いきなりお金の話でやや下世話ですが、
旧車の空冷4発のエンジンのオーバーホール
(以下OH)で料金が50万だの60万で出来たと
聞くことがあります。
どこでしたかといえば、エンジンOH、チューニングばかり
やっている重整備を専門とするお店ではないようです。
これは販売車両用に当社でOHしたエンジン
私はそのような話を聞くたび、あ~あと、言う感じです。
この金額ですと当社ではOHではなくメンテナンスの金額になります。
当社でもこの金額で作業することはありますが、
OHとして受けるのではなく、修理、広範囲の整備であり
OHではありません。
エンジンを調子よく、さらに空冷バイクはエンジンが見えますから
見た目も綺麗なほうが良いと思います。
それはさておき、旧車で調子よいエンジンを作るのは
簡単ではありません。
調子の良いエンジンとは本来の能力を発揮している
モノに対して言うと考えています。
スムーズに回っているとか、故障が少ないとか、
一部分だけを注視して言うのではなく、もともと
その型のエンジンが持っている実力を、きちんと発揮
できているか否かだと思います。
例えばミッションのみwpc処理して金をかけただの、
ピストンのみ良いの入れただの、というだけでは本来の
調子は発揮できません。
一部分のみキチンしてもダメで、エンジン全体で考え、
もし一箇所でも足を引っ張るような箇所があると、
著しく性能が低下します。
どこか1箇所のみすごく良くするのではなく、
全体をよくしなければいけません。
適切な表現ではないかもしれませんが、
足し算、引き算というよりは各箇所は掛け算のように、
関係している感じといえばいいでしょうか。
ポート、燃焼室のカーボンは落ちているか。
落とす際に形を変にしていないか。
バルブのシートカットすり合わせは適切に行われているか。
バルブスプリングは使用条件にあったものか。
強度のあるピストンを適切なクリアランスで使用できているか。
シリンダーライナーはシリンダーに対し暖まっても
緩くなったりしないか。厚さは十分か。
クランクシャフトはねじれ、曲がり、組み立て式なら
ベアリングは大丈夫か。
ミッションはギヤが痛んでないか。ドッグ部の形状は適切か。
クラッチは歪んだり、減ったりしていないか。
ハウジングのSPは問題ないか。
換えるべき部品はすべて交換しているか。
そしてそれら各パーツを適切に組み立てているか。
めんどくさいといって、手抜きし、確認を怠った
箇所はないか。
使用するオイルは性能は良くても、
そのエンジンに合った適切なものか。
セルモーターはエンジンの状態にあったものか。
きちんとまわるか。バッテリーは大丈夫か。
スタータークラッチは大丈夫か。
キャブレターは調子が良いか。セッティングはあっているか。
点火系は調子が良いか。ガソリンは大丈夫か。
マフラーはエンジンの能力をきちんと発揮できるものか。
このようなことが1箇所手抜きがあったり、
良くない部分があると本来の調子を発揮できません。
もしかりに一箇所でもゼロに近い箇所があれば、
アウトプットも限りなくゼロに近づいていきます。
せっかく、わざわざ普通の人が選ばない旧車バイクを
買うのなら、本来の調子で走ってこそ、本当の魅力、
楽しさを知ったことになるのではないでしょうか。
野崎様のツーリング中の一コマ。
時々送っていただいてます。今度ロングツーリングにいくとか。
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