高級な部品をつけるだけでは良く走らない

日記

写真はZ1のクランクケース修理中のものです。
後半で話出てきます。

新規のお客様で、少し前に点検のGPZ900Rを
お預かりしました。

走りに行く予定があるとのことで
点検をして欲しいとのご依頼でした。

聞けは30年所有されているとのことで
直接車両を見ると大切にされているのが解りました。
ここまで付きあえる相棒と巡り合えるのは
幸せですね。

エンジンはキャブ、マフラーもノーマルですが
足回りは多く変更されており、
前後サスペンション、ホイール、ブレーキ
それ以外にもマスターシリンダー関係、
その他電気系も一部手を加えられていました。

そのうちフロントフォークはビトーR&D製、
ホイールもビトー製のマグタン18インチが
使用されています。

他社さんの過去のメンテナンス(なんの部品を換えたか)
なども記録も残っておりました。

車体の点検もですが、
コーナーで曲がり方に違和感があるとのことでした。

マグタン18インチホイールはポンとつけるだけで
ある程度きちんと走る商品なので
おかしいなと思っていました。

少し遠方の方なのですが来店していただいて
最初に車両を見た時に、車体の姿勢で
前側が高いかな?という事は感じていました。

来店していただいた時に
すぐに乗って確認したかったのですが
作業場の前を工事しており出られず、
後日試乗して確認、

その結果フロントフォークのセッティングがおかしい、
同じく変更されている社外品のリヤサスのセッティングが
おかしい。リヤも通常より車高が高いです。
フロントフォークをばらして見ないと解りませんが
ダンピングがなく、ばねそのもの。
1Gでの沈み込みも少なく感じます。
フロントフォークの整備を1年ぐらい前に
ビトーR&Dさんではないところで
行っているので、そこで何かしたのかな?


クラッチマスターは当社のお勧めの商品に
変えられているのですが、
レリーズ側が違う車種のものに交換され
それとのバランスが悪くクラッチが切れておらず、
ミッションの変速が上手くできなくなっている状態。

元々GPZ900Rのミッションは純正でやや渋めの
動きですが、これ変速できないじゃんというレベル。
このまま乗っていたらミッションも
ダメになっていたでしょうね。

ああ、ダメショップの典型的な作業だなと
感じました。

つまり商品一つ一つは問題なくても
組み合わせやセッティング、
または純正のままで変更しなくても良い部品まで
変更してバランスを崩している。
そのショップが良い悪いが一切解らないのでしょう。

その他にも交換された部品によってまずいところがあり、
オーナーさんに聞けば、今まで通っていた
お店にすすめられて行ってきた改造のようで、
ノーマルより悪くなっている所があります。

結局オーナーさんさんもその辺に違和感に
あったようで、当社への点検依頼が
あったようなのですが。

エンジンも少しトルクが薄い感じがします。
エンジン自体はスムーズに動いている印象なので
そのせいかもしれませんが、
(ちなみに走行距離は9万キロ越えで
途中エンジンの整備は行われている。
エンジンがスムーズに回ると、運転している時には
ややトルク感が薄く感じる事がある)

これは純正キャブのセッティング、主に
ニードル関係とエアクリーナー回りを確認する
予定です。

結局知ったかぶって間違った部品の組み合わせ、
間違ったセッティング、しなくてよい改造、
これによりノーマルより乗りにくくなってしまったり
走らなくしてしまう。

これを素人さんが行うなら仕方がないことですが
お金をいただいて仕事としているプロと言われる人が
行うのであればひどい話です。

どちらにしても、きちんとまともな走りを
取り戻した状態で納品します。

当社で販売する車両などは改造を施していても
本来の調子で走るようにして納品しています。

結局古いバイクの場合、改造するしない以前に
整備前の状態で本来の調子で走っているものなど
ほぼない。
まずは余りにピンポイントで欲しいバイクを
探すのではなく、ある程度車両選びに幅をもって
程度の良さも大切にして欲しい。
そうでなくてはまともに走らない。
整備にも余計なお金がかかる。

資金に余裕がある人なら1000万の新車に近い
VFR750でもZ1000MK2のフルレストア車でも
何でも良いですが、
飾り物ではないバイクには
きちんと走って楽しめる状態のバイクを
適切な価格で手に入れることの方が重要なのでは
ないでしょうか。

今日は写真の私自身がてこずったZ1の話を。

このZ1、エンジンオーバーホールを1年半ほど
おあずかりして納品しました。

このエンジンは過去にまずい作業をされており
クランクケース下側、数センチにわたるクラックが
入っていました。
そのクラックは分解前には解っておらず
(オーナーさんも私も)そのクラックは
パテで埋められ色が塗られていました。
入庫時、エンジンそのものに全く力のない状態でしたから
その状態でも走れていたのでしょう。
Z1スゲー。

クランクケースの交換も考えましたが
Z1のエンジンそのものが近年は高価で
代わりのものを用意するとなると
大幅に金額が高くなってしまいます。

そこでなるべくクランクケースにひずみが
でにくいように溶接し、その後それでも
歪みが出た分を修正しました。

これだけで1週間かかりました。
本当はこういう部分は請求したいところでしたが、、、
そうなると相当な金額になり
クランクケースを交換したのと変わらなくなるため
今回は我慢我慢。
理由としては今回キャブや、オイルクーラーなど
当社のすすめている同時交換を聞き入れて
いただいて、エンジン以外にも費用がかかっていたから。

