このZ900の外装は部分整備コースで
販売したZ900の再塗装した物。
このZ1000のタンクは、
当社で部分整備コースで販売予定の
ストック車両のZの再塗装した物。
エンジンはどの仕様にするか考えています。
後期の強いケースに、Z1クランク、
JB鍛造73mmピストンなんてのもいいかな、
なんて考えています。
いろんな組み合わせができ、それぞれに
面白くできるのが、Z系の良いところです。
車体の方はまだホイール以外何も作業を
していませんが、
前に頼んでいた外装の塗装があがってきたのが
写真のタンクです。
写真ですと実物よりやや赤みが強く見えます。
どちらもとても素晴らしい仕上がりで、
これは数少ない外注作業の一つです。
理由は簡単で、外装の塗装は自社では
こんなに綺麗に塗れないからお願いしています。
いつも仕上がってくるたびに感心してしまいます。
逆にフレームなどは自社で塗る方が、
あきらかに仕上がりが良いのでそういうものは
自社内で塗ります。
当社もアゴばかり鍛えて能書きばかり、
とならないように気をつけなければいけませんが、
どんな作業や部品にしても、言っていることや
書いているほどのことの半分もできていない、
むしろ何も言わないところの方が
良かったりすることもたくさんあったりする中で、
いつも頑張ってくれる塗装屋さんに感謝です。
当社に納めてくれる物は、当社の考えを
汲んでいただき、よりチェックを厳しくして
くれているようです。
しかも情報はきちんと教えてくれますし
融通が効くのもありがたいです。
それとは別にこのZ1の写真は持ち込み車両、
フルレストアの依頼で沖縄から届いたZ1、
こちらは4本マフラータイプの純正に近いタイプ
に仕上げます。
キャブはエンジンを始動し、音をチェックするために
テスト用のFCRをつけています。
もう1台のZ1000は私の友人のバイクで、
写真の方が外装など綺麗に見えている印象です。
この外装はオリジナルで、
色がさめてオレンジ色みたいになっていますが、
今回紹介しているタンクと元は同じ色です。
今回は外装の色データを得るために車体を
借りました。
私は友人、知人を仕事に結びつけ、そこから
利益を得るのが好きではないので、
友人はまったくお金にならないのですが、
入ってくるたびにどこかそこか悪い部分が
あったりするため、そういう場合はテスト用で
持っていたりする部品に交換したりします。
今回はヘッドライト(シールドビーム)が
切れており転がっていたライトに変えました。
友人の物なのではっきり書きますが、
このZ1000はかなりくたびれており、
本来ならフルレストアすべきタイミングです。
ですがそこまでは厳しいようなので、
「エンジンのパンチがないから、オーバーホールを
した方がいいで」
と合うたびに言ってます。
ようやく重い腰が少しあがりつつあり、
ここ数年(笑)のうちにはするんじゃないかと
思っているのですが。どうでしょうか。
足腰立たなくなる前にした方がいいぞ。
今のままだと名車でもただの古いバイクです。
一回本来の調子のものを所有すれば、
「もっと早く頼めば良かった」と、
思うはずなのですが。
こういう場合、借りてチョイ乗りではなく、
所有して、いつもの使い方、乗り方で
良さがより解ってくるものです。
ただし乗るのは昔から私よりうまいです。
このZ1000は、もともとかなり状態が
良いものでした。ですが保管の仕方が悪かったり
乗る回数も一時期減っていた時に表面が傷んで
エンジンのパンチもなくなり、こんな感じに
なってしまいました。
エンジンの圧縮はかなり落ちている感じです。
上っ面の部分はやれてきていますが、
本質の部分はとても状態が良いままなので、
仕上げればかなり良いものになるのですが。
このZ1000についているマフラーは
当社でマフラーを作り始めたころのものです。
以前から当社のマフラーがついていたのですが、
それはさらに古い超初期のタイプで、
気に入らないので、今回勝手に少し後のロットの
テスト用に使っていたものに換えてみました。
