ワクワクすること

日記

長く今の仕事をしていますが
それでもワクワクすることがあります。

それは長く整備やレストアして完成したバイクに
初めて乗る時ですね。

納品するバイクは同じ形、仕様、
すべて同じ部品で組まれているなんてことはないので
完成して一発目に乗る時はワクワクするのです。

以前製作した同じ車種でもリヤショックが
違うだったりエンジンのピストンが違ったり
たとえそれらのように大きな部品でなくても
意外と乗ってみると結構違いが解ったりします。

今Z1のフルレストア車の組み立てに入っています。
納期も遅れていますが、ようやく各部品の
準備が整いました。

ピストン回りや、ミッション、ホイールなど
すでに部分的には組み立て済みのものもありますが
厄介なフレームの加工、塗装も終わり
いよいよです。

納期の遅れの一番の影響は今さらながら
コロナの影響なんですね。

あの時に急激ににわかバイク乗りが
増えたおかげで相当な影響があって、
とにかくすべてのタイミングが狂って
当社もかなり影響を受けました。
それが今になってようやく一部を除いて、
ある程度まともになってきたところです。
それでも部品価格の高騰はかなりきついですね。

旧車の価格も上がったように
古いバイクも人気があるものですから
今でも職人的な作業で腕の良いところや、
そこでしかできない的な部分は
相変わらず仕事が集中し人に依頼する部分の
納期の面ではコントロールできない状況です。

フルレストア車や、それに近いバイクの
納期遅れははっきり言って当社が
こだわりすぎなところも大きくあります。

全てばらすと、やっぱりあれもこれも
追加作業したくなるんですね。

基本的には、完成していったん納車すれば
消耗品の交換を除けば、
エンジンにしても、車体にしても
ばらすことはしない前提ですから
あれもこれもやりすぎてしまうわけです。

納期に関しては平謝りです。
申し訳ありません。
フルレストア車、あるいはそれに近い
全分解しての部分レストア整備車両は
一台一台注文していただいた
注文順に納品しております。
Z1の次は並行して作業し出来る部分は
行っているZ900です。

ただCBX1000だけはそれより以前にご注文
いただいているのですが、
なんせ手作り車全開のつくりで
とにかく計算している時間で終わらないので
遅くなっています。Y様申し訳ありません。

今書いたように
当社の物は一旦納品したら
出来るだけ消耗品以外は交換しなくてよい
状態にして納品しています。
もちろん販売価格により違いはあります。

ただ以下で紹介するCB750Fのヘッドは
雑誌社で扱われていたもので
一旦組み立ててもそのままできるだけ
乗れるという感じで造られてはいません。
ですので一旦分解して確認して
普通に乗られるようにして納品します。

このヘッドなどについて書きます。

バルブシートとバルブガイドは変更されており
ベリリウム銅合金が使われているものと思われます。



ポートも加工されています。

繰り返しになりますが
このCBは雑誌社さんが所有されていたものです。

廃刊になってしばらくした時に手放すということで
販売され、当社で買い取った車両についていたものです。
本のネタも兼ねていろんなことを実際に試した
車両なんですね。

試乗する前から当社で販売するにはエンジンを
分解して点検をする必要があると考えていました。
写真は分解してある程度掃除をしたところで
整備作業前のものです。

このヘッドの作業評価は、
店や加工屋さんに依頼した箇所と
雑誌社のスタッフさんが作業したかが明確でないため、
ここでは書きません。

ただレース屋さんがかかわっている
ポートだなあという印象でした。
自分でも沢山作業してきたのでいろんなことが
解ります。
他社さんのものを見た中で一番当社の物に
バルブシートとガイドの材質変更以外は
近いですね。

乗った時の印象はサスペンション回りの
セッティングがとても良くて、
実際に走ってセッティングを詰めてきたことを
感じます。今では手に入らない部品も
使ってあります。
多くノーマルの部品が残った足回りでも
良く走るようにできるんだなと
これだけでも買う価値があると感じる
唯一無二のバイクです。

