部品がないなら作るしかないか(泣)

日記

今私は主にエンジンを3機組みたてています。Z1、Z1000、空冷GPZ1100、それと並行して回りの人間はCB1100Rのオイルクーラーステーを作ったり、ニンジャの組みたて作業の最終工程、別のニンジャのエンジンのブラスト作業をしています。

それ以外の方の作業はしていません。すいません。何度か過去書いていますが、数年前から取り合えずばらして(作業内容による)というのを辞めて、作業する時にばらして一気に段取りする方向に舵を変更したためです。理由は簡単でその方が時間のロスが少なく、スペースの面でも効率がいいから。

同時に作業する台数も少なすぎず多すぎずにして、必要な作業を進めたら次のバイクに切り替えて、としています。

おかげで今回エンジンを3機同時に組み立てできる感じになっています、かなり効率が良いです。ヘッドを組みたて、シリンダー回りを作業し、今はクランクケースを組みたてています。

この3つの部位をそれぞれ完成させておいて保管、車体の段取りを見ながらそれにタイミングを合わせて3つの部品を合体させて一機のエンジンとして完成させます。
理由は簡単でエンジンとして完成してしまうと大きくて保管場所の問題と、重くて移動が大変などというのが主な理由です。エンジンを組み立てていると一気に完成させたくなるのですが、こういうことで無理をすると保管や移動中に傷をつけたりする。


CB1100Rのオイルクーラーの方は通常純正で大きめのものがついているので、それをそのまま使うことが多く社外のオイルクーラーを用意する必要はないのですが、このCB1100Rは他店からの引継ぎ作業でオイルクーラーが紛失されてしまっていたため、社外品のオイルクーラーを用意するしかなかったわけです。

オイルクーラーキットはいつも使っているビトーR&D製品が販売されておらず(そもそも商品設定がない)他の会社で作られていないか調べたのですが良いものがないようです。

CB1100Rのオイルクーラーキットは数が売れないので作っているところがないのでしょう。

仕方がないのでオイルクーラー本体のコアと、ホースとフィッティング、取り出しなどビトーR&Dさんで部品を指定して単品で購入し、ステーは自社で作ることにしました。


オイルクーラーコアの段数は10段では小さいので13段。ホースは長さが解らないので少し長めで。フィッティングの角度はオイルパン側は45度でデータがあるのですが、オイルクーラー側はデータがないので90度、追加でストレートを頼みました。

最初ステーはカワサキZ1系のものを加工した感じでいけるかなという感じでしたが、実際にはそう簡単にはいかず全く新たに作ることになりました。 仮付の段階では、ハンドルを切ればステム回りが干渉するし、フレーム側に出ている純正のステーが邪魔、オイルクーラーのホースも90度フィッティングで作りたかったのですがマフラーに干渉するしという感じでストレートタイプに変更、寸法上、上も下もあちこちギリギリで作らないといけない感じです。

この車体に取り付けた写真は、何回もトライ&エラーを繰り返してどうやら形になったものです。ここまでで丸2日製作にかかりました。まだ完成ではなく作業は残っています。

この後ステーはブラストして、半艶の黒に塗装します。その分手間が増えるのでシルバーで行きたいところなのですが、純正のオイルクーラーが黒で、オイルクーラーコアが黒で送られてきたので黒にすることにしました。他の方のエンジン関連部品の塗装があるため一緒に塗り、時間のロスを減らします。

普段はこの写真のように横にパイプがある吊り下げ式と言われる形の場合は、背板と下のステーを付ける必要はないのですが、今回は13段とオイルクーラーコアがやや大きめですし、上から吊り下げるだけだと弱いかもとビトーR&Dさんから情報をもらっていました。

そこで念のため強度を上げるために吊り下げ式+下側のステー、それをつなぐ背板を溶接して取り付けました。これぐらいの板であれば風も充分に抜けるので問題ありません。この写真がステー単体の写真で塗装前のブラスト処理を行っています。ブラストするのはこの方塗装の食いつきが良くなり色が剥げにくくなるからです。

こういう背板と下のステーを付ける形をとる場合は、本来オイルクーラー本体を吊り下げ式にしてボルト、ダンパー、カラーなどで固定する必要はないのですが、初めて作るものの時は後で融通が利くように(容易に変更できるように)また初めて作るものの時は強度も強めにしておくことが大切なのでこうしています。追加は難しいですが後で削って取るなどはできるからです。

この写真は購入したフィッティングとホース。ホースは必要な長さに切断し、片側だけ組んであります。ステーの塗装後ストレートのフィッティングを組付けます。

90度のフィッティング2個は無駄になってしまいました。いつか使うことがあるでしょう。できるだけキチンをした商品を納めようとすると、こういうことは結構あるのです。使わないのに2セット分請求するわけにはいきませんし。

このような一品物、また今回のCB1100Rのように現物合わせが必要な寸法ギリギリな感じの時には、オイルクーラーキットとしては売りにくいためオイルクーラーキットとして今後販売することはないでしょう。車体側の寸法のばらつきもあるかもしれませんし。

となると製作の時間、このキットのために購入したやや多めの材料(1回で上手く作れなかったときのため)余分な部品なども考えればそれだけ見れば赤字になってしまいます。

手間のかかった分、時間のかかった分だけ請求すればいいではないかという考えもありますが、当社では実際にかかった時間の大体半分弱を請求しています。かかった分だけ請求していたらかなりの金額になります。

この辺の請求具合は経営者の考え方で大きく変わってくるでしょうが、私の考えではまずはきちんと走れるようにすることを優先します。今回はエンジンオーバーホールの仕事を注文していただいていますので、ただでは作業しないが、最低限はいただくというところです。あまりに無理をすると会社自体が続けていけなくなるので。

今回の1100Rは走行中エンジンブローから、他店への仕事依頼、その後当社への引きつぎエンジンオーバーホールの流れでしたが、結局エンジンだけ完成しても走ることはできません。

エンジンを積み、エンジン関連の部品を組み付けて時に、車体をばらしてまで全ての見直しなどはできませんが、作業中に気づいた悪い点は修正し、できることはなるべくして、とにかく走れる状態にする。

エンジンの作業だけやればよい、他は知らんぷりではあまりに無責任だと思うわけで、旧車バイクの仕事はきちんとしようとすればするほど儲からないのです。(泣)でも完成するといいんですよね~。









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