「最近のバイクはすぐ飽きる」
とよく聞きます。
当然20歳ぐらいの若い方ではなく、
経験ある方がそう言います。
現在は高性能なものや、のんびりツーリング向けのバイクなど
これからバイクに乗り始めるかたには、いろんなものをトラブルの
心配なく乗れる、いい時代だと思います。
新しい物を全否定するような頭では、私のような仕事はできないと
思いますが、かと言って自分で高いお金を出して、趣味として今のバイクを
買うかと言えば、買いません。
目の前にたくさんあるけど欲しくはない。
趣味で買うものと、実用で買うものとでは求めるものが違います。
どちらも壊れないことなどは重要ですが、今のバイクを見ていて
感じる一番の違いは、その無駄のなさでしょうか。
すべてのことに無駄がないのです。つまり材料の仕入れから
製作、販売に至るまでの、そつのない背景が、頭に浮かんでくるのです。
それゆえに出来上がるものも充分に良いのですが、
すべてを忘れ、感動して、ローンのハンコを押すほどのことはありません。
はじめて乗るバイクを冷静に分析しているのです。感動しないのです。
それはすごく高性能なモデルでも同じです。
(高性能なモデルはそれを引き出せない私の腕にも問題ありますが)
また安全に配慮しなければいけないため、乗り手に過保護すぎる
ところがあり、それが必ずしも乗り手にとって、良いことばかりでは
ありません。
ほとんどの方がそんなことを望んでいなくても何人かが、
ここが危ないと言えばそれを無視するわけにはいかないのでしょう。
話がそれましたが、必要な分だけ仕入れ、必要な分だけ加工し、
極めて流れ作業的にさほどモチベーション高くなく、組み立てられる。
極めてビジネスです。
そして過去のものは放り捨てるかのように新しい物をすすめ
販売していく。いっては何ですがバイクはバランスの乗り物であり
最新のものが過去のものより必ず良いとは限りません。
毎日の足として使うなら、その無駄のなさが
かえって気持ちよく使えるでしょう。
ですが、趣味として使うのなら、もっとここはすごい、
少し部分的に劣る箇所があっても、こういう部分ではものすごく良い
というところがあってもよいのではないでしょうか。
古いバイクはすべてに計算されてできていません。
それゆえに間違っている部分もあり、過剰にできている部分もあり
それが人を感動させる。
間違っている部分や、足りない部分は現在の技術で
手直しや、補ってやればいいのです。
古い物がすべて良いなんてことはありません。
ですが人間が真剣に知恵をしぼり、体を動かして魂込めた
製品は今、この時代になっても人を感動させています。
時には乗りやすい、楽、何の気も使わなくて乗れる。
そんな選択を捨て、感動を得られるものを選んでもよいのでは
ないでしょうか。
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