長く乗っていなかったZを、持ち込みでレストアできるかの
お問い合わせをいただくことがあります。昨日もありました。
あるいは不動状態で知り合いが持っているものを、
買って持ち込んで良いかなどもです。
もちろん、それの専門店ですから可能です。
お問い合わせいただいたお客様が、既に当社のお客さまで、
2台目などのお話の場合は、いろいろ詳しく聞けますので
事前に車両の状況が解り、レストアの金額などもある程度
予測がつきます。
ですが、初めてお問い合わせいただいたお客様には、
それほど突っ込んだ話はいきなりできませんし、
機械ものに詳しい方もいれば、そうでない方もいます。
外観から見て解る錆は、誰でも理解しやすいと思います。
ですが内部の錆の進行状況は、外観からと、保管状況で
ある程度予測ができるものの、実際には分解してみないと
解りません。
お問い合わせの際、外から見てサビがあるといっても、
人によって感じ方が違います。
一年中まわりに全てばらしたZの部品が有り、いろんな状況のZを
見ていて、完全に寝かした状況からバイクを起こし、
それを普通に乗れるようにするのはとても大変なことと、
私は解っています。
いま受注を受ければ、車体すべてをばらして行うレストアやフルOHは
完成まで間違いなく1年はかかるでしょう。それほどの仕事量となります。
エンジン内はオイルが回っていて、もともとサビにくいのは当然ですが、
キャブレターが不調で、オイル内にガソリン分が多く含まれていたり、
ちょいのりが多かったりすれば、水分も飛ばなかったりします。
そういうエンジン内は早めに錆びてきたりします。
紹介する写真は、持ち込み車両の、実働していたエンジンの部品です。
これはクラッチハウジング。
これはクランクシャフト。
交換するほどではないですが、錆びてます。
動いていた車両ですので、ベアリングなどの摺動部分は
大丈夫でしたが、このバイクは明らかに乗っていない期間が長く、
保管状況も湿度60パーセント以上の日が多くある所に
あったようです。
年に数回程度ですが、「キャブはノーマルでできますか」
と聞かれるときがありますが、エンジンはかかって、一応走れたとしても、
本来の調子でなければ未燃焼のガソリンがオイルに入り
このようになりやすくなることも頭にいれる必要があります。
私のそばにいて40年も前のバイクを、しょっちゅう全部
バラしていれば、そのこだわりが多くが、すべてではないですが
機械的妥協の上に成り立っているものと理解できると思います。
要はスタイルにこだわって、機械が痛むことには目をつぶるのです。
あつい時に乗るのにオイルクーラーをつけない、
キャブセッティングが合わないマフラーをつける、
あるいはキャブセッティングが大きくずれた状況で
乗り続けることも同じようなものです。
話がずれてきてしまいましたが、10年以上不動状態で、
湿度が高く、換気が悪いところに置いていたバイクは
サビが進行しています。
それを、ただ動かすのではなく、きちんとした状態で
再び乗れるようにするのは根気、技術、時間が必要です。
カワサキZ系、J系、GPZ900Rにはそれをかける価値があり、
きちんと結果も出ますが、オーナーさんもそれなりの覚悟は
必要です。
悪いところは治してから乗る。強くこれを勧めます。
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