今回もぜひ知っておいて欲しいことです(特に後半)

日記

今日から大分の方は雨続きの天気になるという事で
昨日は昼頃から夜の22時近くまでバイクに乗っていました。

雨になるとバイクに乗ってのセッティング出しや
テストができなくなるからです。

昼間のうちに上まで回さないといけない
音の出るようなテストは終わらせて、
夜になると近所迷惑になるので、そろそろと走り出し、
ゆっくり走るだけでよいものを確認という感じです。

遊びで乗っているわけではないのでとても疲れるのですが、
無事しなくてはいけない作業は完了しました。

今日ブログの更新の予定はなかったのですが、
その試乗中に頭に浮かんできたことを忘れないうちに
書こうと思います。

以前ちらっと書いたことがあるのですが、
私がビトーR&Dにいた頃は少し変わり目の時で
今売られている鍛造マグネシウムホイールの
マグタン販売開始、

ニンジャ系にボルトオンの41mmフロントフォーク
の販売開始、

そしてそれまでもラインナップもあった
カワサキZ系など多くの車種に使用する
38mmのフロントフォークの新しいロットを
製造しました。
(元になる新たなフォークが入庫し、それを
チューニングなど手を加える作業)

順番に話していくと、
41mmのフロントフォークはスプリングレートの
違うものを、私が教えてもらっていた
先輩メカニックの方と2人でビトーR&Dのデモ車に
組付け美藤社長に乗ってもらって確認してもらい
商品にしていきます。
何度か繰り返してOKが出たものが今売られている
JBカヤバ41mmフロントフォークです。

もう25年くらい前の事なので多少違う部分も
あるかもしれませんが、
スプリングだけを入れ替えるのではなく
確かスプリングレートの違うフォークが
用意されており、
フォークごと入れ替えてテストしていたような
気がします。

マグタンについてもそれまでテクノマグネシオ社から
買っていた鋳造のマグネシウムホイールを辞め、
社内で鍛造ホイールを加工するのための機械を
買ったりしながら社内でホイールを製作、
(私が作っているのではない)
出来上がったものをデモ車に取り付け、
テストをして商品ラインナップとして
加わった時期です。

私が独立してタサキチューニングを
立ち上げた時のデモ車、Z1000MK2と
GPZ900Rにも新たに出来上がったマグタンを
取り付けていました。
またこの両方にJBカヤバ41mmのフロントフォークを
組付けています。

当時カワサキZ系、ビトーR&D製アルミ削り出し
ステムキットとヘッドライトステーには
41mmフロントフォーク用のものが
ラインナップになく、
美藤社長にお願いして新たに41mm用の
ステムキット、ヘッドライトステーを新たに
作ってもらってタサキチューニングのデモ車
MK2に組付けています。

その当時、Zなどには38mmのフロントフォークで
充分という考えでしたが、私的には41mmも
使えるはずという考えがありお願いしたわけです。
Zは38mmでも41mmでもどちらでも
セッティング次第で良く走ります。

そして38mmのフロントフォークです。
今はきっと違うと思うのですが
当時は38mmのベースになるフロントフォークが
大量に入庫し、それをチューニングして
JBカヤバフロントフォークとしてしました。

内部の改造、外観のアウターチューブの
仕上げ変更、イニシャルアジャスターの取り付けです。

その内部の改造、外観の仕上げ変更を
なんせ大量にあるのでまさに朝から晩までと
いう感じで作業し商品化していました。
その頃の内部の加工やアウターチューブの
塗装など多く作業していたのは私です(笑)

今は塗装担当の人がいますから、
塗装が必要な場合、ホイールの塗装も含め
その方が作業していると思いますが、
その約25年前はメカニックが塗装も行っていました。

ですのでマグタンになる前の2年ぐらいの
マグホイールの塗装も私が塗っていました。

もちろんレストアやチューニング車両の
フレーム塗装から小物類まで、
外装の塗装以外は全て私が作業していました。

今ほど分業されていなかったので
メカニックですが、整備作業だけでなく
部品つくりなども含め結構いろいろ作業して
いました。
そのおかげで一通り何でもできるように
なったのですけれど。

マフラーもサイレンサーなど作っていましたね。
今と違い、まだアルミのサイレンサーも
商品ラインナップにある時で、
サイレンサーの筒はバフ掛けを綺麗に仕上げるのが
難しく、そのおかげバフ掛けも上手くなりました。

サル三サイレンサーは作ることに大変手間が
かかり、指で触るだけでも傷が入るぐらい
繊細でした。とにかく気を使います。

ある時社長が近寄ってきて「どう?」と聞かれ
「作るのは面倒ですね」と答えた記憶があります。
今考えれば、社員はそういうことは言わないもんだと
思いますが結構思ったことが口から出てしまう。
たしか「そうだよな」みたいなことを
言われていたと思うのですが。

普段社長と話すことは少なかったのですが、
下っ端の私でも話せば聞き入れてもらっていたと
思います。

話がそれましたが、大事なのはここから後です。

それらフロントフォークなどの商品を
新たに作る時、やみくもに作ることはありません。

まず大事にしているのは純正の数値や
過去のデータで、フロントフォークで
あればまず長さです。

例えば当時の38mmフロントフォークを
製作するときも、ベースにするフォークが
何ミリか短いものでした。
その時はイニシャルアジャスター側で
少しだけ長いものを作って組付け、
長さが合うようにしていました。

