トランスミッションアンダーカット

Z系のミッションドッグ部のアンダーカット加工とは?
純粋なレストア屋さんなどではあまり聞かず、
当社では当たり前のように行う加工です。
一度きちんとギヤをいれて、アクセルを開けた時に、
ギヤが抜けるのを防ぐ加工です。
ギヤが抜けると、急にニュートラルに入れたようになります。
アクセルを閉じ、エンジンブレーキがかかる時も、
ドッグ部分が関係しています。
ちなみに、正確にギヤを入れてから抜けるものは、
ギヤ抜けで、そうでなくきちんと入っていなくて
ニュートラルみたいになるのはシフトミスです。
全然違います。
この写真の黄色い印の部分の角度を見てください。
90度になってます。これは加工前。
DSC00263.JPG
こちら、ノーマルピストン用にほんの少しだけ
黄色の印部分を加工したもの。解りにくいですね。
DSC00266.JPG
解りやすい写真を。
こちらは印が入っていませんが同じ部分を見てください。
これはノーマル。新車のように特別良いものです。
DSC00311.JPG
この下の写真、ドッグ部をアンダーカット加工したもの。
こちらは、コスワースピストンやJBピストンなど、出力が上がった時用。
写真だとかなり角度が変わって見えますが、
実物を見ればそう角度はついていません。
加工した部分が解りやすいように、写真を撮ってます。
DSC00313.JPG
もう一枚、違った角度から同じ部分を撮ったもの。
DSC00314.JPG
こちらはドッグの反対側。
このドッグのうち、どちらかが、加速時か減速時にかみ合い、
ギヤがつながった状態になります。
どちらがその役目をするかは、ギヤによって変わります。
DSC00315.JPG
この部分を削れば、強度的には少し落ちることになりますが、
Z系、J系共に、元々が頑丈なため、通常の乗り方であれば
壊れることはありません。
ドラッグレースなどは負担がきつく壊れてもおかしくありません。
私なら、自分のバイクではドラッグレースはしません。
この加工は、ギヤが抜けにくいように行われるものですが、
ノーマルで程度の良いものでも、この部分が抜けやすい方向に、
最初からやや曲がっているものや、力が掛かって曲がったのかな?
というものもあります。
上で紹介した加工後の写真と、逆の方向に
少し曲がっているという意味です。
そうなるとこの写真のミッションのシフトフォークに
力が加わりが削れ痛みます。
この写真のものは程度の良いものです。
DSC04752.JPG
車体をサイドスタンドでたて(斜めになった状態)
ニュートラルにして、エンジンをかけたとき、
時々引っかかるようにな音がする時は、シフトフォークが
傷んでいます。ギヤが駄目になりますから、
すぐに治したほうが良いです。
これも、アンダーカット加工していれば防げます。
ローソン系からはドッグの爪の数が増えています。
耐久性を上げるためだと思われます。
また、空冷最終系では、純正で最初から上の加工と
同等程度アンダーカットされています。
またその後の水冷モデルなども最初から行われています。
このことからも必須の加工と言えると思いますが、
上手くちょうど良いぐらいに削るのは難しく、社外品の
ピストンなどを入れたOH直後は、ギヤシフトの際やや動きが
渋いぐらいでも良いのではないかと思います。
距離を走るとちょうど良くなります。
また純正ピストン使用の場合は、動きの良さを優先して
加工の量を少なめにするのも良いと思います。
また使うステップにより変速のしやすさが変わりますので、
おまりよくないステップの場合、削る量は少なめが良いと思います。
また、クラッチが新品の時もシフトに渋さが出るときあります。
本調子になるのは2000キロぐらい走ってからでしょうか。
昔、取材を受け編集者の方が、
「ミッションのアンダーカットはしなくても結構
走れるんだよね。」
と言っていたのを思い出します。ベテランの方です。
確かに短い年数で考えたり、年間通してたいして乗らない方、
すぐに乗り換えるタイプの方、しょっちゅうエンジンをばらして
いる人を基準に考えれば、うまくできない人が加工することによる、
リスクをなくせると思います。
ですがそこ基準ではなく、一生もので、トラブルをなるべく少なく
乗りたいという方にあわせてつくるべきだと思います。
自分でお金を払って所有して、並べるコレクションではなく
実際に乗り続けないから、そういうことを平気で言う。
その発言にあきれたのを今でもはっきり覚えています。
初期ものは生産が70年代前半で40年も前のものです。
何カ所かギヤが抜けやすい方向に、ドッグ部の形状が
なっていても普通のことなのです。
たまにエンジンの中を見たぐらいでは解りません。
しょっちゅうバラして、組み続けていなければ
解らないことはたくさんあります。
ちなみに海外で加工されているものは半端なく
削られているものがあって、びっくりするときがあります。
会社のどこかに転がっているかも知れないので、
あれば紹介します。

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