シリンダーはライナー打ち換えボーリングしています。上面はライナーを打ち換えた後、ライナーとシリンダーとの段差をなくす為に、最低限の修正面研をしています。 |
修正面研後のシリンダーの厚さを測定して適切な厚さのベースガスケットを使用し、ねらった圧縮比にします。圧縮比は高すぎても低すぎてもダメです。 |
手に持っている物はカムチェーンガイドです。これはよく中で暴れて折れていたり、 暴れることでシリンダー側が痛んでいることがあります。 |
シリンダーに取り付けたところです。緩むことがあるので当社では脱脂後、ネジロックをつけて組み付けています。) |
この年式のZ1は元々シリンダー中央部にオーリングが入っていない構造です。またシリンダースタッドボルト以外で、この中央のカムチェーントンネル付近に締め付けるボルトなどもないために、1枚ガスケットではオイルが漏れてきてしまいます。そこでオーリングが入るように溝入れの加工を施しています。 |
ヘッドの組み付けに入ります。このエンジンの外観はサンドブラスト仕上げです。 |
バルブステムシールやスプリングシートまで組み終わったところです。 |
組みつけの際にはオイルを塗っておきます。ただし塗りすぎるとあちこちに垂れて作業しにくくなるので、必要な分だけ塗ります。 |
ヘッドを立てバルブまわりを組み付けます。私はエンジンに傷が付かなくて、色々と便利が良いので木を下に敷いています。 |
バルブは付いていたものが程度がよかったので、カーボンを落として再使用です。ステム部にはグリスを塗ります。 |
バルブスプリングは他の車種の不等ピッチタイプを使用します。持っていたので使用。ノーマルでもOH仕様なら平気です。密側をヘッド側に。スプリング、リテーナー、コッターなどの各部品にはオイルを塗ります。 |
スプリングコンプレッサーで縮め組み付けます。バルブは走れば回ってしまいますが、分解時にコッターなどの組み方などで気を使って組んでいるかなど解ります。 |
バルブ回りを組み終わったところです。 |
アウターシム式のリフターまで組み終わったところです。 |
エンジンはオーバーホール仕様なので、カムシャフトは純正です。カムシャフトの山は軽く研磨しています。 |
カムシャフト部のメタルは新品に交換です。そのまま組まず清掃し脱脂して、カムメタルのカムシャフト軸受け部分にグリスを塗ります。 |
Z1のカムシャフトは中空タイプのものです。乗った感じは中空でないものと比べて、特に何も感じません。理屈的にはレスポンスがよくなったりするかもしれませんが。 |
ヘッド単体のバルブクリアランス荒調整は画像のようにカムシャフトを1本ずつ組み付け調整します。 |
カムホルダーを規定トルクで締め付け、シックネスゲージを使って調整しますが、後でヘッドをシリンダー上に組み付けた後に再調整するので少し広めにしておきます。 |
調整が終わったところです。この後クランクケースを組みます。 |
クランクケースアッパーです。毎回する必要はありませんが、この車輌は上面を修正面研しています。 |
径の大きいシリンダーライナー(外径80.6mm)を使用するためクランクケースボーリングをしています。ご覧のようにとても綺麗です。ただ車種によって、ほんの少ししか削る必要のないものもあり、その場合はリューターで削る場合もあります。 |
シリンダースタッドボルトを組みつけた所です。当社ではZ系、J系のオーバーホール時は毎回新品にします。クロモリなどは当社のエンジンでは必要ないので使用しません。 |
Z1初期モデルは、クランクケース前面の形状が違います。通常でこぼこのところが綺麗だったりします。 |
ギヤチェンジを行うフォークです。Z1~MK2はトランスミッションのアンダーカット加工を行わないと、ギヤが抜けるほうに力が加わり、ギヤとこすれ、 この部分が磨耗しギヤ抜けの原因のひとつになります。 |
フォークの位置決めのボルトです。 |
ここがダメになっていたり緩むこともまずありませんが、念のため一度緩めロックワッシャを換えて締め付けます。 |
チェンジドラム位置決めのスプリングをはずしているところです。後期モデルでは2本になっていたり、機構ももう少し複雑になっています。このスプリングでニュートラルに入れた際にほかのギヤに入らないように保持しています。 |
クランクケースロア側の準備が終わったところです。黄色いマジックで印をうっているのは、すべてにうっているわけではないのですが、念のため締め付けが終了しているのが解るようにしています。 |
クランクケースアッパーを裏返したところです。 |
クランクシャフトが収まるピン部のアップです。ここにはクラックが入りやすいのですが、ここ最近はヒビが入っている物にめぐり合っていません。良いことです。 |
クランクシャフトのアップです。芯だしピン溶接済みです。ベアリングは交換していません。曲がりはとても少なかったです。カワサキの組み立てクランクは程度が良ければ元々曲がりは少ない方です。 |
