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では本題です。
もし、古いバイクを手に入れたなら
最初に何をすべきか。
それはばらしてから行う、
徹底した掃除です。
これが簡単なようでなかなか大変です。
古いバイクを仕上げていくために
まず、一番にすべきことです。
車でも古いものや、整備に難しさが
ある物を取り扱うまともな店であれば、
間違いなく掃除を徹底して行っています。
もちろん予算などにより内容が変わりますが、
基本の流れは同じです。
必要なことが省かれているのであれば
それではまともに走るものが作れるわけはなく、
乗り出してからのトラブルを未然に防ぐために
プロであれば徹底して行わなければいけません。
もちろんまず掃除、整備などの前に
どのようなバイクを入手するかが
一番大切なのは言うまでもないのですが、
それは手に入れた後にトラブル少なく
乗れるようにするために、何をするのが
必要はなのか解れば、
どのようなバイクを手に入れなければ
いけないかも解ってきます。
古いバイクを手に入れたなら
最初にすべきは状態の判断。
これが極めて大切です。
そのためにまずすべきはとにかく
徹底した掃除です。
といってもバイクが形になったままの状態で
掃除をした程度では、状態を把握するための
掃除なんてできるはずはありません。
神様ではないのですから、
見ただけですべてお見通し、
なんてわけには行かないのです。
外から見えるところを見るだけでは、
どこをどう整備したらいいのか
具体的には解らない。
そこで必要な部分をばらします。
今までにきちんと整備を施された車両で
なければ、ばらす割合が大きくなりますし、
古ければ古いほどばらす範囲が広くなります。
今回実例として写真で紹介するのは、
先日完成し納品したZ1000R2フルレストア車の
次に、(オーナーさんには作業は大変だった
ようですがきれいに仕上げてもらってと
喜んでいただきました)
実際当社で整備車両で販売、
完成まで今まさに組み付け作業を行っている
カワサキKZ900です。
フルレストア車両でなく、
整備した後に納品するものです。
数年前に海外からオリジナルに近いものを
輸入しました。
エンジンは先行して作業をしており
(エンジンの組み付けは来週ぐらいから)
そして、今回完成に向け車体をばらして
掃除、作業を行っています。
フレーム単品の状態で逆さにしている写真が
その状態。フルレストア車ではないのに
「全部ばらしてる!」という声が
聞こえてきそうです。
きちんとした整備をするということは
結局こういうことです。
1970年代中盤のバイクですから、
もう約40年前のバイクです。
ばらす範囲が大きくなるのは当然でしょう。
フレームだけでもほぼ丸1日かけて掃除を
しました。
1日かけたかったわけではなく、
必要な分だけ地味に作業していたら丸1日
かかってしまったわけです。
前に所有していた外国人オーナーが
やたらとグリスアップをするのが
好きだったようで、
あちこちべったりとグリスだらけでした。
そのおかげで錆は少なかったのですが。
そのおかげで掃除は大切です。
クラックや、曲がり、へこみ、
錆の状態はどうかなど、
きれいにしてすべてチェックします。
オリジナルの塗装であれば、
木の上において作業をすると
引きずらなければ傷は入らないので
ひっくり返したり、立てたり横にしたりして
組みあがった状態であれば
掃除できないところも
とにかくしつこく掃除をします。
そしてフレームの状況を隅々まで把握して、
悪い部分や、傷んでいたりして、
修理の必要があれば手直しを行う。
今までのフルレストアの経験を生かして、
悪い部分がないかをチェックします。
経験を生かすとはこういうことで、
この時に良い状態のものを知っているからこそ
それを思い返して比較することで
チェックができるのです。
このように各部ばらして部品、部分ごとに
掃除してチェックした経験が少なければ
良いか悪いかなど解るはずもありません。
整備の際は部品に直接指で触って指に汚れが
つかないところまで、作業服がふれても汚れない
ほど掃除するのは当たり前です。
これは専門店でないとできないことです。
もちろん時間も手間もかかり、
他の作業をしながら片手間でできるような
ものではありません。
中途半端にあちこち作業をしだすと
かえって時間のロスが大きくなるので、
何台か作業を行わないといけない時には
日によって整備するバイクを変更します。
