初期型GSX-R1100について(後編)

前編の続きになります。
読んでいない方はそちらを読んでからの方が
解りやすいと思います。

新開発の油冷エンジンをアルミフレームに積んだ
GSX-R750に続き(1985年ぐらい)
スズキは当時のフラッグシップモデル
新型GSX-R1100を発表します。
1986年~1988年製造。

750の方はレース規定に合わせたモデルでしたが
1100の方はその制限もなく
より自由度が高かったと思われます。

この1100も750に続き、
当時大変人気があり逆輸入車として
多く売れました。

使用された油冷エンジンは750に比べ
大幅にトルクと出力がアップされ
76mm(ボア)×58mm(ストローク)
から1052cc、130PSとなっています。

フレームは750と同じくアルミが
使用されていましたが、
750のものをそのまま使用することはせず
太い材料を使用し、ピボット部も
変更され高出力化に合わせて
剛性アップされています。

750のフレームを流用して
安くする方を選ばなかったわけです。
葛藤はあったと思いますが、偉い!

GSX-R1100は、
初めての試みをたくさん入れた
バイクにもかかわらず
乗って車体全体のバランスが良いバイクで
あること。(これが一番難しいこと)
まずこれが素晴らしい。

またハンドル位置なども750に比べ
レース目的ではない為高めに設定されており、
ツーリングなどにも使いやすい
モデルになっています。
また車体全体として、過負荷な走行や
無理なチューニングをしなければ故障も
多くありません。

1988年にGSX-Rはこの初期型から
フルモデルチェンジをします。

このモデルからホイールは17インチ化、
さらに高剛性なフレームなど
話だけ聞いていると良さそうなのですが、
車体設計の方向が明らかに
超高速GTの方向に振られたようです。

それにより超高速域の安定性は
良くなったものの、
日本の道を軽快に曲がって楽しむという
部分が大きく減ってしまいます。

私の知り合いでも見た目と走りの期待して
いた部分が違っていて、
乗って楽しくないという事で、
すぐに手放してしまったと言われていましたね。
要はレーサーのように軽くパワフルで
ヒラヒラと走りたかったわけです。

この88年フルモデルチェンジを受けた
モデルもホイールを交換などすれば
格段に良くなります。

ですが、
今回書いているそれ以前の初期型モデルと
どちらをすすめるといえば、
歴史的背景、乗っての軽快さ、
手を加えた時の走りの良さ、
今のモデルには無いスタイルなどから
86年から88年までの初期型をお勧めします。

少しこじつけ的ではありますが、
個人的にさらに好きな部分もあります。

750が先に販売されていますが
大型バイク初と言っていいアルミフレーム。
まずそこのチャレンジが素晴らしい。
また多くのアルミフレーム車は後に
ツインスパーと言われるフレームに
変化していきます。

ですがこのGSX-Rはフレームに
エンジンを囲むように2本の
ダウンチューブがあるダブルクレードル
と言われる形状でいわゆる旧車バイクの
鉄フレームに似たもの。

ダウンチューブがあるから、
マフラー交換などでアンダーカウルを
外したときもエンジン下の空間が
スカスカにならずにかっこいいわけです。

さらにまだ今主流の17インチホイール
時代に突入していなかったため、
18インチホイールが使用されています。
したがって操り方は旧車バイクの
乗り方そのもので形はレーサーであっても
とっつき易いリラックスできるもの。

そしてエンジンは水冷エンジンが
作れるタイミングではあったものの、
車両重量を軽量にするため、
水冷エンジンではなく
軽量にこだわり、油冷エンジン。

これはオイルを使って上手に
冷やしているものの基本は空冷。
ですが、カタナやZに比べ多くの
部分を改良されているので
オイル漏れなどはとても少なくなっています。

さらにボアストローク76×58mmといえば
カワサキZ2、750FXのストローク
と同じで、ボアもZ2をチューニングして
最大にボアアップしたときの数値となぜか同じ。

長くZ系に携わってきた身としては
特別な思いがあります。
Zは66mmストロークが良いと思いますが。

これらフレーム、エンジン、ホイールの為、
このバイクはカワサキZ系やスズキGS、
カタナなど旧車バイクの流れを受け継いだ
バイクと言って良いと私は考えています。

まとめれば、
18インチホイールに
ダブルクレードルのアルミフレーム、
油冷(空冷)エンジン、
そしてさらにすべてが良いスパイラルに
向かう軽量であるという事。
18インチホイールの最終進化版と
言っても良いバイクです。

そして今。
ノーマルに近い状態で乗っても
楽しめますが、
現代の高性能なキャブレター、
マフラー、ホイールなど足回りの
変更などを加えれば、
さらに軽く、素晴らしいバイクになります。

それに加えてこのバイクは
まだ価格がそれほど高くなっていない。

ただし、難しい点は
程度の良い車両は少ないこと。

乗り易いがゆえに走行距離が
すすんだものが多く、
出来ればなるだけ状態が良く
レストア作業が少なくて済む車両を入手し、
整備やチューニングに予算を使いたい。

私も良いものがあれば何台も持って
おきたいと考え、動いています。

写真がないとどのバイクか解りにくいと
思います。これは準備できたら
アップします。
































コメント

タイトルとURLをコピーしました