こういう作業をサービスですることが当たり前と
思っている方がいるとすれば大きな間違いです。
1週間もかかれば普通はきっちりと請求されますよ。

今回の話はそのことではありません。

そのエンジンが完成。
走行テストが終わり無事納品できました。

問題はその後。
そのクランクケース回りの修理のことがあるので
オーナーさんにはいつもより慎重に慣らしを
していただくこととし、それが終わるころ、
今まで一度もおきたことがない
カワサキZ1系でミッションギヤチェンジ機構の
リターンスプリングが折れる不具合が発生しました。
(カワサキの他社種はおきることがあるようです)

このZ1のリターンスプリングは
かなり前から純正部品が欠品、
社外品も売られていますが試した感じ
あまり印象がよくないので
元々ついているスプリングを再使用しています。

そして変速ができなくなり、
保証で当社で持っていた部品に交換、
すぐに治ったのですが問題はその後です。

ミッションの変速を確認しつつ
アクセルを開けていくと2分の1手前で
ボコつきが発生。
いつもと印象が違うので嫌な予感がしました。

もちろん納車前の走行テストで
キャブセッティングはさんざん確認してあります。
ただ先ほど書いたクランクケースの
溶接修理をしているため、負荷のかかる
アクセルの開け方はご法度ですから
丁寧に開け、何度か上まで回して問題ないことを
確認してから納品しました。

納車のあと、私達に連絡なくオーナーさんが
ガソリンタンク、燃料コックを含む外装セットを交換、
ボコつきが出るとのご連絡を聞いて、
ジェットニードルの段数を一つ薄い方に変更してと
お願いし、改善されたと聞いていました。
これが後でてこずった原因の一つなのですが
その説明は後で。

ちなみにカワサキZ系のガソリンタンクセットは
ゴムバンド一つの固定ですから簡単に変更できますが、
それによって調子が悪くなることがあります。
ガソリンの流れ具合が変わってしまうことが
あるからです。

今回のお客様ではなく、
過去のお客様で同様のことがあったのですが、
エンジンの調子が悪くなったと
ややお怒り気味で連絡がきて
そんなはずないと思って対応していると
結局ガソリンタンクを納品してすぐに
用意していた別の色の物に換えたくて交換。

当社はそのことを最初聞いておらず、
それによってガソリンの流れる量が減って
調子が悪くなっていました。

不具合の話を聞くうちにガソリンタンクを
変更した話が出てきて、原因はそれだと
思い付き元に戻してもらい、
すぐに本来の調子で走るようになった。

誰が悪かったか皆さんお解りですよね。
こちらで納品する時には他社さんでは
行っていないほど走って確認してます。

だからそんなすぐに問題が起きるとは思えない。
殆どは取り扱いの間違いか、
私たちの知らない作業をしたりしている。
テストした部品と違っていればテストしたこと自体が
無意味で、これは本来保証対象外ですよね。

ですので納品してすぐに私たちに連絡なしに
変更されていると、実に困る。本当に困る。

話を戻して、
キャブはCRスペシャルの新品。
乗った印象はトルクがやや薄く、セッティングも
薄い印象なのですが、
ボコつきの現象としてはセッティングが
濃い時の感じ。つまり逆。
薄いとボコつきより通常息つきをします。

こういうことは殆どありません。

そこにお客さんが言っていた
ジェットニードルを当社の言う薄い方に
したら症状が改善されたとの言葉。
ただし、その話は私が直接聞いたわけではなく、
一人間に入っているので
そこで間違いが起きている可能性はありますが。

そしてキャブセッティングをさらに薄い方に
振って、全く改善せず。

エンジンそのものに問題がないことは
解っていたので、その後マフラーに
問題があると思い、マフラーを交換。
治らず。

イグナイター、ピックアップの部品、
念のためプラグ、ガソリンタンクも
当社の在庫品に交換、それに伴い
ガソリンも交換、
ガソリンタンクを交換した際
少し良い傾向が出ました。そこで
一旦エンジンを冷やし、再度乗ってみると
また悪くなる。

ここまでで丸1日費やし、
これはキャブそのものが悪いかもと
頭によぎりますが、
そこで今までの事を一度白紙にして
走った時のややトルクが薄いことを優先して
キャブセッティングを大きく濃い方に
変更しました。

とっても普段納品しているセッティングより
一回り濃い程度ですが。

正直なところあまり期待しておらず
次の手を頭に描きつつ走ってみます。

そしてエンジンが暖まった頃に
アクセルを開けてみると、今までのことが
なかったかのように調子よく走ります。
完全に本来の調子です。

ここで私の過ち2点、
一つは人の言うことを優先し自分の体感を
後回しにしたこと。

もう一つはボコつきの現象で
キャブセッティングが濃いと判断したこと。

要はマフラー自体は過去に扱ったことのある
他社製品でしたが、当社のエンジンオーバーホール
したものに取り付けたことがなく
正確なデータがないにもかかわらず
その過去の印象のみで判断したこと。

最終的にマフラーも別のものも取り付けて
確認しました。
(どちらも当社製ではないショート管タイプ)

大きく違いはないもののやはりお客様の
ショート管よりも当社の持っているものの
方が相性は良いようです。

今回何が言いたいかといえば、
やっぱり良い部品も組み合わせや、
基本のセッティングが大切。

ただ組付けるだけでは
バイクはまともに走ってくれないのです。
そしてそれが解る店かどうか、
調子が悪いのか。本当にそれが本来の調子なのか。

今回のZ1や先に書いたGPZ900Rも
その辺の自称プロショップなら
調子悪いまま、こんなもんですよと言って
納品されていたことでしょう。













































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