このKZ900のフレームは購入時に
程度の良いものを選んで買っているので、
加工されていたイグニッション
コイルステーの部分を元に戻すこことと、
色剥げをしていた部分のタッチアップ程度で
良いと判断しました。
とても良い状態です。
そして今回すべてばらして掃除して
チェックしたのち、
トラブル少なく、本来の調子で
乗れるようにするために
選択した車体側の整備メニューは、
ステムベアリングの交換
フロントフォークのシール、オイル交換
とアウターチューブのレストア
ブレーキの分解整備
ダブルディスク化
マスターシリンダー交換
ブレーキホースの作り直し
フロントキャリパーは欠品に
なっているピストンの再メッキ加工と
シール交換、キャリパー外観は
レストア予定。
スピード、タコメーターの分解整備
(内部と文字盤はメーター屋さんにお願い)
外観の再塗装。文字盤は新品を制作して
使います。
メーターリングは再使用
メーターステーのスポンジの張替え
(しないとメーターがグラグラになる)
バルブ類全交換、ハーネス交換
イグニッションキーなどは再使用
ヘッドライトはシビエに、
ヘッドライトリム交換
クラッチレバーASSYの分解グリスアップ
各ケーブル類の交換
メインハーネスなどの交換
バッテリー交換
レギュレーターの交換
バッテリーは元々12タイプの通常の
Z系よりワンサイズ容量が小さいタイプのため
通常の14タイプの容量の大きいものに交換
その関係でバッテリーケースを
14タイプが入るように拡大加工
スポークの張替え(リムは再使用)
ホイールベアリング交換
タイヤ、チューブ、リムバンドの交換
リヤハブバフがけ
ドラムブレーキ分解グリスアップ
チェーン、スプロケットの交換
スイングアームのレストア、
ブッシュ部のグリスアップ
リヤショックは清掃して再使用
シートの張替え
車体各部のゴム部品、ボルトの
チェック、掃除、必要なら交換
これもとても重要な作業です。
外装の再塗装、
エンブレム交換
(KZ900は特に高い!泣)
タンク内の錆取り
燃料コック、タンクキャップ交換
点火系フルトラに交換
イグニッションコイル交換
ハンドル交換
ハンドルスイッチ左右交換
車体側はざっと今思いだせるのが
これぐらい。
当然エンジンもすべてばらして
かなり前に掃除しチェックしてあります。
エンジンはオーバーホール仕様。
キャブはFCRに変更
当社製のアップタイプでないフルチタンの
ショート管を当社で製作
耐熱温度の高い塗料で塗装します。
(これは外注)
写真は分解後掃除が終わったときの写真です。
御覧のようにきれいです。
車体整備前にチタン製ショート管は当社で
先に製作。
この後黒の塗装に出します。
特殊な塗装なので、自社では濡れないからです。
このショート管は通常売られているものより
振動が減り、音は性能をそがない程度に
控えめしていますが抜けは良いです。
エンジンが良くても吸排気が悪ければ
調子が悪かったり、良い状態が長持ちしません。
キャブは、他のものでも大丈夫。
抜けが悪いとエンジン内に排気ガスが残り
キャブからの良い混合気がそれだけ入ってこなく
なるのでいいことなど一つもありません。
排気量が900ccあっても750cc分しか
混合気が入ってこない、そんなこともあり得ます。
この色を塗ったヘッドは作業が終わり、
組み立て直前のもの。
エンジンはオーバーホールの受注なので
レストアも含まれます。
とにかく購入したらばらして
徹底した掃除をすること。
当社は、ばらして各部準備、
段取りをしておき、
完成までの作業を始めたら一気に行います。
作業が遅いのではなく、作業する項目が
多いのです。
このZ900は今そのようなときです。
バイクの種類や年式により
どこまでばらすかは変わってきて、
水冷エンジンになったころからのものは
今であればここまで極端にする必要は
ないでしょう。
ですが走りだす前にまとめて
すべきことはすべてしておくということに
変わりはありません。
乗り出してからのトラブルを今のバイクに
乗っているときと同じ程度まで減らし、
持ち主の方の思うようなバイクライフを
送れるようにというのはもちろんですが、
結局お金の面でもまとめて作業するので
トータルでは安あがり、
さらに重要な乗り出してからのトラブルに
よる時間のロスを減らし、
嫌な気分を味わうことも減らせる。
買った店に調子が悪いと連絡するのは
大したことでなくても、
それだけでストレスになりませんか。
その回数が減らせる。
整備というものはまとめて行う方が効率的。
故障のたびにばらして修理して
