おすすめしない組み合わせ その2

小さめの口径のFCRキャブレターをつけた場合、
中回転域から高回転域に向けては伸びが抑えられ、
乗用車的な乗り味になってしまいました。
走る分には走れるのですが、これでは何のためにキャブレターを
交換したのかわかりません。と昨日書きました。その続きです。
よく最近、車でもなんでもしきりにエンジンは実用域の
トルク、トルクと言われます。評論家も○○みたいに繰り返します。
もちろんトルクは大切なのですが、バイクにせ、車でも、
ただの移動の手段でなく運転を楽しむということを考えれば、
それを鵜呑みにしてはいけません。時と場合によって情報は無視します。
やはり高回転まで回す、仕事量で考える必要があります。
高回転域である程度、抜けるように回るからこそ
運転が楽しいのであって、中回転域までやたらと元気が良くても、
そのあと急に頭打ちとなってしまってはなんの面白みもありません。
音も感動のないものになりますし。
私たちがそれほど維持費がかさまず、乗って行ける範囲で、
もちろんチューニングの度合いにより違いはあるにせよ、
この高回転でもある程度楽しめるようにするにはエンジン内外の
組み合わせが大切です。
あくまで私、一個人の考えですが、レースオンリーでなく一般道で
走る前提では、まずはエンジンを高回転高出力に振りすぎないことが
大切だと思うようになりました。
ですからきちんとしたもので、チューニングの度合いが低いものでといえば、
オーバーホール済みのエンジンということになります。
(ただバラして組んだものでなく、変える部品は交換、
 加工、修理してきちんと組み上げたものに限る)
これに、うるさくない範囲で抜けの良いマフラーを組み合わせます。
サイレンサーだけヌケをよくしてもダメで(うるさ過ぎは迷惑ですし)
パイプ径、集合部の作りなどトータルで考えないとダメです。
それに上にも下にも振りすぎていない口径のキャブレターをチョイスします。
皆さんご存知だと思いますがカワサキZ系でFCRキャブレターの時は、
ほとんどのものは排気量が大きくても35mmで充分で、
時と場合により37mmを使います。
これはバルブ径やポートの大きさなど機械的要素で大きな部分が
決まってしまうので、そこが大きく変えられないのでこうなります。
ポートを拡大するにしてもそんなには大きくできないので。
J系、ローソン、Z1100Rなどは、もともとバルブやポートも大きいので
37mmを使っても良いかと思いますが、時と場合によります。
35mmでも充分です。
ちなみにCRキャブレターの場合はもう少し口径は小さくても
マフラーが良ければ高回転も十分に楽しめます。
いやむしろFCRより小さめをおすすめします。
当社で普段使う口径は29、31、33mmまでの、
いわゆるスモールボディタイプです。アクセルもそんなに重くなく乗れます。
アクセルの話が出たのでついでの話を。
アクセルが重いと乗っている時にややトルクがあるように感じます。
逆に軽いとトルクが小さく感じるようです。
例えばGPZ900Rのノーマルキャブレターは整備をきちんとすると、
やたらアクセルが軽くなります。
これがもともとトルクの薄いニンジャのエンジンの
トルク感が薄い感じを強めていると思います。
これをキャブレター、あるいはセットでスロットルも換え
適切な重さになると、FCRキャブレター取り付けによる出力の
向上だけでなくそのアクセルを開ける時の適切な重さ加減が
乗った時のトルク感を高めていると思います。
エンジン、シリンダー内の爆発する力が強くなるので、
振動が増えたり多少荒く感じる部分も出てきますが、
乗って操る楽しさは増えます。やはり乗って楽しんでなんぼです。
クラッチ同様、なんでも節度、ころあいが大切で、
軽ければ良いというものではありません。
車のハンドルもやたら軽いものが多くなっていますが、
決して乗っていて良いとは思いません。
話を戻して、当社のおすすめは高回転、高出力にに振りすぎていない
エンジンに抜けの良いマフラー、適切な口径のキャブレターです。
それに適切な長さのファンネルです。
さらに点火系です。基本的にはノーマルのイグナイターなどに
新品のコイル、コード、プラグキャップ、プラグが良いと思います。
当社のOHエンジンは圧縮比がノーマルピストンより断然高いので
このままではノッキングが出ますから、アイドリング時の点火時期はそのままで
最大の進角する量を減らして納車しています。
点火系を交換するのは、オーバーホールエンジンではなく、
チューニングエンジン仕様で低、中速トルクがやや落ちた時に
使うのが良いと思います。
もちろんOHエンジンでも変えても良いのですが、エンジンの始動性は今までも
何度も書きましたが、ノーマルを上記のように適切に整備したものの方がよく、
故障もほとんどないからです。
エンジンが本来の調子であれば点火系に頼らなくても、
充分によく走ります。
私のようにこういう仕事を自分自身でしていると、一番上のスペックを
知っておく必要があります。
ですから、私のバイクは点火系も変わっていますし、
エンジンもチューニングされています。
ですが予算に限りがあることが当たり前なので、
最初からここまでせずに、その予算を車体側に回したほうが
良いと思います。
もちろん予算があったり、OH仕様のエンジンで充分に乗ったなら
ステップアップしても良いのですが、それでも少し抑えた仕様に
(使用するカムシャフト、バルブタイミング、バルブスプリング
圧縮比で調整します。)
抜けの良いマフラーが良いと思います。
サーキットだけ、あるいは峠道で同じところを行ったり来たりする分には
もっと攻めた仕様でも良いと思いますが、この業界に20年近くいて、
やっぱりこの方がより楽しんでいただけているお客様が多いようです。
逆に高回転、高出力エンジンに抜けの良いマフラーは、
やはりセッティングなど少しシビアなところが出てきます。
さらに、高回転、高出力エンジンにやや抜けの抑えられたマフラー、
あるいは、ヌケは良いが性能の悪いマフラーの場合や
エンジン仕様にあっていないマフラーは最悪です。
マフラーのヌケが悪いとエンジンが回らずこもったようになり、
せっかくエンジンが良くても本来の能力が発揮できず、
全然走りません。
OHエンジン+ヌケの良いマフラーに抜かれます。
さらにエンジンの熱のでかたも変になります。
こういった間違った組み合わせにならないように、
作り手側は注意する必要があると思います。
またご自分で部品を買う場合は、ノウハウがないのですから、
良いものに仕上げたいのなら、何度も失敗しながらとなると思います。
その失敗にさえ気づかない方がほとんどなのですが。
そんな時間とお金は無駄だと思いますが、
その変化を楽しむ余裕さえあればというところです。
今日はここまでで、おすすめしない組み合わせについては、
またいつか書きたいと思います。車体について書きたいので。

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