今回書きたいのはそこではなく、
エンジンを分解した時の燃焼室の
カーボンの溜まり具合が尋常なく
多かったことに関することです。

これは良くないと思いました。
ベリリウム銅合金を使用したバルブシートと
ガイドを使用する理由としては、
負荷が高い時に高温になる
燃焼室回りの放熱性を高めることです。

ですが燃焼室と排気ポートに溜まりまくった
カーボンの堆積量と焼けていない感じをみると
燃焼室内の温度は大して上がっておらず
バルブシートとガイドの材質変更は
このエンジンには合っていないと
言っていいと思います。

エンジンの試乗時の印象は、
スムーズに吹けるものの、
もう一つトルク感が足りない印象でした。

おそらく出力も何度かは測定などしていると
思いますし、数値はそれなりに発揮していると
思います。

乗った時の印象と数値が異なることも
多くありますが、
使っているうちにカーボンが溜まりまくって
出力ダウンした可能性もあります。

キャブセッティングが濃いことも
考えられますが、乗った時の印象から
それではないですね。

シリンダーとピストンと、
ピストンリングのチェック、測定をした所、
全く減ってもへたってもいません。

今回のCBのピストンは何のものかは解らないのですが
鋳造ピストンを使ってのボアアップが行われています。
その作業が行われてから距離はそれほど
走っていないのは間違いないですね。
殆ど記事のための試乗のみだったのだと
思います。

乗った時の印象から
これはマフラーがもっと抜ける物の方が
良かったのではないかという感じがします。
もちろん納品する際はマフラーを
変更します。

記事を書く時にはいろんなことを次々と試します。
もちろん上手くいくこともあるし
いかない時もあります。
それも含めて記事になるわけですから。

燃焼室と排気ポートのカーボンは
走ればどのバイクも溜まると思っている方も
いるかもしれませんが、
バランスよく部品が組み合わさり調整もあっていると、
少々乗り方に違いがあれど、
今回のCBのようにひどく溜まってしまうことは
ありません。

どんなにポート研磨や、燃焼室の加工
を頑張って、ピストンに良いものを使ったとしても
すぐにカーボンが多く堆積してしまっては
手間をかけて仕上げた燃焼室内の形も
すぐに変わってしまいます。
それでは意味がありません。
軽く考えてはいけない所なんです。

ポートの径も小さくなり、
バルブ回りにも余計なものがついて
スムーズに吸気、排気が出来なくなります。
こうなってしまってはあっという間に
性能ダウンです。

もったいないと思いませんか。
ベリリウム銅合金のバルブシート、ガイド交換、
それに合わせてのバルブシートカットすり合わせも
結構費用が掛かります。

取材車であれば何かあったら分解して
確認するためのバイクなので許されることですが、
一般の方であれば、そうはいきません。

今回のCBも販売価格は考えつつも
納品後消耗品の交換以外手がかからないように
努力します。

納期の遅れは単に私の能力不足で
作業量が多いから納期が遅くなったでは
話になりません。
それについては弁解の余地はありません。

それも含め時間がかかりすぎるフルレストア車は
きっぱりやめ、もしかすると人生のうちで
今受注を受けているフルレストア車以外は
製作しないかもしれませんが
ここ数年かけていろいろ経験を積み
かなり改善出来ています。

これから3年ぐらいで今まで注文いただいていた
車両はほぼ納品できると思います。

当社ではと言いますか、
私はバイクは安くはないけど頑張ったら何とか買える、
ぐらいの価格で何とかしたいと考えています。

沢山の古いバイクが走っていますが
まともに走るものがとても少ないと思います。
せっかく良いバイクなのに
本当のそれぞれの車種の楽しい部分を知らないまま
乗られている方が実に多い。

今ご注文をいただいている方のバイクを
すべてきちんと完成、納品し、
今後新たにご注文いただける方のバイクも
本来の良さを楽しめる状態にして納品する。
多くの台数はこなすことは出来ませんが
それが私が唯一できることなのかなと
思っています。






























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