販売車両GSXR1100の整備紹介(6)

GSXR1100販売車両整備

前回の(5)でテールランプ回りの組み立てを
行いましたがその続きになります。
余談ですが欲しいものが見つからないため
初期型GSXR750用の当社製マフラーを作っています。
仕事が終わった後に作っているのでまだ完成して
いませんが、出来上がりましたら当社の
販売車両につけて紹介いたします。

この部品は点火系のイグナイターです。
今回の整備内容紹介ではいわゆる良い程度のバイクとは
こういう箇所も状態が良いことが多い的な
事がいくつか出てきます。
誰が見ても解ることですから参考になると思います。

清掃してカプラー回りの接触に異常がなさそうか
チェックをします。カプラーを外して端子を磨いたり
することもありますし、そうでなくエアーを吹きかける
だけの場合もあります。
要は場所によって傷みやすい箇所、汚れやすい箇所が
ありますから状態によりケースバイケースですね。
綺麗な場合でも接点復活剤を端子に少し吹いて
おくことが多いです。

電気系の不具合は機械的なことよりも原因を
見つけにくいことが多いので地味な作業ですが
きちんと確認します。
こういうことを全体的にしている店は殆どないと
思います。

続いてヒューズボックスの点検です。
フューズが上下逆さまについています。
こういうことは機能上別に構わないのですが
腐食していないか、劣化している様子はないか、
後は予備のヒューズが減っていたり
ついていないこともあるので、
そういう事のチェックと内外の掃除をします。
程度の良い車両はこういう部品も状態が良いものです。

表側。

裏側。状態が良いのが解ります。

シートのロック機構です。清掃後。
こういう部品も普段外すことはないので
だいたいゲロゲロ状態です。
再メッキはしていませんが清掃とチェックを
しておきます。
この手のケーブル類は古いバイクは大体欠品ですから
掃除の際に末端の部分を折ったりしないように
気を付けて作業します。

シートロック機構回りの取付ボルト。
こちらは今回再メッキしてあります。

部品を取り付ける前に配線類をチェック清掃し、
フレームも再度掃除します。
ばらしたときにしかできない作業です。
整備の基本は分解清掃整備です。
つまりばらしていない箇所は整備していないという事です。

ただし、状態によりどこまでするかを考えないと、
よい所を余計に分解したりすれば時間も無駄になり
販売価格も高くなってしまいます。
つまり車体の状態により必要な作業を毎回考え
必要なことに時間と予算を集中することが大切です。
何でもすりゃいいってものではない。

エンジン内の何とか処理とか、
それをするのは他の箇所をきちんと整備したうえで
それで予算が余っているならしても良いですが、
本来すべき作業、例えばピストンを換えて
ボーリングするとか、バルブシートカットすり合わせを
きちんと行うとか、交換必要な純正部品を多少高くても
換えるとか、そう言う事の予算をケチって
何とか処理だけ行うなんてのは間違いだということです。

ここまでばらせばフレームの状態が良い悪いは
はっきり解ります。
シートレールは簡単に曲がりますから、
(転倒していなくても少し曲がっている程度は普通です)
ショックを強めにうけているものはすぐに解ります。

ですからお客さんにもこのバイクは状態が良いとはっきり
自信をもって言えるわけです。
また私たちも常日頃から良いものに接し、
それを知っているから悪いものはすぐに解ります。
ですから悪いものは仕入れない、
という事が出来るわけです。

セルモーターのリレー。車種によっては早めに換えた方が
良いものもありますが、こちらは清掃して再使用。
ご覧のようにきれいです。
良いものはこういう部品も綺麗なことが多いです。

セルのリレーはゴムのキャップで見えなくなるのですが、
こんな感じでつきます。ゴムキャップも清掃済み。

バッテリーケースです。
今回この部品はブラスト→塗装の処理は
していないので清掃し、錆びている部分は
錆止めを塗って乾燥後黒色をタッチアップして
あります。ボルトも掃除して使用。

バッテリーケースに取り付けるダンパー。
こういう部品が出るうちに車体を買うのが
良いのは言うまでもありません。
ゴムの部品を軽く考えている人が多いですが
良い整備車両に仕上げるのにゴム類は重要です。

こちらのボルトとカラーは再メッキ済み。

バッテリーケースと共締めになる部品です。
再メッキ済み。

これも使用するゴムダンパー。

先程のダンパーを付けて準備完了。
こういうボルトなど含めて準備するのに
意外と時間がかかります。

簡単にぱぱっと組付けてると思われがちですが
きちんとした部品を用意することにも
組み立てと同じように時間がかかります。
そして面倒なのでほとんどの所はやらない。

事細かに紹介しているのは、
良い車両を手に入れるにはそういう部分こそが
大切なのだと知ってもらい、
ただ意味なく高いだけのものを勢いで
間違って買わないようにする知識として
もらいたいからです。

これはずっと後である程度組付けが終わっている
写真ですが、このようにつきます。

準備が終わったバッテリーケースと、
フューズボックスを取り付けました。

ヒューズボックス奥のリヤショック上側付近の写真。

ウインカーリレー清掃チェック済み。
再使用です。

バッテリーケースにこのようにつきます。

車体左側のバッテリーケースをダンパーを介して
フレームに固定している写真。

ここに先ほど準備したイグナイターを取り付けます。

ここにつきます。
こんな風に斜めにつくタイプは珍しいですね。
写っている配線、カプラーも綺麗です。
整備しているからです。

リヤのインナーフェンダー。裏表、できるだけ
綺麗にしておきます。
ステッカー3枚のうちGSXRはCAUTIONと書かれた
ステッカーがはがれていることが多く、
この車両もはがれかけていたので
一旦はがして貼りなおしました。
少し薄くなってはしまうのですが。

見えなくなりますが先ほどのインナーフェンダーの
ボルト止めされる部分。

写真を撮り忘れましたがリヤフェンダーと
準備していたインナーフェンダーと、シートロック機構、
ボルトを組付けたところ。

本日はここまでです。

販売車両GSXR1100の整備紹介(7)に続きます。

今回も興味のない方には
どうでもよいような細かいところまで紹介しています。
私の中に皆さんにも知ってもらいたい欲が
あるのかもしれません。
それで皆さんが古いバイクたちから本来得られる
人生の楽しみを増やせると思っているからです。

整備とは当たり前のことを当たり前にするだけなのですが
それをしなければ、古いバイクで良いものは
手に入れることは出来ません。

それには時間もかかりますし、費用もボロなものよりは
高くなります。
ですがきちんと整備した良い旧車バイクは
ただ速い遅いという事だけでなく気持ちよく走ります。

そしてきちんと整備されたバイクは
上手く操れるようになります。
私が20代前半の頃、一緒に走っていた友人たちは
私よりも上手い人が多かった。

私はそこで運転の技術だけでなく
バイクの車種、セッティングが私に
あっていないと感じる事が多かった。

今になって思えばそれが正しかったと言えます。
同じ車種でも整備や正しくチューニングしたバイクは
誰と比較してではなく、
自身で考えた時、以前より上手く操れ、そこが面白い。

その本来の面白さを得るためには
紹介しているようなその車両ごとにあった整備が
必要なのです。

このことは歳をただ重ねて老いていくだけでなく、
このバイクに1年でも長く乗っていたいと
思わせるものです。

実際バイクに乗るだけでかなり運動になりますよね。
ただ古いバイクを飾るだけでなく
乗って楽しみ、見ても磨いても楽しい。
そのことで回りの人間と話すのも楽しい。
そういうものにするにはとにかく
ばらして手間かけて必要な部品を用意して
整備することをお勧めします。



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