余計な作業をさせないしない

いま、GSX750Eの製作模様(前編)の続きを
準備中です。
近いうちに紹介できると思います。

話は変わって本題ですが
先日、日常の足で使っている
家族の車を車検整備に出しました。

旧車などではないので
ディーラーに出しています。

1年点検は必要ないと思っているので
1年ごとにオイル交換や消耗品の交換と
空気圧の点検をする程度ですし、
それも必要ない程度の使い方の場合は
それもしていません。

そのディーラーとの付き合いは長く
もう10年ぐらいは経っていると思います。
おかげさまで嫌な思いをしたことがなく
良好な付き合いをさせていただいています。

ディーラーは人の入れ替わりがあるので
これってかなり珍しいことではないでしょうか。
逆に担当の方も変わっているのでしょうが
名前も覚えていないぐらいです。

その車検に出す車のドアの方から
嫌な感じのビビり音が左右から出ていました。

これはその車を購入してしばらくしてから
音がでるようになっていました。
最近の車は旧車と違い静かなので
かえって気になります。

しばらくどこから出ているか
解らなかったのですが、
ドアロックの方から出ていることが解り
ちょっとしたことで音止めできました。
ただし見た目が少し悪くなります。

ですが根本的な手直しではないので
本来ならドアの内張を外して部品の交換が
必要なのだと思います。

車検整備の際に通常ならその部分を
ついでに治してもらうところですが
私は依頼しませんでした。

ドアの内張などが分解されるのが
嫌だったのです。

最初に書いたようにそのディーラーさんとは
良好な関係を築いています。

以前、別の車でしたが
水温が上がったことがあり、
エンジンのヘッドを降ろすような
分解整備も作業してもらったことがあります。

この時は私の経験から
ヘッドまで問題が出るほどでは
なかったのは間違いないのですが、
どうしてもヘッドを降ろして作業させて
くれとのことで(保証期間中で無料)
ヘッドを降ろしてヘッドガスケットを
交換しました。

その作業も丁寧に行われたようで
この様なやや大掛かりな作業を
現代の車で行うと大体どこかでミスがあり
嫌な思いをするものですが、
エンジンルーム内の見た目も問題なく
実際にその後5年ほど乗りましたが
何も問題なく快調に走ってくれました。

そういう信頼できる関係でも
依頼しませんでした。

ドアの内張を外すというのは
その車に慣れている人が行えば難しい
ことではありません。

ですが現代の車は
組み立てがしやすいように作られた
物ですから
一度外せば固定されている爪が
緩くなったり折れたり、
内部の防水処理も剥がして手を突っ込み
作業後に貼る時には、
大して手間をかけるわけではありません。

それはディーラーでのかけられる
作業時間内ではそれで当たり前です。
作業する人に手を抜いている意識がなくても
元の様にはならないわけです。

ですから現状音は止まっているわけですから
それは何も言わずそのまま、
現代車や、仕上がった古いバイクも
状態が良いのなら余計な分解整備をしないのが
吉なのです。
1年中、重整備ばかり作業している
私の経験からです。

仕上がった古いバイクと書いたのは
古いバイクの場合欠品との兼ね合いが
ありますから、
調子が良くても部品があるうちに
エンジンの整備などを行う方が
よいからですね。

その整備を行ったものを
仕上がった古いバイクと言っているわけです。

もし、パワーウィンドウが調子悪いや
内部でネジが緩んでいるような音が
出ているなら修理してもらいます。

ただビビり音が出ている程度なら
機能面で何の問題もない。
この程度で余計な分解整備は
しないが吉なのです。
何でも分解すりゃいいってものでもない。

何を言いたいかと言えば
悪くもないのに気にしすぎで分解することは
治すつもりが返って物を
傷めてしまうということです。

例えばスポークホイール。
スポークの張替えに出したとき、
これには何ミリまで振れがあってOK
という基準があります。

もちろんゼロの方が良いのは
当たり前ですが、
数ミリまでOKですよと
メーカーの整備要領書に書いてあります。
走って問題がないからですね。

そもそもスポークホイールは
剛性が削り出しホイールより低いですから、
乗っている時も多少形が変わりつつ
走っています。

だから乗っても違いが解らないほどに
スポークホイールの振れを
ゼロに近づけるなら
もっとお金を払って時間をかけて
調整するしかないですよ、
ですが乗っても解らないですよ
ということをメーカーが言っているわけです。

これが自転車などの競技用なら
自分で漕いでというものですから
違いが解りそうですが。

当社でもスポークホイールの張替えは
外部に頼んでいます。
慣れている人が行う方が、費用と仕上がりの
頃合いが良く解っているからですね。

そこまでスポークホイールの振れを
気にするよりは、タイヤ、
フロントフォークやステムベアリングの
整備をした方がよいのは明らかです。

また、少しの振れを修正してもらうために
何度も調整してもらえば
ネジの部分が傷んでいくのも明らかですし
もしレストアしたホイールなら
作業中に傷などもついてしまう可能性が
高くなります。

つまり、何をするにしても
頃合いが大切で、それらに全て
予算、時間が絡んできます。

基準は常に乗って問題ないかどうかです。
予算が有り余っているのなら
乗っても良くなっているのかどうなのか
解らないところまで
こだわるのも間違いではありません。
趣味のものですから。

でもほとんどの古いバイク場合
他に整備すべきところが沢山あるのです。

タイヤもキャブも、エンジンも消耗品も、
言い出せばキリがありません。

予算がないのにあれもこれもはできません。
予算がないから現状販売車を購入したのに
乗っても何も問題ない箇所を気にしていませんか?
そんなことなら寿命の尽きた
タイヤでも換えてください。

一点だけこだわって整備しても
乗った時に他の著しく悪い部分が
足を引っ張れば意味がないのです。

限られた予算をどのように上手に使うのかを
考える、それが優れた整備士の仕事です。
あなたのまわりにそういう整備士がいれば
それはかなり幸せなことなんです。
巡り会えた縁を大切にしましょう。


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