先日お客様から数人、良いご質問があったので、それについて書きたいと思います。簡単に言えば購入後のお支払いについてです。
まともな旧車バイク購入となればどのバイクもそれなりの金額がしますから、バイク購入のためにお金を貯めていたという方以外は、予定外に欲しいバイクと出会ってしまった時、なかなかお金の準備は大変だと思います。私ならローンになります。
新車や新しめのバイクの時はすぐに買わなくても、お金が用意できるまで待って買う、それでもバイク自体がなくならないのでそれでも良いわけです。
ところが古いバイクで、当社のように程度の良い物しか売らないとなると、30年~50年も前のバイクで程度の良いもの、しかも私から見て程度の良さと金額のバランスがとれているもの(安いという事ではありません)となれば、車種によっては数年に一度ぐらいしか出会いがなく、入庫すること自体がとても珍しいものもあります。
このような貴重な旧車バイクで欲しい物がある時に、手持ちのお金が足りずにチャンスを逃すほどもったいないことはありません。時々家族の反対もあるようですが、自分で稼いでいるのなら無視すればと思いますが。その分頑張って働こうでいいのでは。
大体一度逃すと数年にわたり、時と場合によっては10年単位で見つからないこともあります。年々価格も高くなっていくことが多いため、ダブルできついですね。逃してしまえば再びチャンスはめぐってこないかもしれないわけです。
またカワサキZ1のような販売台数が多いバイクでも、良いもので価格が適切なものはとても少なくなっています。これは欲しい方が多いからですね。MK2やローソン系より断然多い人数です。
そこでですが、何とかして手に入れたい時、注文の際にいくら入金したらよいか?いうことです。
当社は違いますが、これは基本全額が当たり前だとお考え下さい。新車のバイクや車、新しめのバイクを購入するときに仮に200万円を3回に分けて支払うなんてことはありませんね。
ローンを組むにしても、クレジット会社からバイク屋に全額先に入金されるわけで、月に数万円ずつバイク屋に入っているわけではありません。
一部入金であればすべての車屋、バイク屋は資金が回らなくなりすぐにつぶれてしまうでしょう。しかもあっという間に。
そこで当社、タサキチューニングはどうしているかですが、これは購入されたバイクにより支払い条件が変わります。
ただしここで最初に書いておきたいのは、繰り返しになりますが本来なら当社でも商品(バイク)を買った時点で全額お支払いが当たり前だという事です。
でも、当社ではそうなっていません。
理由は簡単で、すぐに納品できないからです。つまりお客様の都合でなく当社側の都合ですね。
すぐに納品できないのに全額ご入金では申し訳ないと。
すでに完成しているバイクを売ることができる状態なら、当社でもすぐに全額入金していただきます。ですが作り置きできるほど当社は暇ではなく、ご注文いただいてからレストアやオーバーホール作業に入ります。
時間については本当にシビアで、突然の電話1本の時間も失いたくありません。無駄なメールなどの連絡もしたくありません。時間がもったいないです。
事前の連絡もなく、近所にたまたま来たからなどと何の目的なく来店される方もいたりします。事前にご連絡がない場合近くまで来ていると電話いただいても、すべてではないですが基本来店を断っています。
先日も地元大分の企業がブラストについて教えて欲しいと、事前連絡なく近所まで来ているからなどと会いに来られましたが、別の日に再度約束してから来てもらうことに変更してもらいました。後で直接会ったときにはとてもきちんとしている方なんですけれど。時間に対しての感覚が違うのかな。
私としては今日すべき作業が決まっているのに、予定外のことですでにご注文いただいているお客様の作業時間を減らし、納期を少しでもさげたくないのです。
話がそれました。エンジンオーバーホールだけでも現在は1年以上、フルレストア車は約3年、時間をいただいています。
そうなった時、仮に500万円のバイクであった時それを全額支払って、どんなに信頼関係があってもその待っている長い期間、不安にならないでしょうか。きちんと納品されるのかと。
私なら不安になります。1年でも3年待ちでも実際に大きく作業が進むのは完成に向けて一気に作業が進む納期ギリギリぐらいで、それまでは地味に小さな作業を進めていく感じになります。