(もちろん勝手にしているのでタダ)
私の友人はそういうことに気がつかないタイプの
人なので、今回は何も言わずにバイクを渡そうと
考えているのですが、もしかすると、
本当に気付かないかもしれません。(笑)
写真だと現在作っているものと違いが
解りにくいですが、今のマフラーとは、
内外結構いろいろ違います。
ノーマルに近い仕上がりを希望される方は
ショート管タイプを選ばれる方もいますが、
私はサイレンサータイプで、サイレンサー位置を
このZ1000ぐらいか、もう少し下げた
位置にすればそれも似合うと思っています。
後は長さを気をつけることです。
サイレンサーや、その前の部分のテールパイプが
長いと、結果リヤショックより極端にマフラーの
出口部分が後ろにきてしまうのでバランスが
とれずカッコ悪くなります。
特にエンジンと、外装、スポークホイールを
綺麗に仕上げると似合うんですけどね。
これは元々、カワサキZ系がよいデザインだから
だと思います。写真が今いちですので、
伝わりにくいな~と思ってます。
綺麗に仕上がった外装を見ていると、このころの
外装のデザインはそれぞれにいいなと思います。
今の、とがっているのにすぐ埋もれてくるデザインは
物自体が安いのも関係していると考えています。
表面だけ取り繕っても安物は安物です。
高級車でも金かかってないな~、というものも
たくさんあります。騙されていると解っていて
それでも気に行っていて買うのはヨシですが、
解っていないで買うのは単にだまされているだけです。
私達が普段接する古いバイクの外装は
年式相応の程度の物が多く、
本来の魅力がぼやけてしまっている物があります。
Z1系の外装のデザインは元々華やかなもの
が多いので、古くなっても、よほど程度が悪く
なければそれほど古さを感じませんが、
Z900、Z1000などは、純正のラインなども
細く主張が弱いので、それほど程度が悪くなくても、
地味に感じます。
ところが外装はもちろん、エンジン、マフラーなど、
大きな印象を受ける要所を、
それぞれ上っ面だけの安レストアでなく
きちんと根っこから綺麗に仕上げると、
それぞれがきちんと主張するので、本来の良さ、
魅力が解るようになります。
こんなにカッコ良かったのかと。改めて気付きます。
こういうことをぜひ知って欲しいと思います。
世の中に魅力ある古いバイクが結構あり、
気付いていないだけなのです。
そして皆さんがそれを解り始めると、金額が高くなる。
回りが気付く前に良い物を手に入れる方が
お得なのは言うまでもありません。
自分でそれが見抜けるかどうかです。
私は丸タンクの後期モデルに、四角のテールランプも
好きです。そう言えば派手ではない雰囲気で、
ゼロヨン10秒台前半で走っているがZがいたっけ。
そのZはZ1000緑タンク、黒ホイールで、
エンジンは1198ccとのことでした。
今回Z1やZ1000の写真を載せたのは
ベース車両について少し書きたかったからです。
どちらもフルレストアに向いた車両です。
写真のZ1ぐらいに錆が広がると
部分整備ではダメだと思います。
機能的に良いだけでは金額が抑えられても
何かしっくりこないでしょう。
こういう状態の時は、頑張ってレストアした方が、
後で納得できるものです。
Z1は持ち主の方が以前から持たれていたもので、
動かさなくなってから10年くらいは経っている
との事です。
エンジンは当社で全バラしました。
ヘッドは過去にばらした形跡があり、
少しオイル漏れ気になる箇所もありますが、
内部は綺麗でとても状態が良いです。
これは予想よりも綺麗でした。良かった。
フレームなどは上面に錆があります。
表面に広めにあるので、ぱっと見の印象は
あまり良くないですが、フルレストアなら
問題ありません。錆が深くないからです。
フレーム以外のところでメーターなど
錆が深いところは交換します。
こういう枝葉のところは交換できるので
問題ありません。
もし当社で探してくる場合ならここまで
錆がある車両は安全策をとり買いませんが、
