなりのトルクで組付け。

先程のナンバー灯回りを上から見たところ。
すてーに長方形のスポンジが張ってありますが、
これが純正。ステーごと上下に揺れるので
この後組付けるカバーに当たっても良いように、
また必要以上に振れないようにスポンジが元々張ってあります。
こういうところもこだわって作ってるなと感じます。

地味な作業がまだまだ続きますが、
こういう事の積み重ねこそが整備です。
車種や販売価格で整備内容は変わりますが、
きちんと整備するほどに時間がかかる。
整備をするならすぐに納品できるわけがない。

裏側隅々まで掃除をしたカバーを黒系の
タッピングネジで取り付けたところ。

表側。


続いてナンバー灯の上につくテールランプ。
組付け前に研磨してあります。
研磨作業ははっきり言って面倒。
ですが出来上がった時の見た目がまるで違ってきます。

テールランプまわりのカバー。
これはオリジナルの塗装でこれもやりすぎない範囲で
一皮磨いています。

テールランプと先ほどのカバーを固定するステー。
清掃済み。

ステーに取り付ける純正のクッションが
まだでるので取り付けます。

取り付け後。

テールランプとカバーを組付けました。

裏はこんな感じになっています。
初期型GSXR系はテールランプ回りも部品点数が多く
手間がかかりますから、販売時でないと
分解整備することはないでしょうね。

先程はテールランプ上側でしたが、
同じくテールランプの下側の写真。
とても手間のかかった作りです。あらかじめ清掃済み。

テールランプの電球を交換します。
清掃チェック済み。


テールランプ回りの作業が終わりました。
今回はここまで、地味作業がまだまだ続きます。

販売車両GSXR1100の整備紹介(6)に続く。

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