旧車はあなたにあわせてくれません。

同じ仕様のバイクに乗っていて、
一人のエンジンは、スカッとよく回り、
かたや吹け上がりが重たいという場合があります。
これについて、私も正確なことは言えない部分がありますが、
今までの経験から、推測できる部分があります。
上まで回らないエンジンは、当然日頃エンジンの回転を
上まで回していないエンジンに起こります。
それはなぜか。
今のバイクと違い、今と違い技術的にまだ未熟な時代の
バイクですので、バイクが人間の乗り方に合わせてはくれません。
バイクが本来のこうして乗って欲しいという使い方と、
大きくずれていると、すぐに上まで回らなくなったり、
オイル漏れが早くおきたり、ひどい時には壊れたりします。
きちんとOHなど出来ているエンジンで、
通常ほとんど起こらないような壊れ方をしてしまった場合、
操作に問題がある場合が、とても多いです。
「バイクがこういうふうに乗って欲しい」などというのか、
という話では、製作された国、年代、その時の交通事情、
メーカーはどこに売っていきたかったかを思い起こすと
良いとおもいます。
あくまでここから下の文は私一人の考えですから、
鵜呑みにはしないでください。
例えばZ1の発売当時は、今より断然道はすいていたと思います。
世界最速をめざして作りましたから、国内でテストすることが
あっても、日本の道をゆっくり走るのではなく、海外を
アクセルを存分に開け、走るように作られたのではないでしょうか。
気候も今の方が製作された当時より暑くなっているのは
明らかです。
日本は湿度も高いです。国によって違いますが、
湿度の低い箇所から輸入されたものは、
サビが驚く程少なくびっくりします。
その作られた当時のことを考えれば、どのように
乗ったり、維持していけば良いかのヒントになります。
気をつけなければいけない箇所はどこか、神経質に
なりすぎてはいけない箇所はどこか。付き合い方が
解ってきます。
そこで機械的な話です。
昔のバイクは当然キャブレターがついていて、それのセッティングは
どうなっているかというと、負荷のかかった時やある程度まわして
乗った時によく走るようにセッティングされています。
ということはやや濃い目にセッティングされるのです。
さらに今の高性能キャブレターは加速ポンプがついていて
アクセルを開けるたびにビュッと燃料が噴射されます。
ということは、ゆっくり走るだけでは、燃焼の温度があがらず、
やや濃い目の燃料の未燃焼の部分が残ります。
ゆっくり走るとは、低い回転のまま走り続けたり、
加速するとき、回転が低いままシフトダウンもせずアクセルを
開けてしまったりです。、
そうなると、エンジン側は燃える状態になっていないのに
キャブレターからは、濃い混合気がどんどん供給されます。
そして未燃焼の燃料がのこる。
完全に未燃焼のガソリンは、エンジンオイルに混ざります。
それがオイル希釈になりオイル性能の低下につながります。
そしてエンジン内を傷める原因になります。
オイルを抜いたときやたらサラサラしたモノが抜けたり、
純正キャブで調子の悪いものであれば、時に抜いたオイルが
ガソリン臭かったりします。
こうなっては、どんなに最初良いエンジンであっても、
傷んでしまいます。次から次へと余計な添加剤などを
ブチ込む、新製品のわけのわからないオイルを入れるより、
そういうことにならないように気をつかわなければ。
また、中途半端に燃え、スラッジとなったものは、
燃焼室内に残ります。それが燃焼室内の形状を変えたり、
燃焼室内の環境を大きく変えます。
その影響はピストンや、ピストンリング、バルブ、
バルブシート、ポートまでに及び、エンジンの調子を
どんどん悪い方向に引っ張っていきます。
いつもガンガン飛ばす必要は全くありません。
ですが時には調子をよくするために、上まで回してあげる
ことは大切なことです。
また濃くて調子を崩すのならと、キャブセッティングを薄くしてしまうと、
加速時に思うように加速せず、全く走らなくなってバイクとして
なりたたなくなってしまうので、そのような選択肢はありません。
以前、私がツーリングに行って休憩先でボーッといていたら、
ある程度年齢を重ねられたカタナオーナーさんに、
声をかけられました。その中の話で、
「私は全然飛ばさないよ。カタナがもったいないから。
だからいつもゆっくり走る。高いギヤでさ、ノッキングするぐらい。
よくカリカリいってる。」
当然こんな使い方は間違っています。
初対面の方なので、私は笑っていましたが、もし
当社のお客様なら、
「ゆっくりでもいいけどそんな低い回転では走らず、
もう少し回し気味で、完全に暖機運転が終わったら、
上まで一回は回してください。」
こういう話は、時に、言われるのはうっとおしいものです。
ですが、たくさんのお金を払って買ったバイクが、
本調子で故障少なく、長い期間走れる方が良いと考えます。
この件についてはキャブ以外のとこも書きたいので、
続きはまた後日。

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