こんな店に整備に出してはいけない。

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こちらのエンジンはオイル漏れ修理の
依頼で入庫しました。

もしこのブログを見ていただいている皆様、
あるいはまわりの方のエンジンに
今から紹介するこのような部分があれば、
そのエンジンを触った店は避けた方がよい、
ということで今回オーナーさんの許可を
いただいて紹介しています。

上の写真はエンジンを降ろす、
直前の写真です。Z1000R2です。

他社さんに一度依頼をされたとのことですが
治らず、遠い所から当社に車体ごと
送っていただきました。

当社でエンジンを分解する前に、
走行テストし、漏れる箇所を確認。
キャブレターや、マフラーなどを外し
外から散々確認するのですが解らず。

仕事が詰まっている関係で、
分解してもすぐに修理の作業を
することはできないのですが、
悪い部分がどこかが解らなければ、
オーナーさんも気が気でないと思われるので、
許可を取りエンジンを降ろして分解します。

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オイル漏れの箇所はここ。
エンジン左前側スタッドボルトの近くでも
ありますが、どうも違うようです。

その辺を走ったぐらいでは漏れず、
高速道路で回転を中回転以上に維持して
走ると漏れてきます。

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エンジンを降ろしヘッドカバーと外すと、
ボルト側には当たった形跡は
なく、ボルトも緩んでいないのですが、
カバーにはカムホルダーのボルトが緩んで
(あるいは抜けて)
当たった傷があります。
これを見るだけで嫌な予感がします。
1本だけならまだしも、4本って!

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カムホルダーのボルトは換えられてしまっています。
特別な理由でもない限り換える必要はないのですが。

大体通常換えなくてよい部分を
換えているエンジンにきちんと整備作業を
されているものはありません。

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このボルトは純正では、つばつきのボルトが
使用されており、締め付け時のトルク管理が
しやすいようになってます。

このように6角のボルトにワッシャですと
角が食い込み、トルク管理がしにくくなります。
純正は考えて作ってる。したがってこういうことは
しない方が良い。

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カムホルダーを外すとご覧のとおり。
ネジ山がつぶれています。
大体余計なことをしている場合は
こういうもんです。

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小さなことではありますが、
ノックピンの向きがそろっていませんね。
こういう部分は気にして組むのが
整備士だと思います。
他の部分もバラバラでした。

今純正部品でこの部分のノックピンを頼むと
形状の違うものがきますが、
この片側が面取りされているものは、
カムホルダーが組み付けやすいように
なっていると思われ、当然右上のように
組むのが普通だと思います。

DSC09576
ヘッドを降ろしました。
オーナーさんに聞いたのですが、
私の知らないメーカーのピストンです。
前回の他社さんでの修理の際に
交換されてます。

1番と4番のピストンの横にあるシリンダーと
ヘッドの位置決めの為のノックピンに注目。
DSC09691これです。

ノックピンのサイズが本来のものと違うものを
使っており、しかも左右で形状が違い、
(機能的に問題なければそれは別に良いのですが)
片側は径が小さくゆるゆるで、
正確な位置決めのために入っている部品なのに、
意味なし!

DSC09692シリンダーまで外しました。

その後オイル漏れの箇所を
探るのですがなかなか解らず、
もうここしかないという判断で
シリンダーからライナーを抜くことに
しました。

そこでようやくオイル漏れの箇所を
特定できました。

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シリンダー部分に亀裂が入っており、
これが外のオイル漏れした箇所と
つながっていました。

ここはライナーが圧入になっているので、
(使っていくうちにかなり緩くなってきますが)
すぐにはオイルが漏れてこないのですが、
しばらく走るとクランクケース側から
オイルが上がってきてこのヒビから
外に出てくるようです。

ちなみに外から見てもこのヒビなどは
全く解りません。ここ?というような感じです。

という感じでオイル漏れの原因が無事解り、
このシリンダーは使えないということになりました。
ですのでかわりの物を用意します。

 

ここまでばらしただけでも
すでにこういう感じですから、
他の箇所も悪い部分があって当たり前なので、
許可をもらいエンジンオーバーホールをする
前提でエンジン全バラ作業に進みます。

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降ろしたヘッドです。

DSC09624液体パッキン塗りすぎ。
しかもこの黒のタイプの液体パッキンは
ここに使うと漏れだすのが早いので、
エンジンの色が黒だからといって
使わない方が良いのです。
(固まった時の触った感触で向いているか
いないか解ります)
納車後すぐに漏れていたようですし。

DSC09626
インシュレーターを1つ外しました。

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純正品で程度も悪くありません。
ですが裏を見ると、

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例によってダメ整備の典型、
液体パッキン大量塗り塗り攻撃。
先ほど書いたように純正品で、
程度が良いのなら塗る必要はありません。

もしヘッド側にクサビのように傷が入って
いる箇所等あれば、そこの部分にのみ
ほんの少し塗ればいいだけです。

例えばエンジンオーバーホールでなく
整備作業の中でインシュレーターを
交換する予算が確保できない場合に
(純正部品で1131の品番の場合
1個2000円ほどもする)
一時的に薄く塗ってはみ出した部分を
綺麗にふき取り、その場をしのぐことが
あったとしても、このエンジンのように
まだゴムが生きている場合には塗る必要は
ないのです。

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別のところのインシュレーターを外すと
ボルトの長さが違います。
右のボルトは半ネジタイプで、
長すぎます。

DSC09631
長さが違う半ネジボルトをつけられて、
ネジ山が壊れてます。
全く整備してるのか壊しているのか。

DSC09634これはエキゾースト側のリフター。
焼けすぎです。

バルブと、バルブシートのあたりが悪く、
あるいはあたり巾が足りないと、
バルブの熱がシート側からヘッドに逃げない
ことになります。
そうなるとバルブステムエンド側から
リフターにつたわる熱量がかなり増えるので
こうなりやすくなります。
これも整備不良です。

DSC09637ややピンボケですが、
燃焼室側から見たところ。
エキゾーストバルブが通常より
白く焼けているのが解ります。

このエンジンをばらす前に、
試乗テストをしておりますが、
エンジンの出力が高くないのに
油温が高いのも気になっておりました。

DSC09638全体的にはこんな感じです。

DSC09665バルブを外したところ。
これはエキゾースト側で
細いねずみ色になっているところが
バルブとバルブシートが当たっている
部分です。
きちんと当たっていないのがこれからも
解ります。

IN側も少し見えていますが、
こちらも足りないですね。
他の箇所もEX、IN側とも
大きくは違いませんが、
EX側は4本とも特にひどいですね。

これはバルブシートカットすり合わせが
きちんとできていないからこうなるのです。

DSC09635IN側リフターはこんな感じ。
EX側に比べると全然違うのが
解ります。

時間の関係で今日はここまで。

こんなひどいことをする店が
エンジンオーバーホールも得意とする
専門店なんだそうです。

また続きを書きます。