皆さん自分で考え行動しましょう。
リスクをゼロにしようと回りを見てから
一緒に走り出してもそれでは遅いのです。
今回は需要と供給の話、
なぜ古いバイクの値段が急激に上がることがあるの
でしょうか？
具体的に車種をあげればカワサキのZ750FX‐１ですね。
いつも例に出しますが、他の車種とも絡むので
参考例にしやすいのです。
ほんの何年か前、元々同じ形の1000cc、
Z1000MK2に比べ断然安い価格で取引されていました。
それが今、私が知っている範囲で言いますと
ここ1年ぐらいで整備されていない状態、
当社で言えばベース車両に使えるかどうかぐらいのもので
（間違ってもすぐに乗れるようなものではなく
大掛かりな整備が必要なもの）
300万円前後で取引され、はっきり言えば
同じコンデションならMK2より高いぐらいです。
だったらMK2の方がいいでしょ。
タサキチューニングを立ち上げたのは
約25年前ぐらいですが、その当時は先ほど書いたように
Z750FX-1は超お買い得な車種でした。
FX‐1はクランクシャフトとピストンを換えれば
Z1000MK2と何ら変わらない走りと存在感を得られる為、
（細かい所を言えばクランクケースなど違ったり
しますが、運転してみても違いは解らない）
その当時から値段が高いMK2や旧車が欲しいという方に
Z750FX-1をかなりすすめていました。
絶対そのほうがいいですよと。
でも実際に私の意見を取り入れて買いやすかった時に
FX750を買ったお客さんはごく少数。
他の車種でもいいのだけれど、と言う人もいましたが
FX750を選ぶことは出来ない人が多かった。
つまり回りがいいと言いださないと動けない。
悩んでいるうちにあっという間に時間がすぎていく。
絶対MK2でないとという気持ちがあるのなら
それを貫く気持ちはわかるのですが、
そうでない方も多くいるのです。
そうこうしているうちに人間なんて
状況がどんどん変わっていきます。
結婚して許可が必要になり反対された。
家を買うことになり持っていたお金はそちらに必要になった。
転職することになった。
とりあえずのバイクを買ってしまったら
意外と維持費にお金がかかって本命が買えなくなった。
逆に当時から750の方がいいという事で
長く乗られている方もいますね。
カワサキZ750FX‐１の値段が上がったことについては
これもある程度予測がつきます。
なんせFXの値段が上がる前にカワサキZ2の値段が
急騰していたのですから。
Z2の事でいえば私が独立した時、不動車の
使えるベース車両で約30万円ぐらいでした。
それがあっという間に100万200万と、
どんどん価格が上がっていったのです。
いつの時代も株でも何でも回りの人がいいと
言い出したときにはすでに遅く、おいしい思いはできません。
最近では一部の2サイクル車、400ccの旧車バイク、
そして７５０ｃｃのバイクです。
私は整備したくないですが特に値段の上がっている
ホンダＲC30系、そこまでではないですがヤマハOW01、
これ等はスペシャルモデルであるので
同列では語れませんがアルミフレームを初めて採用した
スズキGSXR750をどう思いますか。
程度の良いものは需要に対して供給が足りなくなるのは
目に見えています。
回りの人がいいと言い出す前に行動しなくては。
今当社にFX750が欲しいと言う人が来たら絶対に止めますね。
それを今買うのはお金を持っていると見せたいのなら
解りますがそうでなければ意味がないよと。
昔から持っていたのであれば先見の明があって
誇らしいことですが。
少し前にゼファー７５０、１１００を買いたいと
お話しがよく来ましたが、全て辞めた方がよいと言いました。
ではなぜそんなFX750含め急激に値段が上がったり
する車種があるのかといえば誰でも解る話で、
需要（欲しい人）に対して供給（バイクの数）
が足りないから。
そんなの当たり前じゃんと言うでしょうが
そこに古いバイク特有の説明を付けくわえると、
古いバイクや車などは欲しい人が増えても
すぐに売り物の数が増やせないことに関係があるのです。
まず古いバイクの場合欲しい人の数が急に増えても
今のバイクのように新たに生産されて数が増えるわけではないので
いまどこかにあるものを探して手に入れなければと、
いう事になります。
そうなるとまずそのスタート時点で旧車の場合数が
足りないわけですね。まずそれが一つ。
そうなるとカワサキZ1000R1のように新車時数が売れていない
バイクだと余計に供給が足りなくなり高くなる。
そしてもう一つ。これが今回の話で一番大切な話です。
その欲しい人に対してバイクの数が少ない上に
古いものですから状態が悪い。
そうなるとその状態が悪いものを
とりあえず走るぐらいにするだけでも時間と
手間がかかる。
そしてさらにとりあえず走るではなく、
きちんと走って見た目も美しい状態に仕上げるとなれば
どうでしょうか。
まずその作業自体を本当の意味でできる人は
とても数が少なく、そしてとりあえず走るようにする、