持ち込みなら問題ない車両ということです。
要は機能的には問題ない状態なのですが、
もしこれが持ち込みの車両でなく、
新たなオーナーに納品する車両となった場合、
これぐらい見た目に錆が広がっていると、
それをベースにフルレストアするとなった時は
新しく持ち主になる方はキチンと綺麗に仕上がるか
心配になるでしょう。
だから買わないということです。
機能面ではなく、気持ち面も大事ですから。
もちろん持ち込みの場合でも、
ダメなときはダメと言いますが、今までに
もっと悪い物を持ち込んできた方もいますので
大丈夫です。
だからこれぐらいの物を持っている方がもしいれば、
状態が悪くなる前にレストアした方が良いです。
この位の程度がギリギリの線です。
Z1000の方も、
本来なら今フルレストアするのが最適です。
むしろこれぐらいの状態の物が価格もその分
下がるのでフルレストアには一番適しています。
フレームはZ1より錆は少なめですが、
塗装が劣化しており、エンジンも表面の
錆がでています。
長く乗るなら、このタイミングで
レストアするのが良いです。
このZ1000もこれ以上置いておくと、
保管状況によってはフレームの錆が進行します。
エンジンもこれ以上錆が進行しますと、
後でレストアしても、仕上がりが悪くなります。
またエンジン内部は乗っていれば大丈夫ですが、
乗れなければ錆が進行してしまいますし、
ひどい時には使えない箇所がでてきます。
Z1の状態であれば即作業に入った方が良く、
(これ以上傷むとフレームなどが使うべきか
判断が難しくなる)
Z1000くらいでフルレストアするのが理想ですが
予算が厳しければ、まずエンジンのオーバーホール
などをして、これ以上錆が進行しないように乗る。
そして、また予算ができたなら、車体のレストアを
施す。そういう車体です。
したがってもっと綺麗なものをお持ちで、
金額的に厳しければ、エンジンオーバーホールや
各部の整備、部分レストアを施して乗るのも良く、
無理に車両ごと変えたりフルレストアをする
必要はないのです。
今であればニンジャなどはフルレストアよりも
整備と部分レストアで乗る。そういう車体に
なるでしょう。
実際に関東方面からそういうご依頼をいただいて
おります。良いものにできます。
話は変わって、本日の最後に
エンジンのへたりについて大きな影響の
ある部分について書きます。
古いバイクのエンジンで特にどの部分が
へたりに大きく影響を与えているのか。
それにより、私の友人のZ1000のように
走れるもののパンチのないエンジンに
なってしまっているか、という話です。
まずはヘッド部分、
特に影響が大きいのはバルブと、
バルブシートの密着が悪くなることです。
これにはカーボンの噛みこみなどもありますが、
バルブシート自体のあたり幅が大きく
広がってしまったり、
バルブとバルブガイドが減ってしまって
ガタが大きくなり、それによりバルブと
バルブシートの位置関係がずれてしまって
密着が悪くなってしまったりしています。
ヘッドはこの影響が大きいです。
もちろん燃焼室内、ポート、バルブに
カーボンが堆積したりということもありますが、
まずはバルブとバルブシートの密着が
悪くなるのが一番影響があります。
となればオーバーホールの際には
バルブガイドが減っていない状態で、
バルブシートカットすり合わせがキチンと
行われていなければなりません。
これについては今までに何度も触れていますが、
とても重要な作業です。
簡単に外注に出していいところではありません。
自社内で確認しながら作業すべきです。
次にシリンダーまわりです。
まずはピストンの入るライナー部分の穴の径が
走ることにより大きくなり圧縮が逃げやすく
なること。
ピストンも走るほどに減り、
径が小さくなります。
これも圧縮が逃げやすくなります。
次にピストンリング、
これもシリンダー内で張力が落ちてきたりして、
圧縮が逃げやすくなります。
このヘッド回りと、シリンダー回りの
影響が一番大きいです。
つまり圧縮が新品の時より低くなることにより
