ブログの右側に表示されるはずの
カテゴリー、アーカイブなどが
表示されていない場合は、
ブログ内の写真をクリックして
いただきますと表示され、
過去の記事など読むことができます。
今回写真で紹介しているのは
カワサキZ1000Jと
希少なホンダCB1100Rのヘッドです。
下の方で約40枚ほど紹介しています。
同じような写真で申し訳ないのですが、
一台だけ、あるいは一部分だけ良い
ということではなくいつも同様の
レベルで作業することの大切さを
解っていただきたく、クドクドと紹介
しています。
Z1000Jは車体のフルレストアの依頼で
その中の一つの作業としてエンジンの
フルオーバーホールの作業を行い、
CB1100Rの方は他所で購入された
車両で走行中にエンジンが壊れ
他店に修理を依頼し、エンジンを分解、
その後しばらくたってから当社に
分解された状態のままで
フルオーバーホールの依頼で入庫
しています。
このようにエンジンや車体を
ばらして作業が止まってしまって、
その後当社が作業を引き継ぐことも
たまにあります。
車種、状態にもよるので
なんでも引き継げるわけでは
ないのですが、
同様の方で困っている方がいれば
お問い合わせください。
ただ、予定が詰まっているので
時間はかかります。
この2台のヘッドはポートの
カーボン落としと燃焼室の作業が
終わったところで、
シートカットすり合わせ、
修正面研、外観のレストアなどは
まだ行っていません。
CBの方はこの後マフラースタッド
ボルトも取ります。
2台ともバルブガイドの状態は
良かったので
今回ガイドの交換は行わない予定です。
4バルブエンジンはガイドを交換するほど
消耗しているものは少なく、
2バルブエンジンは交換することが
結構多いです。
2バルブエンジンはバルブ自体が大きく
重いため、消耗しやすいといえます。
チューニング仕様のヘッドと、
オーバーホール仕様のヘッドとは
作業の内容が違い、
今回紹介しているオーバーホール仕様は、
カーボンを落とす際に、問題がある部分
(商品のばらつきで出っ張っている部分、
狭くなっている部分など)
を修正します。
あくまでオーバーホール仕様の
修正ですので、大きな変更は
行いません。チューニング仕様の場合は
吸排気の効率を上げるため、
大きく手を加えることが多いですが、
これも4バルブと2バルブでは2バルブ
エンジンのほうが加工する割合は
大きくなります。
オーバーホール仕様で、
修正と言葉にすれば簡単ですが、
特に狭くなってしまっている部分などの
作業はかなりの時間と手間が必要になります。
良く、素人さんがバルブシート周辺、
あるいは工具が入りやすい
手前の方だけ雑に削ったりしているものが
ありますが、雑に作業すれば
かえって悪くなってしまいますから
しないほうがましです。
ポートなどは削ってしまって
へこんでしまえば、ほとんどの場合
もとには戻せません。
また、
エンジンオーバーホールを
ショップさんなどに依頼した際、
ポートも燃焼室もカーボンを雑に
落としただけのものを多く見かけます。
といいますか、ほとんどが
その程度しか作業していないようですね。
それでオーバーホールと言っている。
作業依頼する際は店側の言葉を
うのみにせず、過去の作業の写真など
見せてもらうほうが良いです。
写真で雑とわかるほどでしたら
かなりひどいです。
古いバイクの場合、
商品自体に元々結構ばらつきが
あります。
2バルブエンジンの燃焼室は
乗り方が悪くなければ
それほど痛みませんし、
ばらつきは大きくありませんが、
空冷4バルブエンジンの燃焼室、
混合気が通る、吸気ポート、
排気ガスが通る排気ポート、
2バルブエンジンの吸排気ポートは
ものによって大きくばらつきが
あります。
4気筒エンジンならその4つで
形が結構違うのです。
ただ走れる、動いているという
エンジンではなく
本当の意味での調子のよいエンジンを
目指すなら、
ヘッド回りは今回紹介している燃焼室、
吸排気ポートの作業、さらに
バルブシートカットすり合わせ
(必要な場合はバルブガイド交換)
は特に時間をかけこだわったほうが
良いと思います。
といいますか、
きちんと作業しないのなら
何のためのオーバーホール?