カムチェーンです。当然新品です。毎回同じものではなく、使いわけています。 |
クランクシャフトを組み付けたところ |
ミッションのCーリングを組みつけたところです。 |
ミッションです。ミッションはアンダーカット加工済み、ベアリングなども交換済みです。ギヤなども1つも交換の必要はなく、程度が良かったです。当社で探してくるベース車輌はこういうものがほとんどです。 |
クラッチハウジングです。ややスプリングがへたっていたため丸ごと交換しました。 |
この部品が悪いと加速時より減速時に不具合が生じることが多いです。 |
大きな部品が組み終わったところです。残すはオーリングとノックピンです。 |
オイル通路のオーリングです |
クランクケースです。 |
クランクケースロアケースをアッパー側に組み付けたところです。ボルト類はあらかじめ再メッキしてあります。 |
今回使うコスワース製ピストンです。高耐久、高出力を誇ります。75mmで1166ccです。現在はJB製ピストンを使っています。 |
ベースガスケットは今回1mmの厚さの物を使用しました。シリンダーベースガスケットを試しにつけてみたところです。時々穴の位置などが少しずれていることがあり、今回もノックピン部を少しだけ加工しました。 |
エンジン右側の点火系ピックアップ部です。純正フルトラタイプを使用。純正は高出力ではありませんがエンジンの始動性がよく、トラブルも少ないです。
スプリングを変更する場合もあります。 |
発電する部分のジェネレータ周りです。 |
矢印部分にガタが出やすく、出ていれば交換します。状態が悪い物はアイドリング時にカンカンと音がします。 |
エンジンの左側に組み付けるスタータークラッチ周りの部品です。ギヤの状態はよく、再使用。スタータークラッチはASSYで交換。 |
スタータークラッチをジェネレーターの部品に組み付けたところです。
スタータークラッチは加工する場合があります。 |
スタータークラッチに組み込むローラーとスプリングなどです。安い仕事ですと、この部品を換えるだけであまり効果がありません。 |
先程のローラーなどをスタータークラッチに組み込んだところです。セルを回したときにガキッと音がする場合は、このローラーがキチンと動かず、スタークラッチ内で変な動きをしています。 |
スターターギヤです。ご覧のようにとてもよい状態なので再使用です。
悪くなるとスジが入ります。 |
スターターギヤをクランクシャフトに組み付けたところです。 |
ジェネレーターのローターとスタータークラッチをクランクシャフトに組み付けたところ。ボルトは純正より強い締め付けに耐えられるものに交換。 |
シリンダーを組み込みます。スタータークラッチ、点火系の部品はどちらか1方組んでいればシリンダー組み付け時には充分なのですが(工具で固定してクランクの回り止めに使用)両方組んでいると作業しやすくなるので今回は先に両方とも組んでいます。 |
シリンダーを途中まで入れたところ。ピストンを組み付けたところの画像がHP内で少ないのは、ピストンむき出しの状態では埃が大変つきやすいので、写真を撮っている場合ではなく、とっとと組んだ方が良いからです。 |
シリンダーまで組み付けたところ。 |
カムチェーンアイドラーのシャフトです。(シリンダー中央部にアイドラーと共に組み付け)手に持っている左側が初期物で切りかきの部分にゴムのダンパーがつきます。今回はこの車輌に付いていた初期物は使用せず右側のシャフトに変更して組み付け。 |
ヘッドガスケットまで組み付けたところ。先程のシャフトを使ったアイドラーが中央部に見えます。 |
シリンダーヘッドを締め付けるのに使うヘッドナットとワッシャです。 |
シリンダーヘッドまで載せたところです。 |
今回使用したMK2純正のオートカムチェーンテンショナーです。 |
テンショナーを組み付けたところ。 |
テンショナーを固定するボルトの画像です。このボルトは純正品を使用していないので長さを調整の為に切ったあと、端部を旋盤で削っています。 |
バルブクリアランスを調整中。クリアランスは「必ずいくつにする」というふうにはしておらず、その時々で良いと思うクリアランスにしています。もちろん大幅に変わるものではありませんが。 |
特殊工具を使ってシムをはずしているところです。 |
バルブクリアランスの調整が終わって、カムスプロケットボルトをはずし雌ネジ部を脱脂しているところです。この後、適切なトルクで締めます。 |
カムスプロケットボルトの締め付けが終わったところです。 |
ヘッドカバーの裏にあった日付らしきもの。私は特別思い入れはありませんが、綺麗に残っていたので撮ってみました。 |
ヘッドカバーまで組み終わったところ。カムプラグ(三日月のゴムの部品)は液体パッキンの塗り方や組み方が正しければ飛び出てくることはありません。よって裏返す必要もありません。美しさも大切です。 |
キックシャフトのメクラです。ここにマークなど入るのはあまり好きではないので当社で製作。 |
メクラを組み付けたところ。 |