パンチがなくなる。アクセルを開けても
加速が鈍くなる。
つまりオーバーホール時には
まずヘッドのバルブシートとバルブが
きちんと密着し、しかもそれが長持ちするように
加工、修正をしなければいけません。
シリンダー回りでは、
ピストンが頑丈で、減りにくく、
それが入るシリンダーもすぐに減らない方が良い、
またピストンリングもすぐに張力が落ちたり、
減ったりしない方が良い。
これは品質の高いピストンキットを
使う以外に方法はない。
また古いバイクの場合、アルミのシリンダーに
鉄のシリンダーライナーが圧入されていますが、
それが簡単にゆるくなっていかないように
製作、加工されていないといけません。
純正でもメーカーにより違いがあります。
カワサキと、スズキ、ホンダではノーマルの状態で
緩くなりやすいメーカーとそうでもない
メーカーがある印象です。
当然緩くなりやすいメーカーのシリンダー、
シリンダーライナーは必ずライナー打ちかえて
ボーリングをした方が良いです。
このライナーの材質と、加工の作業が
きちんとされているかで、寿命が大きく変わります。
この部分の影響が乗っていての
パンチのなさに一番影響が大きいです。
そして圧縮が適切な状態を保った上で、
適切なタイミングでバルブが開いて
混合気が燃焼室内に入るようにするために
カムチェーン回りがキチンを正規の働きを
しないといけません。
そうなれば、カムチェーン、バルブスプリング、
アイドラー、スライダー、カムシャフトなどの各部品も
重要で、それらが消耗してくると本来のタイミングで
混合気が燃焼室内に入らなくなります。
こうなってくると、オーバーホール時には
なるべく長持ちする信頼できる部品を使い、
適切に組み上げることが重要になります。
この何度も圧縮が逃げるということを
やや表現としては適切でなく乱暴かもしれませんが
簡単に書くと、
排気量が小さくなるようなものです。
1000ccなのに混合気が漏れ、
500cc分しか力を発揮できない状況に
なっている。
しかも車重は1000cc分あるので
なおさら加速しない。
これをお金を払ってそうしているのであれば
何とも馬鹿らしいことか。
だから誰に作業してもらうかが大切なのです。
ではクランクケースなどの腰下は。
これらはヘッドとシリンダーでつくった
トルクとパワーをアウトプットするためのものです。
ですから、クランクシャフト、ミッション、
クラッチが腰上で発生した力を
なるべくロスを少なく出力する。
ベアリングのガタが大きくなっていたり、
クランクの振れが大きければ、
回した時にパワーのロスが大きくなります。
クラッチが滑っていては動力自体が
伝わりません。
そうならないように、ベアリングなど
必要であれば交換し、クランクが曲がっていれば
修正します。
ミッションの爪の部分が減っていたり、
曲がっていたりすればギヤが抜けたりしますから
交換したり、修正加工したりします。
このように腰下のアウトプットの部分も
重要なのはもちろんですが、
私達が乗る古いバイクの場合、
エンジンに力がない、パンチ力がないのは
腰上のへたりの影響が大きいです。
腰下はそれを効率良く伝えるため、
またフィーリングを良くするため整備をします。
もしエンジンオーバーホールをしたのに
あまり作業前と印象が変わらない、
あるいはオーバーホール後1年など、距離も対して
走っていないのに力がなくなってきたと言うのならば
腰上の作業、部品や、カムチェーン回りの
作業、部品が良くないということです。
こういうことにならないように、
簡単にあごだけ鍛えた能書きを信用しないことです。
本になっていたり、有名だからと言って、簡単に
信じてはいけません。
私もあごだけの人にならないように、
自分のできる範囲、得意分野のみでやっていきます。
何でもできたりはしません。
したがって外装の塗装はその道のプロに
尊敬の念を持ってお願いしております。
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