今買いのカワサキZ系

日記

今現在買いのカワサキZ系は何かについて
書きたいと思います。

それは言い換えれば同じ金額であれば
内容の良いものが手に入るということです。

ただ、整備をしていないZはただの古いバイクで
まともに走りません。
Z1のデビューは1970年代初めで
もう50年以上経っているのですから。

その50年以上前のバイクをまともに整備できる
人間も多くいるわけはありません。
ここの部分ははっきりと言っておきたいと
思います。

時々、ショップさんからも
整備についてアドバイスが欲しいと
問い合わせがありますが、
そんなこともできない(知らない)で
エンジンをばらしているの?
と感じる事もあります。

個人の方ならまだしも、
お客さんからお金をいただいて行う
仕事としては問題があり、
もっと下調べと準備が必要なのでは
ないかと思います。

結論を先に書きますが今現在お勧めするのは
断然Z1000です。年式的には
1977年前後ぐらいでしょうか。
では理由を回りから説明します。

まず、Z2、Z750FX、Z750FOUR、D1などの
ショートストローク系から。

Z系はカワサキZ1がすべての始まりですが
このバイクは66mmストロークの
クランクシャフトが使われています。
カワサキZ系は本来こちらが設計の本流です。
それに合わせて各部品が作られています。

先に書いた750ccのZ系は当時国内基準の
750cc内に排気量をおさめるため、
クランクシャフトがZ1系の66mmから、
短いストロークのクランクシャフトに
変更され、同時にピストンのボア径も
変更されています。

そして変更されなかったのが
ヘッド回りで、バルブや、ポートの大きさ
などは同じ、750cc系もZ1やMK2系は
基本部分のそれら部品寸法は同じに
なっています。

国内仕様の750ccを作る時に
クランクシャフトまで換えてまでと
褒められることが多いですが、
大事なのは実際の走りはどうなのかと
いう点です。

販売当時は750ccというだけでもすごいと
言われた時代でしたが、
今乗るとなってははっきり言って遅く、
重い車重で思うように走るには不十分と
言えます。

車重、車格が同じところに
750ccにデチューンされているので
当たり前ですね。

ただ昔は今とは交通事情が大きく違っており
道自体がもっと空いてました。
つまり今みたいに止まって、スタートしての
繰り返しではありませんでしたね。

遅いと感じるのはゼロからスタートして加速、
という時が一番で、その次に上り坂など
ではないでしょうか。

田舎道を止まることなくひたすら流して
走る時ならまだしも、今日本の道を走るなら
もっと走って欲しいと思うのではないでしょうか。

その一番の要因がトルクが不足ですね。
先程書きましたが、元々カワサキZ系は
あくまで66mmストロークのクランクを使った
エンジンメインで考えられて作られたものです。
ですから同じ車格のまま750ccにダウンした
ショートストローク仕様は走りが落ちて当然です。

それでボアだけ広げるためのピストンキットが
当時も今も売られています。

私も750cc系のショートストロークの
クランクシャフトは変えずに
1000ccぐらいにボアアップして、
圧縮比も純正より高めたものを作ったことが
ありますが、同じ排気量なら66mmストロークの
クランクシャフトの1000ccの方が良く走ります。

ではZ2、Z750FX、Z750FOUR、D1の
クランクシャフトを66mmストロークものに
交換すればいい、という話になるのですが
そうなると新たに必要になるクランクシャフト代、
もちろんそれに合わせたシリンダー、ピストン
なども用意しなくてはいけなくなるので
費用がかさみます。

つまり予算があるのなら全く問題ない。
今回書きたいのは、そう言うことではなく
高くなってしまったカワサキZ系で
なるべく購入費用を抑えつつまともなZを
手に入れるためには?という話ですから、

クランクを換えてライナー打ち換えボーリング、
上面面研、それにピストン代ということは
避けたい。
それだけでかなりの費用が掛かります。
その費用を他の整備やレストアにまわせば
それだけでかなりのことができますね。

次にセッティングのしやすさ。
今はFCRキャブレターなどのセッティングが
容易で面倒なことがない高性能キャブがありますが、
CRキャブレターを使う場合
750ccと900cc、1000cc物を比べた時、
圧倒的に900cc、1000ccの方がセッティングが
出しやすい。