に比べはるかにノウハウと時間、そして部品が必要となる。
となればきちんと走るもの、
本当の意味で程度の良いものほど
欲しい人の数に対して圧倒的に数が少なくなることが
解っていただけると思います。
そうなるとどうなるでしょうか。
需要が高くなった時供給が足りなくなっているだけでも
値段はあがってしまうのに、
まともに整備やレストアされたものはさらに
手に入りにくいからもっとさらに高くなる。
なんせまともに整備できる人なんてほとんど
育っていないから数があるわけない。
当社に注文いただいたお客さんも待って手に入れている。
いま腕の良い塗装屋さんが需要に対し、圧倒的に
数が足りません。これと同じ。
納期がものすごく長くなっています。
まず何がきっかけになって需要が高くなるかは解りません。
ちょっとしたことで人気に火が付くことがあるのです。
でもZ2、FX-1を今、点で見ていると解らないが
昔からの線、流れで見ているとある程度
他の車種も推測できます。
ましてや今後は電動物がメインになってきます。
そうなればエンジン車の数は減りますよね。
そうなればますますガソリンエンジンの旧車バイクの
供給はどうなるでしょうか。
間違いなく足りなくなります。
欲しい人が増え始め、需要に対して数がすぐに
増やせないものほど突然一気に値段が高くなります。
ここ数年ではコロナの影響が大きくあったのも確かです。
ではいつが買い時か？
それは簡単。今回りの人誰しも欲しがる
高すぎる車種以外の物で、
良いものを自分で見つけて買えるなら今買う事。
当社に絡む事であれば
スズキの初期型GSX‐R750、そして1100系であり
90年代のDUCATI 900SS、カワサキ空冷GPZ750、
ホンダCB750F、
他にもありますが入手ができていないので
ここには書きませんがそれら程度の良い車両です。
良いものは上記車種もなかなか見つけられません。
あるいは人気車種で仕上げてあるものを
誰かが手放すとき、予算があるのなら躊躇なく
手に入れる事。
最近でいえば売約済みの当社のZ1000のようなバイク。
部品も年々販売終了のものが増えていってます。
これはエンジンオーバーホール、
車体の全バラを含む大掛かりな整備ばかりしていると
とても良く解ります。
注文するたびに前回普通に注文できたものが
手に入らなくなっている。
来年、再来年、お金が貯まってから？
何を呑気なことを。部品の値段はどんどん上がり、
お金を借りるにしても、金利も上がることが解っている。
部品が手に入らなければ100％のオーバーホールはできない。
どうしても我慢するところ、妥協する部分が
でてくる。代替部品を探すのは簡単ではない。
CB1100Rなんて最重要部品、カムチェーンテンショナーが
手に入らず、ごくたまに出てくる時もべらぼうに高い金額で
現実味がありません。
そうなると他車種用を使わざるを得ない。
そうなると負担がかからないように控えめに走るしか
ないですよね。それでは何のための1100なのか。
今当社は保管スペースに余裕が全くなく
バイクでパンパンの状態で自宅にも持って帰ってます。
それでもすぐに売れなくても会社に入るだけ
良いものは買おうと思っています。
いいものは常に今買うのが最良なのです。
最後に救いの話を。
先日GSX‐R750の完全にダメになっていたタイヤを
換えました。
写真はタイヤ交換前。
キャブ回りや外装を先にしていたので
タイヤ交換すら行う時間がとれなかったのです。
特にリヤタイヤは3.5のリムサイズに対して
150mm幅のタイヤがつけられており、
これは完全に間違った選択です。
これぐらいのリムサイズですと本来１４０ｍｍで、
純正もそうなっています。ちなみにGPZ900Rは
150mmなのですがいまいち理由は解らない。
GSXR750は3.5インチリムに対しては150mmはダメです。
（この後の年式では4インチに変更されています）
走りが悪くなる。簡単に言えば軽快感がそがれ、
そして曲がらなくなる。
こういうことを平気でする店が多いのですが、
私ならお客さんに言われても説明をして断りますね。
そしてただタイヤを換えただけなのですが、
驚くほど良く走るようになりました。
元々ダメタイヤに間違ったサイズのタイヤがつけられて
いたのもありますが、こんなに良く走るようになるのかと。
まず直進安定性がまるで違います。
ビシッと真っすぐ走る。
そしてとにかくコーナーで良く曲がる。
入り口から出口まで。元々車重が軽いので
特に進入時の曲がり具合が素直で思うように曲がれて楽しい。
エンジンのパワーも存分に使える。
まだ足回りの整備ができていないのですが
それでも良く走る。
また夜や休みにはなりますが
時間を作ってブレーキと足回りの整備を
したいと思っています。
この時代のバイクはきちんと整備をすればするほど
どんどん良くなっていくので実に楽しいのです。
需要と供給の話、当たり前の事ではありますが、
忘れがちなことなので
あらためてもう一度考えていただければと。
コメント