分解して組み立てるだけなら
オーバーホールではないと思います。
そうなると作業前と作業後で乗った時に
たいして良くなったと感じない、
作業にまずいところがあれば
かえって悪くなったりする。
そういうエンジンになります。
よく聞く話でしょ。
それは作業が間違っている。
また今回紹介している
CB1100Rなどでいえば
ポートのバルブとバルブの間の
境目の部分は元々もっと丸く野暮な
形状なのですが当社なりの
オーバーホール仕様はここまで、
ということを頭に置きながらやや
シャープにして吸排気がスムーズに
なるように少し加工しています。
どこでもしている作業だと思いますが、
少しと言っても結構手間がかかります。
チューニング仕様ではこの部分も
こだわり、さらに仕上げた形状と
なりほかの部分も形状を変えます。
この写真の状態にするのに
Z1000Jの方で大体丸3日、
CB1100Rの方で大体丸5日かかっており、
作業する側の体の方もあちこち、(田崎)
特に上半身は作業後パンパンになります。
サラリーマン時代でOH仕様の時、
2バルブで作業日数はだいたい2日、
4バルブでもたぶん3日ぐらい
だったと思います。
それ以上だと注意される。
今は作業時間を自分で決められますから、
まずは品質を自社基準にして、
足りない時間は他から持ってくる。
例えば何通かある
メールの返信を急ぎでなければ
明日に伸ばす、
出かける予定をなくす。
お客さんになるべくバイクを
持ってきてもらう。
など、極力作業時間が削られないように
工夫します。
一般のバイク店のように
ふらっと立ち寄って世間話などを
している時間は当社には
ありません。
ちなみに腕が同じであれば
ポートなどの仕上がりは時間に比例します。
私と世間話をするより
ポートがよりよく仕上がったほうが良い。
ただしある程度のところまでくれば
乗っての違いは感じなくなるため
ある意味それは無意味なことで
自己満足ですから、
OH仕様は今回紹介している状態までで
充分だと思います。
4バルブのほうが数が多いのと
形状が複雑、また各部が狭いため
作業がしにくく時間がかかります。
作業日数はある程度把握していますが、
こういう作業の場合、
何時間かかったかまで測らず考えない
ようにしています。
これは特に70年~80年代の
古いバイクを取り扱う仕事の場合、
元々の状態にばらつきがあるため
時間ばかり気にしていると
どうしても仕上がりよりも
何時間までで終わらせたい、
と、どうしても頭に浮かんでしまい、
新品からものを作っていくのと違い、
出来上がり品質にばらつきが
でてしまうからです。
作業を始めてから大体3~4日で仕上がり
そうなどと計算して、それよりも
遅れそうなら無理やり時間を作る、
という感じです。
仕上がりを一定にすることのほうが
大切ですから。
ちなみにこれらの作業は
職人だけができる作業だとは
私は思っていません。
だから、えらそーにうんちくを垂れられて、
ありがたがって聞くようなこと
でもない。
仕事を始めてすぐに誰でもできるとは
思いませんが、
マフラーを曲げるにしても
何にしても、階段を上るように
一つ一つ覚えていけば、
ほとんどの方ができると思っています。
ただ実際に誰でもできるかと言えば
結局どういうものを納めたい、
という気持ちがあり、実際にどこまで
行動するか粘れるかで、
さらに出来たと思ったところから
もう一発確認、気づいたところがあれば
修正、なのではないかと思います。
もちろん、500万円のバイクと
300万円のバイクが同じ仕上がりでは
ありません。
その金額分は違いがありますが、
注文していただいた金額で
どこまで頑張れるかいうところです。
先々Z1000LTDの整備仕様を
(売約済み)紹介できると思いますが、
整備仕様でも限界まで頑張ってます。
ヘッドの作業で、
燃焼室、ポート、シートカット
すり合わせがきちんとできていると、
乗っていての好調さ加減が
とても気持ちが良く、
(これで実測の出力の数値が大きく
変わるわけではない)
しかもそれが長持ちします。
良いものが解れば、手を抜くことが
出来なくなります。
この辺が手抜きのものは
乗っていてゲロゲロな感じで
気分が悪い。
今、当社で受けている仕事は
好きなことしかしていません。
古いバイク作業は手間がかかり、
面倒なことばかりですが、
自分のものでなくても
仕上がった時の喜びはとても
大きいものです。
先ほど書いたオーバーホール作業の
ポート作業のように余計な時間が
かかることが多くても、時間を
費やすことが苦ではない。
