古いバイクは“人”で決まる ― 経験と調整が乗り味を変える

今私は50代前半ですが最近本を読むのは
面倒になってきて、活字を読むこと自体
かなり少なくなってきました。

ですから、皆さんも私の文章で面倒な時は
読み飛ばしたり、興味のある部分だけ
読んだりしてください。
私の方で文章を短くまとめたりするのは
面倒なので、そこまでできませんので。

私が古いバイクについて書くことは
全て実際に経験から得たことのみ
書いていますから、
その中で一つでも何か役立つことが
あればと思っています。

当社で販売するバイクは車両完成時に
全て私が乗って確認してありますが、
当社で販売したものではない
皆さんが乗っているバイクが同じ車種、
同じ部品を使っていたとしても、
同じにはなりませんからご注意を。

実際に当社のブログなどを読んで
殆ど同じ部品を使っているのに
調整がまずかったりして
かなりひどい結果になってしまっているものも
ありましたね。

特に古いバイクはそうですが
仮に一つ一つの部品、個々の整備作業が
同じにできていたとしても、
最後に実際に乗ってどのような方針で
調整するかで全く異なる結果が
でてくる乗り物なのです。

また、たった一つでも大きく影響の出る
間違った部品を使ったりすると、
それによって関連する箇所に
あちこち不具合が発生したりすることもあります。
要は交換しなくても良いところを
ネットの情報などを鵜吞みして換えて
しまったりした時ですね。まさに改悪です。

ワインディングをグルグル走って
そこだけで調整するのと
一般道での走りを優先しつつ
その中の一つで峠道も走る、
ってのは調整の仕方が違ってきます。

オーナーさん自身が店を選んで
自分の乗り方、使用方法にあう店を選んでください。
サーキット走行する車両は
それが得意な店を選ぶのが一番良いのです。

当然当社は一般道での走りが最優先、
という調整します。
これは始動性の良さから低中速域での
扱いやすさも大事にしているということですし、
かといって上が回らないでは全く面白くないので
スムーズに上まで吹け上がり
それにあう足回りということですね。
もちろん予算によりその配分を決めます。

全体の物事を決める人によって
大きく結果が異なってくるため
同じ部品を使っているから
同じように曲がったり扱いやすかったりする、
とはならないわけです。

メーカーの造る新車の車でも
マイナーチェンジで責任者が変わると
同じ車種でもまるで違う車の様に
変わってしまうことがありますよね。

スタッフが多いバイク屋さん、
車屋さんで、最後に味付けする人が
誰かで全く違う結果になる、
それは当たり前のことだと思います。
どのバイク屋さんに頼むかも大事ですが
誰がどの作業をして、組み上げ、
そして調整したかが重要なことなのです。

例えば当社でも、車両を整備、レストア
直後は必ず私が乗って確認、
調整が必要なら行います。

車両が出来上がった直後は
チェックするポイントが多く、
私が乗って気付くことも他の人間が
乗ると解っていなかったりします。
ですから必ずそれなりの距離を走って
チェックします。
そこら辺をチョイ乗りして終わり、
なんてことはありません。

感覚が人それぞれというのもありますが
まずは完成して直後というのは
転倒や、事故にあってもいけない、
ということが最優先されるので
ちょい乗りだと中々そこまで
気が回らないものなんですね。

この出来上がった車両を納品して、
何年か後に1万キロ走行後に車検整備で入庫した。

その時に行った必要な整備がタイヤ交換、
オイル、フィルター、ブレーキオイルの交換と
各部のボルト類の緩みがないかの
チェックだけだったとします。

こういう物は私が乗らずとも
大丈夫です。
なぜなら私以外の人間も調整後の
まともな状態(納品した車両)
に乗った経験があるからです。

しかもちょい乗りではなく
100キロ200キロと走った経験がありますので。

そして私以外の人間が乗って
なんとなくでも気になる箇所があれば
報告が来て、私も乗って確認し
問題があれば指示をして修理や調整する。

これを繰り返しています。

完成車両をテストする時には同じ道を
タイヤの空気圧など調整した後
運転の仕方なども含めなるべく
同じ条件にして乗るようにします。

この時に各部レバー類の高さ、
遊び、キャブセッティングや
サスペンションの調整などの初期設定も
同時に行います。

かといって組み上がったエンジンを
いきなり全開というわけにもいきませんし、
車体側にも慣らし運転は必用なので
それを頭に入れて、せっかく組んだ
車両を傷めないように運転します。

この乗り始めが一番難しいところなので
この乗り始めをお客さん任せにせず
こちらで乗っておくというのは
とても大切なことだと思います。
すごく手間と時間が必要になるのですが。

幸いこちらは田舎で、混雑した
街中などを走らず、
負担少なくすぐテストができる為、
とても恵まれていると思います。

もちろんすぐに調整が終わるものもあれば
今までと違う部品を使ったりすると
何日にも渡って調整する必用が
でてくることもあります。

今までで一番てこずったのは
自社のGPZ900Rのマフラーで
純正のセンターカウル、
アンダーカウル内に収まるマフラーを
作った時ですね。
この時はキャブレターセッティングを
だすのにかなり苦労しました。
自社製品なのに。

テストは車体の整備内容により、
一般道路と、必要なら高速道路も走ります。

経験が少ない、当社を立ち上げてすぐの時には
「ある程度限界まで試さないとそのバイクの
本当のところは解らない」と、
思ってデモ車も作ったりしていましたが
同じ道を同じくらいの負荷で100回、
200回と経験を積み重ねていくうち、
一般道を走る古いバイクのテストは、
限界まで試す必要などないことがわかってきました。

結局自社の整備、レストアして販売する
車両については自分の経験から
私見で評価しているわけですから、
いろんな条件が試せる同じ道を走り
それを基準に判断すればよい。
という考えです。

ただし、どんなバイクそのものの性能
(機械的な限界)はこえることはできません。
それがその車種特有の個性、乗り味、楽しさと
なっているわけです。

今回の最後に、
昔(20年以上前)はあれもこれも換えて、
という考えに凝り固まっていたかもしれません。

先程書いたように機械を越えることは
出来ないからです。

ですが、人が介入することにより
古いバイクでも大きく改善できることが
解ってきました。

つまりノーマルのピストンや、足回りでも
各部の調整などで大きく乗り味を
改善出来たりできる、ということです。

それでも換えるべきとことは
換えなくてはなりませんが、
そうなれば費用を大きく抑えることも
可能になりますし、
このバイクは見た目は良いが
乗ったらダメだとあきらめていたことも
あきらめずにすむこともあります。

結局古いバイクは機械も大事ですが
人も大切なんだなと思っているわけです。

ちなみに私はいい人ではありません。
昨日地区のしめ縄造りに参加させられましたが
余りのグダグダ感、時間の使い方に
めちゃくちゃイライラしていました。
おとなしく黙ってましたけど。
若い時ならまだしも次はないな。













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