コスワースピストン

今は当社で扱う2輪用としては生産終了となり、
別のピストンと代替となりましたが、
高い耐久性を誇るコスワースピストン。これはスズキカタナ用。
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以前、コスワースピストンを当社で組んだバイクの取材を受け、
いざ載っている雑誌記事を見ると、使用しているピストンは、
なんと違うメーカーになっているではないですか。
その後雑誌社に、間違っていることを報告しましたが、
訂正の記事も後日掲載されず、謝罪の一つもなく、
そのことよりも、プロのものを書く人が、
何が重要か解っていないことがとても残念だったことを覚えています。
それ以外でも間違った記事が載ってました。
しかもそれらのスペックは、あらかじめ雑誌社の方から、
記入してと用意されたスペックシートに当社で記入、返送したもので、
普通にチェックすれば間違うことのないものです。
そういうことは、しょっちゅうあるわけではありませんが、
あくまで雑誌など、すべてもろもろの情報は参考程度にして、
自分の頭を使う必要があります。
また当社で作業を行ったものではない記事で、
エンジンOHを行い、一般的な鋳造ピストンと
やや特殊な材質のものを、OH時にヘッド回りに組んで、
早い時期と、少し経ってからパワーチェックをしたものが
載っていました。
そんなにエンジンを製作してから時間は経っていないし、
距離も進んでいないのに少し経ってから計測したものは、
早い時期に測定したものに比べ、大きくパワーダウンしていました。
そのパワーダウンについては、あっさりやや激しく使った
からと書いていましたが、それはそうではなくその部品の
チョイスが悪いからだと思います。
(大きな純正メーカーではない、一般的なパワーチェックについては
 測定条件等で、バラつきがあって当たり前と思われますので、
 エンジンが同じ出力を発揮していても、上下することが
 あると思いわれます。)
もっと高強度のピストンを使い、シリンダーライナーが良くなければ
材質の良いライナーに打ち換え、バルブ回りが純正のままであれば、
(パワーチェックの誤差が少ない前提で)こんな結果ではなかったと思います。
話がいきなりそれましたが、こだわりを持って使用して
いたコスワースピストン。
車種設定がない場合、OHではなく修理の時、予算の関係等、
お客様のオーダー以外では、他のピストンは使っていません。
ちなみに今使っているピストンは、材料は同じものなので、ご心配なく。
なぜそこまでこだわっていたのか。
それは、コスワースピストンが高強度であるゆえに
余分な贅肉を削り、軽く作れ、レスポンスがよくなんて
雑誌に書いてあるようなことではなく、
(実際に重量を測定すると、そこまで特別軽くはありません)
私のような大きなメーカーでもないものが、手に入れられる中で、
最高に頑丈で耐久性が高く、大きなメリットがあるので
使用していました。
そういうピストンを実際にエンジンに組み込むと、どうなるのか。
一番の一般ユーザーのメリットは何か。
それは、エンジンがへたる、具体的にはエンジンの出力、
トルクが走行するごとに低下することを、大幅に減らせる
ことにあります。
それこそが当社で一番大切にしていることです。
もちろん高出力をも手にしつつです。
圧縮比が低く、全然もともと走らないエンジンなら、
高い耐久性を得るのはそれほどのことではないと思います。
無難に低出力で眠いエンジンで売られるようなバイク、
バイクの生産メーカーの様に、車両全体の販売価格に
大きな制限がある場合には、ピストンにそんなにコストは
かけられません。
ですが、今では走りに重点を置いたモデルや、車でも
高出力なモデルは当然、高強度のピストンを使っています。
この適切な圧縮比を得、高出力も得つつ、高い耐久性があることが
難しいことなのです。
しかも取り扱いが特別難しいということも、避けなければなりません。
ですが、オイルも普通で大丈夫。交換サイクルも特別早くする必要も
ありません。こういう維持費があまりかからないことも、とても重要です。
当社でやや高いオイルを使うこともありますが、
それは回転がスムーズになりフィーリングが良いからで、
無理に入れる必要はありません。暖機運転も簡単です。
また、使用方法が適切でない場合は、他の部分が先に
壊れてきます。
それは旧車たちが、今のバイクや車のように、
間違った乗り方をした場合に、バイクや、車側で、
その間違いをカバーはしてくれないからで、旧車や、
メカニックが悪いわけではありません。もちろん
悪いメカニックはたくさんいます。
整備はきれい好きな人に頼みましょう。
純正車両販売のメーカーに比べ、エンジンOH時、レストア
の時などは、メーカほど金額に1円単位で縛りがあるわけでは
ありません。
要はそのピストンを組み込むことのメリットを、
単なるブランドとしてではなく、OHの作業をする製作者、
当然お客様も、どのように、どれぐらいあるかをきちんと
把握してしないからだと思います。
レースならレースの間早く、ということになります。
もちろん、その後のメンテナンス費用もありますので、
頑丈であるほど良いと思いますが、早いことが最優先です。
では、一般ユーザーなら、1度大金を払いOHやレストア
を行った場合、そんな1年とかで目に見えて衰えてきて
良いのでしょうか。
ぜひ良いピストンを良いシリンダーライナー、
適切なボーリングで使ってみてください。
そのメリットは5年後10年後にも受け続ける
ことが可能です。
必ず安いピストンと、高いピストンの差額以上に
メリットがあります。
ただ、良いピストンは、ほかの部分もきちんと
作業してはじめて力を発揮します。
15年ほど前に、コスワースピストン、JB製マフラー
などの組み合わせで、距離はたいして走っていないにも
関わらず、私が乗ってノーマルピストンより遅いMK2に
出会ったことがあります。
もちろん、ピストン、マフラーもきちんとしていて、
要はそれ以外の作業が適切でなかったのです。
もちろんそのMK2はきちんと治りました。
何日か前にブログで書きましたが、エンジンは
掛け算のようなもの。ほかが悪ければ、どんなに良い
ピストンもその力を発揮させることはできません。

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