キャブレターの口径について、更新しました。

今回はフェイスブックと同じ内容です。
文を追加ししています。

キャブレターの口径自慢を聞いたことが
あるでしょうか。取り付けたキャブの口径の大きさを
自慢するのです。

雑誌などで本来プロが記事として書いているはずの、
バイクの紹介記事などでも口径の大きい物をつけ、
さも偉いことのように紹介されていることがあります。

これは本当に自慢になったり偉いことなのでしょうか。

この答えはエンジンにあります。

例をあげると、
荷物を入れる部屋があるとします。
大きい部屋は、
エンジンでいえば排気量が大きい物。

小さい部屋は排気量が小さいエンジン。

当然部屋にはドアがついています。
このドアの大きさがとても重要です。

たとえ部屋が大きくてもこのドアが小さくては
大きな荷物は入りません。

小さな荷物を数多く入れれば、結果的に
多くの荷物を入れることができますが、
部屋を満杯にするほどの小さな荷物を
入れるにはたくさん時間がかかります。

この時間がとても重要です。
同じ時間内で、
より多くの仕事をこなすことが
高出力エンジンだからです。
高出力エンジンにしたいから、
キャブレターの口径を大きくしたいのでは?

小さな部屋であれば入る荷物の量は少なく、
すぐに満杯になります。
その小さな部屋に大きいドアは必要ありません。

このドアの大きさがキャブレターの口径と
大きな関係があります。

部屋の大きさは排気量であると先ほど書きました。

ドアの大きさはエンジンでは何になるかと言えば、
主にヘッド回りの吸気ポートや
バルブに近い部分のスロート径などの
空気とガソリンが混ざった混合気が通る通路の
一番小さい径とお考えください。

どういうことかと言えば、
エンジンのヘッド側の通路の大きさが、
キャブレター口径の大きさに大きく関係があると
言いたいわけです。

ヘッドの通路が小さいのに、
大きい口径のキャブレターは意味がないわけです。
むしろ大きすぎるキャブレター口径は、
低~中回転域などで、調子を悪くし
扱いにくくなる原因になります。
単に低~中回転域でトルクが落ちて、
上が元気に感じている場合もあります。

特にCRキャブレターはその辺がシビアです。

ドアが(ヘッドの通路で一番径が小さい部分)
小さく入る荷物の大きさは制限されている。

ドアのさらに外側(キャブレター口径)の
通路が大きくても結局ドアで荷物の大きさは
制限されているので、入りきれないのです。

空気自体は荷物と違い小さな通路でも通ることができますが、
今度は大きな通路をそのまま通る場合に比べ、
いったん絞られるので通るのに時間がかかります
これがエンジンで、1つのシリンダーに
満杯で250ccの混合気が入るとして、
それに時間がかかっていては、
エンジンは常に回転して動いており、
部屋が満杯になるまで待ってくれません。

ここから下が追加した文です。

そこでエンジン側の通路を大きくし高回転時に
短い時間でもシリンダー内により多くの混合気が
入るようにするのがチューニングです。
だからヘッドが重要なのです。

ポートの段差、デコボコを修正し、
よりスムーズに同じ時間内でも実質的な
空気が流れる量がおおくなるようにする。

ポート径やスロートなど、径が絞られている
部分を大きくしたり、形状を適切にして、
空気(混合気)が抵抗なく短時間で
入りやすいように変更する。

部屋でいえばドアを大きくし、
より短時間で大きい荷物がたくさん部屋に
入れられるようにすることです。
部屋のドアを大きく変更するのは大きな作業ですが、
エンジンもそのようにするのは
とても大変な作業となります。

その上でそのエンジンにあった適切な
口径のキャブレターを組み込めば調子が
良いまま、乗りにくくなることなく出力が
アップします。もちろん乗っていても楽しい。

エンジン側の混合気が通る通路が狭いまま
大きい口径のキャブレターをつけるのは
意味がない、むしろ調子が悪くなる。

それを自慢したりするようなことではないと
解っていただけたらいいなと思います。

同じ車種で、エンジン外観が全く同じでも、
輸出先、仕様地によりこのヘッドの
ポート径などが全く違う物があります。
実際に見れば誰が見ても解り、何mmも違います。

元々純正のキャブレターがついていて、
エンジン側通路の内径が違いのあるものに、
同じキャブレターをつけるとどうなるか、
(他は同条件で)方や内径が小さい物は
中回転域から高回転域で伸びが感じられず
フラットな感じで乗用車みたい。

方や内径が大きい方は中回転域から高回転域まで
スカッと駆け上がるように吹け、回すのが楽しく、
しかも音も気持ち良くなります。

もちろんやみくもに大きければ良いという
ものではありません。

良く初期モデルは2バルブだったものが
後期モデルになり4バルブに変わった、
ということがあります。

これはもちろんメーカー側でモデル末期に、
より1台でもたくさん売れるようにするために
ヘッドを変更し、高回転時、高出力化を狙った
ものですが、これがかえって、
低中速回転域でのトルクを減らし、
面白みがなくなっている物があります。

中型バイクの様に排気量に制限がある場合、
ヘッドだけ高回転、高出力向けにしたとしても
街中で良く使う回転域でトルクが落ちては
面白くなくなってしまう場合があります。

大排気量の物では排気量に制限がないため、
例えばスズキの2バルブのGSから
4バルブのカタナに変わる時、
排気量も大きくしています。

GSとカタナは車種が違いますが、
エンジン腰下は同じようなもので、
ヘッドのみ大きく違います。
車体側もとてもよく似ています。

カタナ1100では4バルブ化による
低、中回転域でのトルク減少を
排気量アップでおぎないつつ、
高回転域での出力アップも狙っています。

ですが結局、
ノーマルのままのカタナを乗ると、
古いバイク好きとしてひいき目に見ても
狙いどうりの動力性能とは思えず、
そのままではツーリングに使うにしても
メリハリがなく面白いエンジンとは思えません。
4バルブのメリットが生かされていない感じです。

ですが4バルブヘッドを生かせるように
上手に手を加えれば、以前も書きましたが
とても面白いエンジンになり本物のカタナになるのです。

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