というよりも、確実に費用の面では
安く、良い整備ができる。
一つトラブルが出れば、
それに連鎖してあちこちトラブルがでる
ものです。一つづつトラブルが出るたびに
修理するのは極めて非効率。
古いバイクは確かに注文をしてから
納品までは時間がかかるものですが、
買ってからその時間は一気に取り戻せる。
作業すべき部分をまとめてきちんと
整備することによりトラブルがほとんど
ないから、どんどん乗りたいときに
使えるからです。
もし購入時にまとめて整備をする
お金がないとするならば
それは何か間違いをしています。
程度の悪い中古バイクを
騙されて高いお金で買ってしまった。
これがとても多い。
大きな事故や、たいして整備もしていないものが
整備済みとして売られており、
ろくに確認もせずそれをうのみにして
高いお金で買ってしまったなど。
あるいは一つの車種、特定の年式に
こだわりすぎ、無理して高すぎる車種を
買ってしまった。
このKZ900も元々程度がよいものです。
現在販売の紹介しているZ1000リミテッドも
元々程度の良いものです。
それでも何も整備することがない、
なんてことは絶対にありません。
製造されて20年もたっていれば
奇跡的にほとんど走っていないような
一見新車に見えるようなバイクでも
整備せずにそのまま走れるなんて
ことはあり得ない。
ましてや70年代~80年代初めの
空冷バイクなら、新車時のタイヤが
ついているようなよいものが、
きわめて大切に保管されていたとしても
そのまま少し触った程度で乗れるなんてことは
あり得ない。そういう風に言って
販売しているものは時々見かけますが。
状態により必要な部分はすべてばらして、
整備する必要があります。
もし確実なものを手に入れたいのなら、
無駄な費用を使わずまともな整備を
したいということであれば当社に
ご連絡を。
ホームページでは12時から夕方6時になって
いますが、朝9時から~18時過ぎまで
電話はつながります。
メールは24時間です。
今日の最後に
今実際に作業しているこのZ900の
一部車体の作業模様を紹介します。
いつも書いていますが、
あなたのバイクにどんな作業が
されているかが大切。
都合の良い時だけ、
例えば取材の時や、人が見ているときだけ
素人には解らない見た目によい作業を
されていても意味がありません。
きちんと作業するなら、
できる人は限られるし、部品代も
時間もある程度は絶対にかかる。
ただ安くて早く手に入るのは何もしていないから。
自分だけは安くてよいものが買えると思っている人が
いるがそんなことはあり得ない。
極上の中古車に
無駄な費用を払わず乗りたければ
スペシャリストに頼むのが一番である。
自社でできないことが多ければ
いちいち外注に頼むことが増え、
中間マージンが増え支払う金額のわりに
内容は乏しくなる。
しかも自分で作業し仕上げたことが
なければ、そもそも外注しても良いできなのか
悪いのかの判断もできない。
そんな判断の出来ない自称プロも
ゴロゴロいる。
古いバイクはとにかく手を動かして
作業するしか良いものに仕上げる方法は
ないのである。
修理やレストア、整備のような作業は
基本一対一、それぞれの状態にあった作業を
する必要がある。
たくさん数をこなすことにより
原価を急激に下げるようなことは不可能だ。
たいして金額は下がったりしない。
安いのは何もしていないからだ。
高いのも理由なく高いものもある。
中間マージンを払うのが馬鹿らしいからと
直接何でもの頼めればいいのだが、
どんな業者でもピンからキリまでいて
どこの業者が安くていい仕事をしてくれるかは
簡単には解らない。
やたら不自然なほどに愛想が良くて
ニコニコの業者でまともなところに
私は出会ったことがない。
繰り返すが不自然な笑顔である。
やはりできることはなるべく自社で行い
出来ない部分は良い仕事をしてくれる業者と
多く付き合いのある
スペシャリストに依頼すべきである。
それを判断するには
今までの納品実績、作業実績を調べたり、
今行っている整備作業をみせてもらう。
あとは自分好みの車両にしてくれる
スペシャリストが体が元気なうちに
見つかるかどうかだけであると
私は思います。
もしそういう店と出会うことができれば
それは最高の幸せだと思います。
当社があなた好みのバイクをたまたま
作っていたのなら、
お問い合わせをお待ちしています。
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