古いバイクがどこからどこまでの年式なのかなど
明確な決まりなどはありませんが
私の肌感覚的では、空冷エンジンが主流だった時代から
水冷エンジン初期ぐらいまでが解りやすいかなと
考えます。
この時代のバイクに乗ってみたいと考えている方がいても、
故障や、取り扱いが難しそうだとなかなか踏み出せない方も
いるかもしれません。
その時代のバイクと現代のバイクで一番違うのは、
バイクが人間に都合よく合わせてくれないということです。
現代のバイクであれば
エンジンの始動の仕方から、
実際に運転している時のアクセルワーク、
走行状況にあった適切な使用エンジン回転域など、
少々間違った使い方をしていても
許容範囲が広く何事もなかったかのように
走ってくれます。
そもそもエンジンの始動なんてボタンを押すだけ、
購入時は「おっ」と多少なりとも
喜びがあったとしても、
すぐにエンジン始動にイベント感はなくなります。
走行中、本来ならエンジン回転が低い時に加速する時は、
シフトダウンしてギヤを一つ、もしくは2つ落としてから
エンジンの回転を上げ、それからアクセルを開けて
加速するのが適切な扱い方です。
1990年前後ぐらいから負圧式キャブレターが
多くのバイクに使われるようになり、
シフトダウンしなくてもそのままアクセルを
開けると、加速は鈍いもののそのまま息つきもせず、
何とかうだうだ加速してくれるようになった。
負圧式以前の強制開閉キャブであれば
息つきして加速をしてくれません。
これは走れるには走っているけれど
間違った使い方で、とてもエンジンに
負担が大きい状況です。つまり傷む。
故障につながる。
そして現代ではインジェクション車が主流で
さらに間違った運転の仕方でも許容して
走るようになった。進化としては進化です。
でもこれは間違った操作の仕方です。
そしてエンジン本体も、間違った運転、
操作方法でもオイル漏れなども少なく、
そして故障自体も少ない。
間違った運転自体もメーカー側が推測し、
飲みこめるように
あらかじめ設計されているからです。
では古いバイクを運転したり、維持することは
難しいことなのか。
これははっきりと否ということが言えると思います。
ただし古いバイクが発している声を聞こうとする
気持ちが大切となってきます。
その声を無視した時に故障や乗りにくさに
つながっていくわけです。
もしすでに古いバイクを持っていて、
故障、トラブルが少ない、維持費が少なく済んでいるなら
それが無意識であっても古いバイクの声を
よく聞けている証拠です。
もし今まで何事もなく過ごせていたのに
バイク屋にエンジンオーバーホールに出して
トラブル続きとなったのなら
それはバイクからの悲鳴なのです。
悲鳴を聞いたらどうしますか?
それはなぜなのか理由を知ろうとするでしょ。
故障が起きた時、
自分の一方的な意見や考えを古いバイクに
押し付けてダメで
旧車からの声を聞いてコミュニケーション
をとらないといけない。
それが面倒というのなら、唯一、
そこの部分は古めのバイクに乗るのは
向いていないと言えると思います。
バイクからの声を聞こうとする気持ちが
あくまで大切です。
私も常にそう心掛けています。
ですので、悪くもないところには
余計なことはせず、
必要と思われる作業をする。
それが古くなれば古くなるほど
作業量が増える理由ですね。
例えばエンジンオイルが漏れる、
なんてのもバイクからの声です。
使っているオイルが合ってないよ。
ガスケットが古くなってるよ。
暖機運転が長すぎるよ。てな感じで。
この時バイクの声を聞く気がないオーナーさんなら
無理やり自分の考えを押し付けます。
「評判のいい今までと違う高いオイル入れたのに
なんでオイルが漏れんの!」
それは古いバイクにとって値段の高いことは
関係なく、合っていないから
入れないで欲しいと訴えているわけです。
難しいことを言っているわけではありません。
エンジンがすぐにかからない。
ギヤシフトがしにくい。
アクセルを開けたら息つきする。
故障が多い。
全部古いバイクが発している声です。
この時にオーナーさんは自分の一方的な
意見だけを発していないか。
バイクを手に入れる時、何も整備はしていない、
けど故障はするな。
今まで古いバイクを運転したことはない、
初めて古いバイクを手に入れて同じように
運転しているのに乗りにくい、
いやそれは今までは新しいバイクが
運転者のフォローをしてくれていたのですよ。
そこで。
その声を素直に聞いて、どうしたらいいのか考える。
あちこち故障が多いのなら
その声がきちんと聴こえている
整備士に整備をしてもらう。
聞こえていない整備士には頼まない。
そこまで気に入ったバイクでなく
思い入れもないのなら車両を変える。
古いバイクには自分の都合だけを押し付けでも無駄。
声を聞きつつ、自分好みのバイクになってもらう
努力(改造やチューニング、レストアですね)をする。
新しいバイクは本質的な部分に
手を加えるのは難しいし、
大きく変化を求めることも難しい。
それに比べ古いバイクは
車体、エンジン、外観まで大きく変更し
元々古いというだけで個性的なのに
さらに自分だけのものとすることもできる。
ぜひ怖がらずに古いものも経験して
もらいたいと思います。
先日私も一つ声を聞いて
FCRキャブの変更をすることにしました。
油冷エンジンのキャブですが
スロットルケーブルの取り付けに難があり、
前回取り付け時には
ケーブルがつくステーを加工して
何とか取り付けました。
これが結構大変ですし、もっと良くできる。
今までと同じやり方ですと、
ガソリンタンクがスロットルケーブルを
圧迫、燃料コックがスロットルケーブルに近くにあり
ホースも近くを通っていて、整備がしにくい、
バイクがもっといい方法ないのと
話してきます。
油冷エンジンは4気筒で
進行方向左から1番、2番と数えます。
通常スロットルケーブルは2番と3番の間に
取り付けられています。
またGSXR750では純正で3番、4番の間に
スロットルケーブルがつくようになっているのですが
それはそれでスロットルケーブルの曲がりがきつく
フリクションが大きくなるので
あまり良くありません。
そこで今回は1番2番の間に
スロットルケーブルのがつくように
改造してもらうことにしました。
メインハーネスも右側を通っているので
上手くいくのではないかと。
一度キャブを分解して位置変更をしなくては
いけなくなるので、追加費用はかかります。
実はこのようなことはチョビチョビあって、
市販で売られているままでは
もう一つということがよくあります。
沢山の車種があるので、そこまで細かくは
対応できないわけです。
こういう時もバイクの声を聞いて少しずつですが
変更、改良を試みて徐々に良いバイクに
仕上げ、かつ故障が少なく
メンテナンスがしやすいバイクに仕上げて
いくわけです。
こういう時ってパーツサプライヤーからの
受け身だけはなくこちらで調べて具体的に
アイディアをだして変更しないと上手くいきません。
この場合上手くいかない時は
こちらの責任になります。
したがってFCRキャブをつけると言っても
セッティングにしても、良い思いができる人
そうでない人が出てくるわけです。
つまりただパーツがついているだけで
本来の性能が発揮できていない状態ですね。
全ての元はバイクの声を耳を澄ませて
よく聞くことで、結果オーナーさんが
良い思いができることにつながるわけです。
せっかくなら楽しくカッコよく乗りたいじゃないですか。
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