写真はZ1000MK2のエンジン腰下と降ろす前の状態です。
オーナーさんが変わるため、整備のためエンジンを降ろしています。このMK2は当社でエンジンから車体まで前オーナーさんがフルレストアした車両なので、そのまま右から左に納品しても何の問題もない状態です。
今までも同じようなことは何度もありましたが、今回もエンジンを降ろして大掛かりな整備をしています。なぜここまでするのか?という話です。
その理由は2つ。
一つはオーナーさんが変わる時こそ一番整備のできる良いチャンスだから、です。
一度納品してしまえば大掛かりな整備は費用の面でも時間の面でもほとんどできるタイミングはないはずです。より良い状態で乗ってもらわねば。そういう良いものが必要ない時は他で買ってもらえばいいわけですし。
さらにもう一つ、一番の大きな理由は、私は程度の良い古いバイクを、常に次の世代まで残すことを考えているからです。
カワサキZ系にしても、ローソン系にしてもニンジャにしてもカタナでも、他の面白い旧車バイクも、良い状態のバイクはできるだけ良い状態のまま残していきたいと考えます。今回のようにオーナーさんが変わる時もあれば子供が乗りつぐこともある。
その時も本来の調子のものに乗ってもらい、こんなに面白く、楽しい乗り物があるんだと思われたいわけです。間違っても古い物はつまらないなんてことは言わせたくない。
当社ではその車種、価格ごとに都度考え、どこまで整備するかを決めます。お決まりの整備コースなんてのはありません。他で良いものと言われていても、それはいったん白紙で自分の基準で考えます。その基準の元はホームページで紹介している今まで納品してきたバイクたちです。
ですので、下取りでも、買取でも委託販売でも走れる物であれば、入庫したらまず走って状態を確認します。
その中で過去の整備、納品したのはいつか、どのようなレストアなどをしたのかなどを調べ、納品前にどこまで整備するかを決めます。
それで今回このMK2はこのタイミングで腰上を分解することに決め、入っているコスワースピストンの状態を確認して、同車種のシリンダーを用意、再ライナー打ち換えボーリングを行いました。
前オーナーさんの納品してから距離は進んでいませんでいたが、年数は少し経っていたので。ついでにヘッド回りの整備も行います。さらについでにヘッドとシリンダーはブラストして再塗装します。
車体もフロントフォークの分解整備など、その他必要なところも整備を行います。
それとは変わって、先日販売したGSF1200は販売価格、エンジンの状態、車種から考えエンジンを降ろしての整備は行いませんが、エンジンカバーを2枚再塗装、メーター回りの整備、性能の悪いフロントマスターシリンダーの変更、チェーンなどの一部消耗品の交換、そして一番気になっていたリヤブレーキ回りの変更を行います。
この車種はカワサキZ系のようにアフターパーツはありませんから、新たなリヤブレーキキットを一品物になってしまいますが新たに製作しています。
とにかく初めて入庫したときから他店で取り付けられた(部品自体があまり売っていないから仕方がない)作りの悪いリヤブレーキが気に入らなかったのですが、エンジンのオーバーホール含めたチューニングやマフラーの製作など、他に費用がかかってなかなかそのタイミングが得られなかったわけです。
今回、手間はかかりましたがまともなブレーキに変更できたので、後は新たなオーナーさん好みでしたい部分が出てくれば作業したらよいという状態になってます。
GSF1200も刺激のある油冷エンジンを積み、ショートホイールベースで独特の強い刺激が味わえます。どちらにしてもオーナーさんが変わるタイミングこそ、さらに良いバイクに仕上げる最良のタイミング、店の方向性が一番解ります。
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