2014年の7月11のブログにフレーム補強のことを書きました。
今日はそれの続きのような内容です。
カワサキZ系に限らず、J系、カタナ、CB、GS等この辺のバイクのフレームは
鋼管をもとに点ではなく、線溶接しできています。
この時代のバイクのフレームの強さは、
実際の数値データがあるわけではないのですが、
高強度ではないと言っていいと思います。
ですが線溶接で出来ている鋼管フレームですから、製造から長く時間が経っても、
水没などのひどいサビや、事故などで大きくダメージがなければ
新車の時よりフレームの剛性が目に見えて落ちてくることはないと
いっていいと思います。
ということは、古くなってもほかの部分の整備をすれば、
新車の時の乗り味を取り戻せるということになります。
これは夢のような話で、これが車となったら、そう簡単には
いかないでしょう。
車はエンジンや足回りは元に戻せてもフレーム本体の剛性感は、
複雑な要素が絡んでくるので難しいのです。
したがって車種による元の車の設計や、材質、使われ方により、外観やエンジン、
足回りはレストアによって復元できても、乗るとヘレヘレのヨレヨレで
まともに気持ちよく走らないということもありえます。
ですから新車のように気持ちよく乗りたければ、ベース車両の見極めで、
勝負が決まると言っても過言ではありません。
これがバイクの場合シンプルな構造なので、そこまでは神経質に
ならなくても大丈夫です。もちろんベース車両の状態は同様に大切ですが、
外装など外せばフレームも外から見えますから、もともとの状態が
解っている人が買えばきちんと判断できるので問題ありません。
値段は別として良い物は買えます。
車であればこうは簡単に行かず、いろんなものを外しまくって、ようやくフレームが
みえてくる部分が多いので、新しい車ならともかく古い車で良い物を買うのは
相当に難しいこととなるでしょう。プロの方でも相当に経験がいると思います。
ですので素人には解らず、古い車が欲しいならその車に強い専門店で
信用のできる店から買うしかありません。
買える金額に上限があるのは普通誰でもそうですが、
遠いだ、他より高いだ言っている場合ではありません。
もちろん良いものが欲しいという場合のことです。
とりあえずというものを買うときはいいのですが、
一生ものとして買うのなら尚更です。
運転が上手い、上手くないにかかわらず、このへんのヘタリは誰でも
感じることができると断言します。車やバイクに詳しくなくたって
余計な知識がないぶん素直に感じることもあると思います。
またこの新車みたいに感じる、あるいは気持ちよく走れる要素として、
各部の組付がきちんと出来ていることも大切です。
基本的なことで言えば、ネジ、ボルト類がきちんと適切にしまっている。
それに近いですがフロントフォークしたのアクスル部分や、ブレーキの
マスターシリンダーをハンドルに固定するクランプ部分によくある、
片側を先に締めつけその後反対側を締め付けるような構造の組付が
守られているかなども大切です。
過去の話で、カタナ1100に乗っているH様のマフラーを製作し、
テストで乗りました。フレームも表面のうっすらしたサビ程度で全く問題なく、
程度は良いものでした。
その後、H様が残念なことに事故にあわれ、本人は大きな怪我もなく、
バイクもフレームにはダメージがありましたがその他の部分は、
軽い修理で治せる感じでした。
フレームは当時新品が出たため、機能を優先し、交換することにしました。
その後当社でフレームを交換し、納車しました。
しばらくして、H様から感想をいただき、
「乗っていて、かっちりした感じになりました。」
と感想をいただきました。
そんなこと解るの?という方もいるかもしれませんが、
解ると思います。
フレームは今回交換しましたが、前のフレームも状態はよく
へたってはいませんでした。
使用した部品も、傷んだ部品は修理しましたが、
擦り傷程度でたいしたことはなく、ほとんど再使用です。
となるとどの部分でそう感じたのか。それはフレームを交換する際に
すべてばらして、組み直したからです。
それによりカタナ本来の乗り味を取り戻したと言えます。
古いバイクはエンジンをフレームに直にボルト止めするので、
ネジや各部が緩んできてしまいます。
それを外から壊さない範囲でましじめするだけでも
印象が良くなります。
ただし、すべてのボルトのオスメスの状態がきちんとしているという前提です。
ボルトのネジ山が壊れていたり、錆びていては、締めてもしまっていきませんし、
適切な締めつけ具合も解るはずもありません。
全バラしてレストアすることは綺麗にするだけでなく、
こういう部分も全て治せるので理想的です。
あとは適切に増し締めができます。
フレーム剛性のことも書いていますが、その辺を走って
いるときは大きく変形しながら走っているわけではありません。
むしろその前の小さな変形が(ネジがしまっていないことなども含む)
人間が感じる中古車っぽい、安っぽさ、不安感に通じていると思います。
もちろんゴム類の硬化もその要素の一つです。
サーキット、峠道で同じ部分を走る行ったり来たりする場合と違い、
一般の道では、そこまでの高負荷で走るわけではありません。
よって変形は小さなものとなります。
その大きな負荷でない部分の印象が良いと、バイクとのやり取りが安心できるものとなり、
そのあとステップアップして高負荷な走りをした時も、安心して走りを楽しめます。
大きなギャップなどがあり、瞬間的にフレームに大きく変形するような力が
加わるときはその力が加わった部分の、局部的な剛性が高いと印象が良くなります。
乗り手側としては安心して走れると感じます。
長い時間強い変形の力がかかるような、大きなカーブで高負荷の走りの時は
一部分の剛性だけでなく、フレーム全体の剛性とそのバランスが求められます。
ただ強いだけではなく、逃がしの部分もあったほうが良いと思います。
その部分についてはまた後日書きたいと思います。
どちらもこれで100点ということではなく、試行錯誤で少しずつ
改良し良いものを作っていきます。
それでこそ専門店の意味があると思います。
また当社ではオリジナルの雰囲気は大切にしたいですが、
楽しく、きちんと走れる方を優先します。
その中で補強や、各部の変更が有効であればそうします。
それにより旧車であっても乗りやすく、また安心して走れるように
していくことができるのです。
オリジナルは尊いものであり、もし新車にかぎりな近いものがあれば
それはそのまま残したほうが良いと思います。
それはそれの専門の店でおこない、走りを楽しみたいのであれば
当社のような店で行う。自分にあった店選びは重要で、逆のことを
させればたいした結果はでず、自分の理想とは違った結末になってしまうでしょう。
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