自分のバイクのスプリングを変えたことのある方は
どれぐらいいるでしょうか?
サスペンションにイニシャルやダンピングの
調整機構が付いているものもありますが、
それらも含め全く触ったことのない方も
いらっしゃるのではないでしょうか。
純正メーカー出荷時のサスペンションセッティングは、
その時代時代で流行みたいなものがあり、
年代で方向性が結構異なっています。
ですから、時代的にあきらかに
乗りにくいものもあるのでそのままでは
足回りのセッティングが悪く
そのバイクの良さを全く体験出来ていないことも
考えられるのです。
せっかく買ったバイクなのにもったいですね。
これにはバイクに使用されているフレームとの
兼ね合いがあります。
近年は、フレームの剛性が高くなっており
それを生かしたものになっていますね。
もちろん、そうは言っても自分に合った調整で
出荷されているわけではありません。
古いバイクの純正状態で、
フロントフォークに硬いスプリングが付いているものに
出会った事はありませんが、
極端に柔らかいスプリングがついていたり
アンチノーズダイブ機構が使用されて
いるものは多く見受けられます。
リアサスペンションについては
2人乗りを強く意識して作られているものもあり、
そういうものは硬いスプリングが使用されていますから
サスペンションが全く動かず変更したくなりますね。
純正で使われているスプリングも
全体が同じ硬さのシングルレートのものであったり、
スプリングの1部が柔らかく、もう1部が硬い設計の
2段レートのものもあります。
フロントフォークに2段レートのものが
使用されている時、
ゆっくり走っているときには特段問題はありませんが
負荷がやや高めの走行している時には、
ギャップなど何かのきっかけで突如として
ハンドル周りが暴れたりすることがあり、
純正以外のスプリングを変更するときには
使用しないようにしています。
純正の2段レート物は硬い方のレート自体も
柔らかいものが多いので
暴れたりということは起きにくいですね。
リアサスペンションは、
リンク機構が付いていたりフロントとは構造が違うので、
2段レートでもほとんどの場合問題なく走れますが、
交換するならシングルレートの方が解りやすいです。
私も素人時代にフロントフォークに
社外品2段レートのものが入っている状態で走行中、
ハンドルまわりが暴れまくってこけそうに
なったことがあります。
一瞬のことなので、
暴れ始めると運を天に任せる感じでどうにもなりません。
非常に怖い経験です。
その後から、フロントフォークのスプリングを
変更する際には、シングルレートを使うようにしています。
シングルレートスプリングは計算もしやすく、
自分の車種に合うスプリングさえ手に入れば
間違いなく走りの質を向上させることができます。
販売されているフロントフォークスプリングには
今でも2段レートのものも多く売られていますが
お勧めしません。
スプリングを交換する時には、
スプリングのレート(硬さ)が大切です。
体重や、運転の仕方、ブレーキの効き具合など
条件によって変わります。
それを一般の方が何も知らない状態で
選ぶのは難しいですね。
こういう時はノウハウのある店で
一発目のレート変更をお願いするのが
良いです。
それを基準にしてより自分好みに
調整していきます。
先日、当社の販売車両 DUCATI900ssの
フロントのブレーキパッドを交換しました。
残量も充分あり、握りこんだ時の効き具合は
問題なかったのですが、
もう少し初期の食いつきの良いものにしたかったからです。
その変更によって、
初期の食いつきは狙ったように良くなりましたが、
当たり前というか、強めに握ったときの効き具合も
より効くように変わりました。
この年代のドゥカティ900 SSのスプリングレートは、
純正でやや柔らかめのものが使用されています。
今回のパット変更後でもとりあえず走れないわけでは
ありませんから、イニシャルを調整し、
一旦そのままでも良いかなと考えていました。
ですが、現在のブレーキの効き具合から考えると、
もう少し高めのレートに変更した方が
バランスから考えより楽しく走れるのは
間違いありません。
そこで純正よりも少し高めレートのものを
注文しました。
すこしの変更でも大きく走りは変わります。
欲しい部品が売られているって
(それほど高くもない)すばらしい。
勘違いされている方が多くいるのですが、
一般道で使う適切なバネレートを選べば
乗り心地が悪くなることもありません。
柔らかめのスプリングを使用している場合には、
ブレーキング時に沈み込みが大きくなってしまうため
イニシャルが多めにかけられている(縮められた状態)
ことが多く、それによりゴツゴツとしたのり味に
なってしまっていることが多くあります。
適切なスプリングを使えば、
その状態よりもイニシャルをやや抜いた状態で
セッティングできるので、
かえって乗り心地が良くなることも多くあります。
これはリアサスペンションも同じで、
乗り心地も良くなっているのに、
アクセルを開けたときには向きがよく変わり、
コーナリングをより安全に、より楽しめるようになります。
フロントフォークのスプリングレートが
自分に合っているとどうなるか?
