ハイカムシャフトについて

チューニングする際に組み込むことの多いハイカムシャフト。
こちらZ用ヨシムラST-1カムシャフト
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古めのバイクによく使われるハイカムシャフト(以下ハイカム)ですが、
どのハイカムも組み込む前によく考える必要があります。
私のようなショップ程度であれば、ハイカムを作ることはできず、
市販で売られているものを購入し組み付けとなりますが、
最近は価格も高く、車種によっては販売終了となっていて、
入手が困難なものもあります。
当社の場合は、必ずしも最高出力が高いものを欲しているわけではなく、
品質が安定していて、普通の街乗りにも使え、メンテナンスに気を使わず、
データが揃っていることからヨシムラ製のみを使っています。
ハイカムは大雑把にいえば、出力特性を高回転側に持っていく物と、
考えて良いと思います。
一番力の出るところを、どこにするかということです。
低中回転域でのトルクは細くなるが、高回転域のパワーは出る。
低中回転域のトルクはそれほど小さくならないが、高回転域も
そこそこぐらい。
一般道で私たちが使うものはこの2つがあれば、充分だと思います。
なぜなら、これはカムシャフトだけを交換した場合の話で、
エンジンの出力特性は、そのほか全てのエンジンパーツが絡み合って、
結果として決まるものだからです。
また、当社で一般の方がハイカムを使う場合には、
以下のことに気をつけています。
エンジンの始動性はよいか。冷えている時と暖まったときの
セルモーターの回りはどうか。
特に最近は予算が許せば、なるべくセルモーターは新品を
組み込ませていただけるようにお願いしています。
スタータークラッチの耐久性が著しく縮まないか。
乗りにくくなるほどのトルクの谷はできないか。
マフラーとの相性はどうか。
ポート径、形状、仕上げとの相性は良いか。
バルブ径、バルブスプリングの強さのバランスは大丈夫か。
ヘッドと干渉する部分はないか。
ピストンにバルブが干渉しないか。
排気量とのバランスは良いか。
クランクシャフトとの相性は良いか。
多少バラつくのは良いが、不快なほどアイドリング時に
振動やばらつきは出ないか。
特に気を使わず乗った時の耐久性はどうか。
特別なメンテナンスがいるか。
そのハイカムシャフトがそのお客様の乗り方に
あっているか。
実際に組み込んだ時、体感的に良い部分が感じられるか。
エンジンが回転している時のフィーリングはどうか。
などです。
ハイカムはただ組み付ければ良いというものではなく、
エンジン全体を見てバランスをみて選択すべきであり、
たまたま手に入ったからといって、安易に組み付けする
ものではありません。
ということは、完成後にどのような出力特性になるか、
仕上がりになるかを、ある程度解っていなければいけません。
そうでなければ、オーナーさんが希望するものとは
違ったものになり、宝の持ち腐れになったり、
乗りたくなくなってしまうことも考えられます。
上に書いた、当社で気をつけていることは、
普通の方が乗る上で、どれも大切なことです。
なぜなら、ほとんどの方はハイカムを組んだ時の
メリット、知っておいたほうが良いデメリットを
本の上や、ネット上しか知らず自分で体験していない。
また現在既に使用している方でも、組んで走行したあと、
再度分解して、ハイカムシャフトはもちろん、カムシャフト
交換により負担のかかる部品を見たことがない。
当社では車両納車時に私たちが直接持って行って、
取り扱いを説明して帰ります。
その中で、バッテリーがなるべくあがらないように、
お願いしています。
それはあがり気味で使用すると、痛む部分があるからであり
それはエンジンを分解して直接見れば、その理由がわかります。
ハイカムは、エンジン全体のバランスと、オーナーさんの
乗り方に合えばとても良いもので、音も、乗った時の力の出具合も、
とても楽しくなり、やみつきになります。
もう少しバランス面のこと、次回書きたいと思います。

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