古いバイクの魅力とは?スペックだけではわからない乗り味の秘密

日記

もうすでに25年以上にわたって
長くオートバイのオーバーホール、レストア、
チューニングに関わってきましたが、
スペックに現れないことにも多くの重要なことが
あるとつくづく感じます。

いつも繰り返し書いていますが、
当社では年がら年中大掛かりにバイクを分解して
レストアや整備をして組み立てています。

そうして全てばらされた部品の一つ一つを
確認して、良い状態にして組み立て、
そして実際に走ることを繰り返した結果
多くの事を学びました。

そのことで印象的なことは、
オートバイという乗り物は必ずしも剛性が高く、
高出力エンジンを積んだものが運転を
楽しめるものではないという事です。

同じエンジンのバイクでも、
載せられるバイクのフレームが違う事で
乗った時の印象がまるで違うことは
大きな勉強となりました。

そして、同じエンジン、フレームでも
さらに組み合わせるステム、スイングアーム、
ホイール、タイヤ、フロントフォーク、サスペンション
によっても大きく運転時の印象が変わります。

殆どのバイク乗りの方は
天気の良い時に峠道だけ走る、
あるいはサーキットだけ走るという
高負荷走行オンリーの使い方ではないでしょう。
というかそういう使い方をされる人は
全体のバイク乗りの数からいえば少ないですよね。

私たちはツーリングで使ったり、
寒く路面温度が低い時、
ゆっくり走ったり、飛ばしたり、
一人で走ったり仲間と走ったり、
Uターンもしつつ、元気な時だけでなく
疲れた時にも運転します。
たまには通勤に使ってみたい気分の時もあり、
のような。

このように私たちがいろいろな使用状況で
使われるバイクには許容範囲が広いバイクが
扱いやすく、楽しく運転できるのは
間違いありません。
ではそのようなバイクはどのバイクなのか。

そのようなバイクは
当社で扱う古いバイクに多く存在します。
もちろん古ければ全て良いわけではなく
古いバイクの中でもつまらないものは
多く存在します。

もちろん整備が重要なのは言うまでもありませんが
整備してもつまらないものは自分から売りこんだり
しません。

古いバイクのフレームや足回りを見ていると、
いかにも頼りなさそうな細いパイプだったり、
構造だったりします。
実際に高剛性ではありません。

では数十年前から今に至るまで高出力車が
剛性を高く高くとつき進んできた理由は?
と考えたことがあるでしょうか。

それは高出力車が250キロ以上、300キロと
スピードを追っていく中、
まず真っすぐ走るだけでも
それだけのフレーム剛性、足回りの剛性が
必要だったからです。
150PSのエンジンで250キロ以上となると
実際に経験がありますが
弱い車体だと暴れまくって恐怖でしかありません。

今は技術が進み、欲しいだけのエンジン出力が
得られる時代になりました。
時速300キロは当たり前、200PS以上の
高出力でも特別なこととは感じません。

そういう時代になり、
また多様性も認められる事となり、
ふと私自身も冷静にまわりを見渡してみれば。

確かに経験としては200キロ以上まで一気に
加速する豪快な魅力ある世界を捨てきれません。
根本的に速い乗りものは私も好きなのです。

ですが自分が1台だけ所有し運転したいバイク、
ぜひ皆さんに借りて乗るバイクでなく
ぜひ所有して乗ってもらいたいバイクは
そういうバイクではありません。

実際に自分がどのような運転、使い方を
するか考えてみてください。

220~250キロ以上連続で出す?
それ程の高剛性フレームは殆どの方には必要なく
むしろそれなりにねじれるものの方が
許容範囲が広く扱いやすいものなんです。

またフレーム、エンジン出力、重量
などの影響は極めて大きいものの、
それらバイクの一つの部品がどうのこうの
という事ではなく全体のパッケージ、
結局は車体全体のバランスなんです。

つまり数値にははっきりは現れない。
リアルで運転して初めてわかることです。

例えば先日販売した1994年式ドゥカティ900ss、
これは今のドゥカティ、あるいは今の高性能車両よりも
フレームの剛性は高くなく、スイングアームなども細く、
ノーマルエンジンの出力も高くありません。

ところがこのバイクは大きな改造を
施さずとも、必要な箇所に適切に手を加え、
整備を施すと実によく走ります。

コーナリングスピードも現代車に
劣りません。そしてなにより運転して楽しい。

乗り始めてからさらに自分の好みに
手を加えていく楽しさもある。

この900ssよりもさらに前世代のドゥカティは
エンジン出力がさらに低く、
トラスフレームもパイプの数が少なかったり
少し形状が違ったりして、より弱いものですが
劣るバイクはなく、手を適切に加えると
とても良く走ります。

どうも近年のバイクたちは高剛性に寄りすぎ
失ったものもあります。

私のブログなどを読んでいただいている方には
見た目だったり、乗り味で語る方も多いかと思いますが、
古いバイクはフレームが強くないけれでも
実は性能面でも優れたものが多く
古いから良く走らないはあてはまらないのです。

ただし今乗るには操作系など含め技術的に
明らかに良くない箇所があります。
そういう部分を改良、そして整備をきちんと
施すことで本来の魅力、実力を知ることができます。

旧車はカッコだけにあらず、
実は乗っても良い乗り物なのです。

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