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今回はZ1000LTD(売約済み)
の写真を紹介します。
がその前に、
私が常々しつこく何度も言っている
なぜ当社で販売する車両や、
エンジンオーバーホールした車両に
純正キャブを取り付けて販売しないのか、
また性能の悪いふん詰まりマフラー、
またはふん詰まりバッフルを取り付けたままで
走ることの弊害について、
その理由を実例で説明します。
なお爆音で走れと言っているわけでは
ありません。極端に悪いものは駄目だと
言っているわけで、具体的には
乗っていて中高回転域の吹けが明らかに悪い
と感じるものはダメです。
これぐらいいいだろと根拠のない
ことを言っている店、人などいますが
それが原因でダメになっているものを
はっきりと知らないから
そんなことを言っているのでしょう。
ダメなものはダメです。
今回実例で紹介するのはZ1000Jの
燃焼室の写真で、キャブ、マフラー共に
純正のままで程度の良い車両の
エンジンをOHのために分解した写真です。
まず1枚目。
ポートと燃焼室のカーボンは落としてあり、
これからシートカットすり合わせ作業をする
直前の状態です。これを写真1とします。
矢印で指している部分がバルブシートの
当たり面でここの状態が悪いと
バルブとバルブシートとの密着が悪くなり、
吸い込んだ混合気が漏れ、
うまく圧縮できずエンジンが本来の調子を
発揮できなくなります。
またバルブの熱がバルブシートから
逃げず、それも良くありません。
IN側(写真左)とEX側(右)で
大きく状態が違うのが解ると思います。
IN側は痛みが少ないのですが、
EX側は黒くなり痛んでいます。
EX側は高温にさらされるためです。
写真では解りにくいのですが、
この黒くなっている部分は
へこんで虫食い状態になっています。
繰り返しますが、このエンジンは
純正キャブに、純正マフラー装着状態で、
程度の良い車両です。
純正の組み合わせなら痛みにくい
なんて思っていませんか。
そんなのは甘い考えで、
純正キャブなら大丈夫と
思っていませんか。
キャブ自体どこのものかは
重要ではない。
エンジンや、そのほかの条件に合った
混合気を供給できることが
キャブに求められる一番大切なことです。
この写真の状態だと、
出力的にはどうなるかと言えば
1000ccの排気量があっても、
もっと小さい排気量分の
力しか発揮できなくなったりしている、
ということです。
もう一枚の2枚目の写真は
EX側のみシートカットすり合わせが
ほぼ終わった状態のもので、
写真2とします。
黒かったバルブシートの当たり面が
ねずみ色でムラのない綺麗な状態に
なっています。
この状態になっていれば、
バルブとバルブシートの密着が
とても良く、きちんと混合気を
圧縮できます。
そうなれば発生する出力もトルクも
大きくなります。
無駄が減りますから、
燃費も良く、エンジンが本来の性能を
発揮できるので音も良くなり、
乗っていても調子の良さが体感できます。
バルブシートカットすり合わせを
どのような状態で仕上げるかは
いろいろノウハウがありますが、
本題の内容とそれ、話がややこしく
なるので今日は省きます。
今回特に言いたいのは、
せっかく写真2のように
ねずみ色のきちんと仕上がった状態
になっていても、
間違った部品の組み合わせなどで
使用すれば、アッという間に
シートカットすり合わせ前の状態(写真1)
に戻ってしまうということです。
あっという間に戻ります。
具体的には、
エンジンの状態にあったキャブレター
セッティングがされていない場合や、
(特に濃いほうにずれているもの。
純正キャブはエンジンの状態、
使用マフラーに合わせた微調整が
できるようにはなっていない)
ふん詰まりマフラーや
ふん詰まりバッフル、の装着。
使い方や、エンジンに対して
口径の大きすぎるキャブレター、
単にふん詰まりでなく、構造的にダメ、
あるいはエンジンに合わない
マフラーの装着で、エンジンの回転が
上がっていく最中にボコついて
スムーズに吹けあがっていかない状態など。
これらはすべて燃焼室内に
入った混合気がきれいに燃えない、
また燃えた後の排気ガスが
エンジン内から抜け出てくれないことから
起こりやすくなります。
このような状態で走ることにより、
例えきちんと良い状態に戻す
エンジンオーバーホールをしたとしても
すぐに写真2のようにダメな
状態に近づいていきます。
(もちろん点火系が悪くても
そのような状態になりますが、
今は70年代以降のバイクであれば
古いバイクでもポイント式のものが
そのまま使われていることは
とても少なく、フルトラ系の点火系の
品質は安定していることが多いため、
現在は点火系以外のことが
原因としてはほとんどです。)
つまりせっかくきちんとエンジン
オーバーホールを施したとしても、
他の部分が悪ければ
あっという間に悪い状態に
戻ってしまう。
皆さん、大金をかけて
フルオーバーホールしたなら
その調子が長く続いたほうが
良いと思いませんか?
自ら選んだ組み合わせで
自分のエンジンが早く痛むような
ことをしていませんか?
きちんと作業が行われたエンジンが
不調に陥る場合は必ず理由があります。
当社にエンジンのオーバーホールを
依頼していただくお客様は
本当の調子に戻したくて注文を
いただいています。
エンジンだけ良くて、その後すぐ調子を
崩すようなことはしたくない。
だからオイルクーラーや
キャブレター、マフラー
そのほかクラッチなどの各ケーブル類
スロットル回り、
クラッチレリーズ関係、
点火系、
それらも必要なら交換する。
それで10年20年調子よく乗れて
当たり前だと思うからです。
バイクを飾るだけの趣味なのであれば
キャブもマフラーも何だっていい。
ですが車もバイクも長く調子よく乗れて
意味があると私は思っています。
なぜエンジンの調子が悪くなるのか、
この仕事に携わってから、
程度の悪いものから
良いもののメンテナンスで、数多くの
エンジン全分解、オーバーホール
チューニングに携わってきました。
調子が悪いもの
最初良かったものがすぐに
元気がなくなってしまうのには
きちんとした理由があります。
間違ったパーツの組み合わせ、
セッティング、乗り方の誤り、
どれも修正できます。
自らエンジンを痛めるようなことは
避けていきたいものです。
ではZ1000LTD
(整備販売車両、売約済み)
の紹介です。
整備していると、どんどん綺麗に
なっていくんですよね。
マフラーは当社製ですが、
かなり前のものだと思います。
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