オイルクーラー取りだしを組み付けたところ。オイルプレッシャースイッチは長く使っていても壊れたことがないのでオイル通路側の接点だけ磨いていつも再使用です。 |
タコメーターギヤまわりの部品です。ここの部分から良くオイル漏れしている車輌を見かけますがキチンと組み付ければ数年は漏れません。 |
エンジンに組み付けたところです。 |
ジェネレーターのコイルです。オイル漏れの原因となるリード線を交換します。 |
最初についていた線を根元からはずし、線を交換したところです。 |
他の部分を壊さないよう丁寧に作業する為、気を使い結構時間がかかります。 |
ジェネレーターカバー内を洗浄し、脱脂したところです。 |
先程リード線を交換したジェネレーターコイルを仮ばめしています。一度はめて、カバー内のリード線の長さを調整しておきます。いい加減にするとスタータクラッチの部品とリード線が干渉して不具合が生じる事があります。 |
エンジンをひっくり返し、オイルポンプなどを組み付けます。 |
ノックピン、オーリングを忘れず組み付けます。 |
オイルポンプを組み付けました。オイルポンプは状態が良かったのでそのまま洗浄のみして再使用です。 |
オイルパンの内部です。 |
オイルフィルターまわりの部品です。フィルターは純正品が良いです。 |
エンジン下部の組みつけが終わったところです。ガスケットが変にはみ出ないように組み付けています。 |
エンジンを再度ひっくり返しクラッチ回りを組み付けます。ご覧のようにハウジングは綺麗です。 |
クラッチディスクです。鉄プレートは状態が良かったのでレストアして再使用。ディスクは新品に交換。 |
オイルを塗ってクラッチディスクを組み付けたところ。 |
クラッチスプリングです。他車種のものを使用。 |
クラッチ回りは完成です。 |
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ミッションチェンジ機構です。リターンスプリングを交換します。Z1はMK2などに比べスプリングなどをきちんとしていないと不具合が出ることもあります。チェンジのアームもつめの部分など悪くなっていることや支点のかしめ部分も悪くなっている場合もあります。 |
カバーを取り付けたところです。画像では見えていませんが、一番下部のシールはオイル漏れしやすいので数年に1度交換した方が良いです。 |
ブローバイ回りの部品を組み付けたところです。 |
内部もカバーも後期物と同じに見えますが同じではありません。ボルトは欠品なので再メッキしています。 |
キャブレターは今回FCR35mmを使用する関係でインシュレーターを口径の大きいものに交換します。 |
インシュレーターも純正品が良く、キャブレターの差込(アダプター、スピゴットなど色々呼び方あり)にあわせ部品を注文しています。純正品は品質が良く一度交換するとかなり長持ちです。 |
先程途中まで作業していたジェネレーターです。画像では見えませんが液体パッキンを塗ってボルトにネジロックをつけて組み付けます。 |
カバーを組み付けるエンジン側です。 |
ジェネレーターカバーを組み付け、反対側のポイントカバーを組み付けたらエンジンが完成です。 |
エンジン完成です。 |
このエンジンはサンドブラスト仕上げ、カバー類バフ仕上げです。 |
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FCR35mmです。やたらと大きい口径をつける方がいますが、口径は排気量だけでなく、バルブ径やポート系、その他エンジンの設計によって適切なものが決まってきます。したがって無駄に大きな口径のキャブレターをつけるのは無意味です。Z系で900cc以上で、FCRなら35~37mmが良いと思います。 |
インシュレーター差込のアダプターです。メーカーによりエンジンに差し込む際にとてもきついもの(入りにくいもの)もありますが、この写真で使うビトーR&D製はきつすぎずゆるすぎずとても良いものです。 |
アダプターをキャブレターに取り付けたところです。 |
キャブレターは、ネジ山に液体パッキンを塗るタイプですが、はみ出た分は拭き取っておきます。 |
キャブレターの下側でスロージェットを確認しています。他のジェット類も確認します。油面なども確認します。必要な場合はセッティングを変えます。今回はメインジェットのみ換えました。 |
フロート室を閉めたところです。画像の左端に加速ポンプが見えます。 |
キャブレターの上側の蓋をはずしたところです。ジェットニードルの点検をします。 |
そのジェットニードルです。よく段数、濃さなども初期出荷から変更します。 |
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スロットルの同調やネジの緩みなども点検、蓋をし、ファンネルを組み付けます。 |
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