41mmのフロントフォークの場合では
イニシャル(あらかじめスプリングを
何mm縮めているか)をかける数値が同じであれば
スプリングレートによって人が乗った時の
沈み込みの量が変わってきます。

イニシャルのかけるmm数が同じであれば、
バネレートが高い(硬い)方が沈む量が減り
実際に組付ければ車体前側の車高が
高くなります。

子の車高が高すぎでも低すぎでも良く
走らなくなる。
簡単に言えば曲がりにくくなります。

したがってこの辺の数値がボルトオンでも
充分に良く走るように初期の出荷時に
設定して出荷されているものが良い。

当たり前ですがその人専用に調整された
完璧なものでないのは当たり前の話です。

そこでもう一つ大事な話。

当社のバイクも使っている商品でもないのですが、
以前雑誌の編集長に(取材時)出荷時の
あるメーカーのバネレートなどの調整は
もっと良くできるとやや上から言われたことがあります。
私も大人?なので軽く流しましたが
私はメーカー側の考えも解るので少々
「カチン」ときました。

あまりに現場の事を知らないからですね。
雑誌の編集長ともなれば、情報も多く
優秀なメカニックのいるバイク屋さんも選び放題、
メンテナンスも調整も、部品の選択まで
納得いくまで確認して微調整できる。
しかもお金も一般の方が払うほどには
支払う必要もない。

では現場、一般の方はどうかと言えば
そんな微調整や、細かいことが解るメカニックが
解る人など回りにはまずいない。

ひどい時にはオイル交換すらまともに出来ない、
あるいは修理に出しても治らず
お金だけ取られてしまうようなことも
数多くあるぐらいの世の中ですよ。

そんな状況なのにサスペンションのセッティングの
ような高度なことができる人がどこにいるのか?
旧車のキャブセッティングをきちんとできる人が
どこにいるのか?
そもそも旧車になればまず本来の調子にしたり
レストアするだけでもなんぼかかると思ってるの?

そんなどこにでも優秀な人がゴロゴロいるのなら
どのバイクでも乗り易くて、トラブルがなくて
誰も困りゃしない。現実を見てみろっつうの。
なんて考えが一瞬にして頭に浮かびます。

そしてまともなメカニックは忙しい。
頼んだところで時間もかかるっての。
取材でもなけりゃ優先してくれないって。

では私の考える良い商品とは?

それは難しい調整なしで、多少車体の
その他の部品とのバランスが悪くても
そこそこきちんと走るもの。

メンテナンスも特別なことをしなくても
一般のバイク屋さんでオーバーホールを頼めば
きちんと完成できるもの。

確かに乗る人、乗り方に合わせて
スプリングレートの設定や、mm単位の調整、
1クリックの調整ができるのが理想的です。

ですがそれができる人が回りに殆ど
いないのだから。

では商品を作る側はどういう考えで
物を作るか?

理想ばかり言っていても始まらない。
まずは基本純正の時の数値を参考にして、
乗る人の技術、体重、体型、
使い方が少々違っていてもそれなりに
良く走る商品。

フロントフォークであればリヤサスの影響を
大きく受けます。

多いのはリヤの車高が高い、サスが硬い、
ダンピングが効きすぎ、
そうなるとフロントフォークの負担が
大きくなり、スプリングレートは高めのものが
必要になることが多いですね。

でもフロントフォーク自体はそれなりに
高価な物。

フォーク買ってさらに工賃を払って組付け
さらに細かいセッティング代、
部品代を一度に払える人がどれだけいるか。

そうなったらとりあえずポン付けで
それなりに、純正より走ってくれて
値段もそんなに高くないほうが良い。

当社の取り扱う車種についてのみの事しか
解らないのでその範囲内の話ですが、
リヤサスのオーリンズ。
(フロントフォークは使うことがないので
解らない)
最近はラインナップも減り、一品物でも
作ってくれる他のメーカーの物を使う事も
増えましたがここ10~20年ぐらい
使ったものはそういう無難なものをだしてくれて
いましたね。
ただフリクションが減ったせいかオイル漏れが
早めに出たものはありましたが。

では社外ショックや足回りに手を加える時
どうすればよい結果が出るのか、
あなたのまわりに1クリックまで調整してくれる
信頼できる凄腕メカニックがいるのなら
その方に相談して物事を決めるのが良い。

でもほとんとの方にあてはまる
凄腕メカニックが回りにいないあなたは、
純正の数値から大きく変わらない車体姿勢に
なる商品をまず選ぶ。
そして可能ならそれをベースに調整をする。
そうすれば元々より乗りにくくなった、
なんてことは起きない。

メーカーが同じだからと言ってよい商品とは
限らない。昔カヤバの2本ショックで
ノーサスのようにめちゃくちゃ硬い商品も
ありましたね。
(ビトー製ではない)

買ってきた商品にバイクを合わせるのではない、
バイクにあった商品を選ぶことが
ノーマル良り確実に良く走るバイクに仕上る
秘訣です。とにかくまずは前後の姿勢ですね。

サスペンションの基本は動かないものが
偉いのではなくすっと縮んですっと伸びる。
そしてそこから調整です。

それと特にフロントフォークは新品の時、
オーバーホール仕立ての時と、
しばらく走ってからは動きが違って当たり前ですので
できればその時に再調整するほうが良いですね。






































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