むしろ途中で作業を中断したり、
出来が悪いことのほうがイラっとします。
今回紹介している
Z1000J、CB1100Rに限らず
そのほか受注している皆様のバイクを
仕上げるのが楽しみです。
それは毎回気づいた部分を改良し
毎回ステップアップし、仕上がりレベルが
上がることを楽しんでいるからです。
調子が良く、しかも
故障が少ないエンジンにしたり、
チューニングエンジンで扱いやすいまま
オーバーホールエンジンより高い出力を得たい、
どちらも長く使っていても出力の低下を
なるべく少なくしたい、
そう考えたとき、大切なことは何でしょうか。
それは一つの部分に無理をさせない。
この考えが一番大切です。
自称プロの人でも解っていない人が
多くいます。
例えば必要以上に大きい排気量にする。
圧縮比をとても高くする。
キャブレターの口径を必要以上に大きくする。
作動角、リフト量がとても大きいハイカムを入れる。
なんてのが良く聞く話だと思いますが、
一か所で出力を出そうとしたり
好調さを出そうとすると無理がかかり
とてもストレスの多いダメエンジンになります。
結果、壊れやすく、出力もトルクも出ない。
ドラッグレースのようにレースが
走り終えるまでの耐久性があればいいと
いう場合と、
私たちが趣味で長く乗り続ける場合では
車両制作時の目的が違います。
エンジンをオーバーホールして
5年、10年、あわよくばずっと調子よく、
一生開けなくて済めばそのほうがいいわけです。
そうなれば
一か所だけ負担が大きくなるような
ことはせずに、
今日紹介したようなポート、
燃焼室だけでなく、
ピストン回り、クランク回り、
マフラー、点火系、キャブレター
スロットル回りなど、一つ一つ、
きちんと良い部品と
良い作業で積み上げていけば
必ず良い結果が得られます。
相変わらず、当社に作業依頼の
お問い合わせでキャブはノーマルで、
オイルクーラーは飾りにしか
見えないような小さいもので、
と言われる方がいます。
正直がっくりきます。
この場合当社と方向性が違うので
お断りしています。
それは当社のきちんと長く調子よく
走れるものを納品する、
という目的とは違ってきます。
ホームページや、ブログなど読み込んで
いけば当社がそういう方向性ではないと
解っていただけると思うのですが。
オイルクーラーの方は
走る季節、エンジン仕様によっては
なくても良い時もあるかもしれませんが、
古いバイクの純正キャブで長く走った後の
燃焼室、ポートの状態を何台も
見続ければ、エンジンの状態に合わせ
セッティングされた混合気をエンジン内
に送れるかがいかに重要なことか
わかると思います。
空冷エンジンは特に、
回りの環境、暑さ、寒さ、
混んだところを走るのか
空いた道を走れるのか等で
エンジン内の燃焼状態が大きく
変わります。
運転の仕方でも、
設計時の想定のものと大きく違えば
乗っていくうちに調子が悪くなって
しまうこともあります。
その時に融通の利くキャブの重要性が
エンジンを分解すれば誰が見たって
解ります。
人だって、まずいご飯もたまになら
耐えられますが、
毎日食べ続けろと言われれば
耐えられないでしょう。
どんなにエンジンの作業を
きちんとしても
回りの部品が悪ければ
調子よく走れず、長持ちはしない。
当社は年に3台しかレストア車を
製作できません。
これにプラス、
エンジンオーバーホールや
納品後の車検などの
整備作業がいくつか入ります。
その数少ない作業が、
回りの部品に足を引っ張られて
調子が悪くなるなんて、そんな仕事は
したくないのです。
今回写真で紹介しているCB1100R。
このエンジンはとてもまずい分解の
作業を受けていました。
私世代の方なら、
このCB1100Rの存在価値は
普通のバイクとは違うということを
知っていると思います。
金額が高い安いを言っているわけでは
ありません。
このバイクの存在価値がわかっていない。
それなのに雑な分解のされ方を
していました。
うまく分解できなかったのか、
なぜか必要以上に火であぶり、
さらにマイナスドライバーのようなもので
こじって分解され痛んでいました。
この作業に対し、私はとても
腹が立っています。
4連FCRキャブのほんの一部を分解した
だけで3本もねじがきちんとしまっていない
というような人もいます。
これでお金を取っているのなら整備士
とは呼べない。
このような人の発言も信じるべきではない。
何事も一度は疑ってみて、
何が本質なのかを考えるほうが良いと思います。
そうすれば調子のよいエンジンも
扱いやすい車体も手に入ったも同然です。
コメント