何度かインスタグラムなどで紹介しているCB1100Rにからむ話を今回は書きます。このCB1100R、現在の状況としてはエンジンが組みあがったところまで何とかこぎつけました。
このCB1100Rは最初から当社で仕事の依頼をされたものではありませんでした。
まず持ち主の方が当社以外で購入され、その後エンジンが壊れ、ある店に修理を依頼して分解されたものの、ばらしただけで作業が止まったようです。
その後当社にそのばらされた状態で持ち主の方から作業を引き継いでほしいとの依頼を受け、それ等部品を引き上げて当社がその後の作業をすることになりました。依頼はエンジンオーバーホールし、車体も組み上げて走れるようにするという内容です。
CB1100Rというバイクは特殊なバイクで、きちんとしたいわゆるサービスマニュアルのような物がなく、簡単なサービスのデータみたいなものだけになります。あと、パーツリストは見ることができます。
CB1100Rのような販売台数少なめ、当時他のバイクに比べ高額で特別なバイクこそ、サービスマニュアルがあって欲しいのですが、そういう物は存在しないと教えていただきました。
こういう特殊なバイクを手に入れ分解して整備をするとなった時には、分解するときに詳しく記録を残したりして、元々の状況をきちんと把握しておく必要があります。分解時が勝負時なわけです。ただ分解するだけなら誰でもできる。
ところが今回のように人がばらしたものというのは、何どうなっているのかがさっぱり解らない。それにきちんとしたエンジンのオーバーホールをすることができない人が分解すると、分解の方法が間違っていたり、分解時に壊してしまっていたり、分解したときの部品のまとめ方が悪く、どこに何があるかさっぱり解らなくなってしまっています。
おかげで預かった時に、ある程度状況は確認しておいたのですが、とにかくあちこち部品がなくなってしまっている。そしてこれは当社のミスなのですが、まさかのオイルクーラーなかった。CB1100Rには標準で大型のオイルクーラーがついています。それを車両を引き取る時に気づいていなかった。
これがまたややこしい話で、分解したバイク屋に直接引き取りに行くのなら良かったのですがそうではなく、もう1社、間に入っていてそこに部品が持ってこられており、そこ引き取りに行ったこと。
そして当然ながら途中で仕事の依頼を辞め、引き取るという事はとてもバツの悪い状況なので、とにかくさっさと引き上げる雰囲気があったという事が、こういう大きな部品がないことに気が付かなった一つの原因に。
もちろん、どういう状況でも大きい部品については気が付かないといけないのですが。また引き上げてきて、なくなっている大きな部品がないかチェックしたのですが、実際にコンロッドがなく、非常にまずい状況に。
結局それは見つかったのですが、ここでもそういうメインのエンジン関連に気をとられ、オイルクーラーがないことに全く気付かなかった。情けない話ですが。
このオイルクーラーについては純正の中古品も良いものが見つからず、社外品も良いものが売られてないので、当社で13段のキットを製作することにしました。今部品を集めているので、大丈夫だと思います。販売の予定はありません。
また特に当時のホンダさんのバイクは、カワサキ車やスズキ車のような構造ではなく、まるでわざと人と違うものを選択しているような造りになっています。（これはホンダさんのすべてのバイクという事ではなくあくまで私の知っている範囲、取り扱い車種の話です。）
とにかくストレートな作り方ではなく、ややこしく、専用設計的な部品がたくさんあります。こうなると古くなった時には欠品が多くなります。他の車種との共通部品が少ないため、少し古くなり在庫がなくなると、メーカーは在庫を持つことにコストがかかるものは欠品にしてしまいますから。
こういう特殊なバイクが欲しい時には、部品欠品がなく、程度の良い車両を購入することがコツです。CBX1000なんかも同様なバイクですね。
車体の方も前の作業した店がなくしてしまっている部品が数多くあるようで、
それも一つ一つ調べて、欠品になっていれば、さてどうするかという事になります。一つ小さな部品がない状況でもとても面倒なことになります。
ただこういう時に助けてくれるのは、今までの自分です。
例えばエンジンの方はCB750Fのエンジンオーバーホール作業した写真、データを詳しく残してあります。CB1100Rとは完全に同じではないものの似ているところがたくさんあり、それらを確認しながら作業を進めることができます。
さらに重要なのが、人とのつながりです。部品がない時や、情報が足りない時は情報を持っている方に直接聞くのが一番良い方法です。ネットで出ている情報は不確実で、今回のように難しい状況の時には、本当にこちらが知りたい情報はなかなか見つかりません。
写真などのデータは今までのレストアやエンジンのオーバーホール時に残していたもので、今回は非常に役に立ちました。また情報を教えていただく時などは、教えていただく方にはメリットがほとんどありません。こういう時には過去自分がデタラメなことをしていれば、当然軽くあしらわれて教えてもらえなくなります。
結果として、今までの積み重ねがこういう困った状況の時にこそ自分を助けてくれるわけです。今回は本当に助かりました。まだ完成していないので油断できませんが。
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