乗り心地も良くなることもそうですが、
1番わかりやすいメリットは、
ブレーキング時の安定感でしょう。
バネレートが合っていないときに
フロントブレーキを強めにかける時、
それには緊張感が伴います。
下半身で体を安定させつつなど、
対してペースが速くない時でも気をつかって
走らなければなりません。ストレスです。
車重の重いバイクや、ポジションが前下がりのバイク、
セパハンではないZのようなバイクでも
下り坂でのブレーキング時は特にそうですね。
フロントフォークのスプリングレートが
自分に合っているとその不安定さ、
恐怖感から解放されます。
ドゥカティ900 SSのようにセパハンでも
トラスフレームの良さから、
フロントの接地感がよく伝わってきて
元々ブレーキング時の怖さが少ない車種もありますが、
スプリングレートが適切になると
まさに鬼に金棒という感じになり、
強めのガンガンブレーキをかけたくなります。
また、柔らかめのスプリングにインシャルを多くかけた
フロントフォークを使用している場合、
フロントブレーキをかけ、そしてリリースするときに
一気にフロントフォークが伸び不安定になります。
もちろん、伸び側のダンピングを強めにすれば
良いのですが、古いバイクの場合
調整機構が付いていないものも多く、
またオイルを硬くしたりダンピングを強めにすれば
乗り心地は悪くなりますし、ギャップを越える時など
サスが動かず不安定になります。
刀1100の初期型にアンチノーズダイブ機構が
使用されていますが、エンジンをチューニングして
後ろの足周りや前後ホイールなどを変更、
フロントブレーキもより効くものに変更された
バイクに乗ったことがあります。
この時は、アクセルを開けるたびに、
一気にフロントフォークが伸び不安定そのもの。
そしてアンチノーズダイブ機構があっても
ブレーキング時はフォークが大きく沈み、
せっかく効くブレーキもその能力を発揮させる
ができませんでした。
コーナリングの進入でもブレーキレバーを話すと
フォークがすぐに伸びてしまい上手く走れません。
その後その刀は、フォークごと変更し、
スプリングレートも適切なものになりましたが、
フロント周りを気にせず走れ、
エンジンの出力を存分に楽しめ
実に楽しかったことを覚えております。
当社の販売する車両は、出荷時に使用されている部品、
エンジンの出力に合わせ、あらかじめ必要な場合
スプリングなどもできるだけ変更、調整して
出荷されています。
もちろん走って調整、確認しています。
(もちろん販売価格によって差はありますが)
使用される方の体重、乗り方、走る場所によって、
再調整した方が良いのは当たり前ですが、
出荷時に基準となるところに調整しておくことが
大切なんですね。
殆どの方はサーキットを走ったりする方以外は
そのままで走っているようですが。
また、スプリングレートを変更したくても
部品がない場合もあります。
予算がある場合は、1品物で作っても良いのですが、
程度の良い古いバイク自体が高価なため、
なかなかそこまで予算が回せない場合もあります。
ですが、できるだけ乗りやすく、
バランスの良い状態で出荷したいと考えております。
今回、販売車両ドゥカティ900 SSの
フロントフォークスプリングを注文する際に、
カワサキZ系36ミリ純正フロントフォークに
使用するスプリングも注文しました。
カワサキZ系に組み込まれている純正スプリングは
車体の他の部分を大きく改造していなければ
かなりの場合そのまま使用しても問題なく
走れることが多いです。
こういうところも名車なんですね。
走りが悪い時は、社外品の2段レートのスプリングに
変更されていたり改造されているものが多いです。
36ミリのフロントフォークには、
ほとんどの場合今まで純正のスプリングを
使用してきましたが、
近年良いものが手に入りにくくなってきたこともあり、
そういう時でも良いスプリングが使用できるよう
手に入れてテストし、純正が手に入らなくても
皆さんのもの使用できるようにしたいと考えています。
純正品はどんどん欠品になっていても
その他の部品は良いものも沢山あります。
こうやって自分だけのバイクにしていくのも
古いバイクの楽しみ、
見た目はパッと見同じでも
その走りは全く違うのです。
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