これら作業は本当に地味で私たちにしかその重要性が解らないでしょう。
となるとお客様側から見れば大きな進展なく、お金は入金しているのに作業が進んでいる感じがしないため、これはお客さん側から見れば不安になって当たり前だと私は思うわけです。
自分が嫌なことをなるべくお客様にも強いたくないので、当社では支払いの条件を納期が長くなったかなり前から変えています。
それはフルレストア車のご注文の場合、仮に500万円の車両であれば300万円程度など(仕入金額などによって変わるので決まっていない)入れていただいて、作業が進展したならその後追加の入金を100万円などしていただく、そして販売価格の90%まで入れていただいたなら、残りは納品時にお支払いいただくという形です。
ですので、通常数回に分けてお支払いいただいているわけです。
それと異なってくるのは、エンジンオーバーホールや部分整備コースでの販売車両です。こちらは通常購入時に販売価格、作業金額の90%まで一気に入金していただいています。
それは納期が異なるからで、納期が1年~1年半の作業の場合、すべてではないものの、ご注文時にあらかじめ多くの部品を購入します。それでないと組み立て時に部品がそろっていないという事が起きる確率が高くなってしまうからです。すべて頼まないのは保管場所がないから。
旧車は突然部品が欠品になることがあるので、とにかく部品の確保が大変です。突然部品が欠品になり、それを確保したり調べたりするのに丸1日かかったなんてこともあります。
(整備販売車両でも納期が長く必要な時は数回に分けていただいて構いません)
時々、フルレストア車は入金が複数回に分けてですから、過去にご注文いただいたお客様から、オーバーホールや部分整備車両を購入いただいた時に、販売価格の90%ではなく、半分や、3分の2程度でも良いかと質問を受けることがあります。
急に好みの良いものが出てきて資金が用意できない時や、過去購入したものがそういう支払条件だったからと考える方が多いようです。
ですがそれは基本出来ません。なぜなら、部分整備車両であってもエンジンオーバーホールであっても当社の場合、大量に、しかも高額な部品を買う必要があります。その辺の拾ってきたような安部品ではなく、社外品であってもできるだけ良いものを調べて仕入れます。
そのようなものは決まって高価です。例えば販売価格が300万円の部分整備車両の時、最初の入金額が半分の150万円にしたいとお客様から言われたとします。これは受けられません。(販売できないの意味)
理由は簡単で、まず当社の販売する車両は程度の良いものをベースにしてそれを整備やレストアして販売します。
300万円のうち150万円の入金ですと、車両仕入価格と、整備とレストアに必要な部品代に足りないわけです。
となると、製作までの1年~2年の間、当社は全くの無収入、しかも手出しの方が多い状態になります。そうなれば会社は存続できませんよね。
製作期間の間、ずっと赤字になっているわけです。これが数台もあることを想像して見てください。
そこで作業が雑な会社の登場です。店頭に整備済みと言ってたくさん旧車バイクが並んでいます。例えば1台を、レベルが低く勉強もしておらず正しい経験もない自称整備士が、安い早い物が悪いの外注にどんどん作業依頼して1か月で販売できるような状態に出来るとします。当社側から見れば壊しているようなもので、整備前の状態に戻してくれというような商品です。
これだと完成→納品までのサイクルが短いので仮に頭金だけ先に入金してもらって、残りは納品時に支払でも1か月程度で全額入金されるため、会社側も問題ないわけです。
レストアを本気で行っている会社、車でもバイクでも家でも尊敬します。本当に大変です。もし少しでもご理解いただけたら嬉しいです。
ちなみに部品やバイクの保管場所も大変です。痛めないように保管しないといけませんし。とにかくスペースが要ります。私も自宅に部品も置く羽目になっていますし、たまにバイクも家に持っていく羽目になっています。
今回の最後に、こちらからお願いしてもいないのに、数年後の納期でも信頼していただいて全額ご入金していただいているお客様。
こういう場合は断りません。(笑)きっと、ご期待より良いものを納めているはずです。
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