写真はZ1のフレーム修正に送る直前の写真です。
以前にブログで少し書きましたが、この車両は他店でカスタムされたもので、真っすぐ走らないという事で完成状態で当社に持ち込まれたものです。製作した店からは「こんなものですよ」的な話をされたそうです。それでいつも真っすぐ走っていない感じがすると数年にわたり悩んだ挙句、当社に依頼が来ました。
実際にお預かりしてから私が試乗して、確かに真っすぐ走っていないことを確認。
その後まずは費用がかからない足回りなど簡単な方から順番に確認して、大きな問題がなく(補強されたスイングアームは少し曲がっていた)もうこれはフレームしか原因が見当たらないという事で、フレーム修正の専門屋さんに送る準備が終わった写真がこれになります。
全部ばらして仮のクランクケースと足回りを組んでます。
フレームの修正は単品で送るイメージがあるかもしれませんが、足回りの部品も問題がある場合が多く、実際今回は走行には影響が出ていないもののスイングアームも当社の治具て確認したところ、少し曲がっていたのでそれも取り付けて送ります。
スイングアームを除きエンジンのクランクケース、純正のMK2の足回りなどは当社で用意して組付けたものです。フレームはまず測定してもらい、曲がりなどがあれば修正をしてもらいます。当然その時には大きな力を加えますので、フレームに傷が入ったり、エンジンにも傷が入ったりすることがあります。
それを防ぐため当社ではこのような場合、エンジンを積み替えて修正屋さんに送ります。ステム、フォーク、ホイールなども問題ないと解っている場合で、きれいだったりする時には傷が入ったりすることがあるので交換しておきます。今回は下記理由もあり、また新品部品が多数組付けられていたので外しました。
また、このフレームには補強が入っていますが、その際にパウダーコーティングで塗装されています。今回それに傷が入ったりする場合は再度パウダーコーティングをしてきれいな状態にして欲しいとのご依頼です。
パウダーコーティングは当社では日頃行っていないので(私が質感が好きではない)今回フレーム修正を行う店側でしてもらうことにしました。これはできるだけ修理費用を抑える理由もあります。
パウダーコーティングは最初の施工は塗装に比べると店側の手間がそれほどかからず楽ですが、今回のようにフレームの修正が必要となり傷などが入った場合に再度パウダーコーティングを落とし、再コーティングするのがとても大変な作業になります。
その時に車体の配線など各部品がついていると、それらをばらす作業がフレーム修正屋さんで行われることとなり、こちらの期待しているような作業レベルで仕事はしてくれないでしょう。彼らの仕事はフレームの修正をすることが本来の仕事なのですから。
このZ1は当社で組付けたものではないため、全く組み方が違います。はっきり言って雑です。修正屋さんでばらされるとどうなっていたか解らなくなるでしょう。
そこで写真を残してすべて当社で分解し、修正屋さんは修正の仕事と当社では行っていない、パウダーコーティングを再度する仕事のみを行ってもらうことにしました。
当然全部ばらすとなれば費用がかかります。でも中途半端な仕事では結果が出ません。それではまた持ち主の方の悩みが増えるだけです。これは低価格のエンジンオーバーホールなどでも一緒。そんなものでは良い結果は出ません。相手(店)の懐にただお金が入るだけです。
修理をする時には手順をきちんと踏んで、それぞれ専門の仕事をきちんとしてもらい、それ以外のところは自社で引き受ける。これが結果を出す唯一の方法です。
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