キチンとしたオーバーホール直後ならまだしも、
コンデションが下がったエンジンなら
なおさら750cc物の方は難しくなります。
その結果、ボコつきを減らすために
やたらと薄いセッティングになり、
元々走らない750ccがさらにトルク不足で
全くダメということになったりします。

さらに、当たり前のように行うマフラーの交換。
通常マフラー交換で抜けが良くなって
吸い込む量が増えて普通なら走りも
良くなるものですが、
Z系社外品マフラーも66mmストロークの
クランクシャフト物の方がだいたい相性よく、
750ccのショートストロークものでは
さらにトルク不足になったりしてしまいます。
その結果400ccより遅いなんて
厳しいことを言われたり。

これは旧車バイクとZを愛する身としては
少々腹が立ち、本当はそうじゃないと
言いたくなります。

そしてピストンキット。
良いピストンキットは殆ど66mmストローク用で
作られています。
ちなみにショートストローク用と66mmの
ストローク用はピストンピンから上の寸法が
違いますから全く別のものです。

今でもショートストローク用のものが
売られていること自体が人気車種であることの
証ですが、ピストンキットを購入し
シリンダーボーリングをするということであれば
エンジンをオーバーホールする
ということだと言ってよいと思います。

せっかくお金をかけてピストンを換えて
ボーリングするならライナーを打ち換えて
ボーリングするほうが良い。
つまりそうなればよいピストンキットのある
66mmストローク物の方がお勧め、
となります。寿命は鍛造ピストンの方が
長持ちします。

これ等のことが解った上で、それでも
Z2、Z750FX、Z750FOUR、D1の中から
どうしてもZ系を買いたいとなればどうか?

まずこの4車種の中であれば一番車重が軽い
Z2が一番走りは良いのですが、
とても金額が高い。今買って整備費用まで
用意できる人はかなり少ないでしょうね。
したがってZ2を手に入れる所で精一杯、
きちんとした整備まで出来ない、
となることがほとんどです。

FX750、D1は重い。しかもFX750も高い。
Z2同様車体を買うだけに終わりそう。

Z750fourは数が少ない。そして安いかと言えば
数が少ないからか、そうでもない。
どうしても欲しいなれば止めはしませんが
殆ど出てこないし、走りの割には高いし
数が少ないから状態の良いものを選べない、
(つまり整備費用が高くつく)ので
本当にZ750fourだけが欲しい人以外は
薦めない。しかもZ2仕様に改造されて
いるものも多い。

つまりこれら750cc系は予算が充分に
確保できる方以外はお勧めしない。

では設計の中枢所の66mmストローク物
Z1、Z900、Z1000、Z1000MK2は?

Z1は名車ということで間違いありません。
沢山売れているので台数も多く出てくるので
それも良いところなのですが、
価格はそれなりに高め。数は多いのに
欲しがる方も多いので全く安くはなっていない。

また、Z1はエンジンの
バルブガイドの材質がZ1000などの
後期物と違い減りやすく、
また後期物に比べ振動も多いので
全体に消耗してしているものが多い。
つまり過去にしっかりとした
フルオーバーホールなど行われていなければ
納品時にエンジンを全分解して
フルオーバーホールが必要な場合がほとんど。

車体もトラブル少なく乗りたければ
初期物ゆえのいまいちな箇所も多いため
電装系、足回り、すべてにZ1000などの
後期物より対策、改良が必要な箇所が多い。
つまり、手間と部品代と時間がかかる。
その分高くなる。
またフレームにクラックの入りやすい
箇所もある。ですので予算がそれなりなら
整備を終わらせることが出来ない。

世の中にトラブルの情報だらけなのは
最初の整備が不十分なだけです。

それでも低予算で無理に買えばトラブルに
連発で会うことになる。
それはZ1が悪いのではなく整備の予算が
足りなかったり、整備した店の問題です。

次にZ900、このバイクはZ1000とZ1の中間の
バイクとなります。

エンジンはZ1寄りで振動が多め、
消耗しているものが多く、
エンジンオーバーホールが必要なものが多い。
少なくてもエンジンの全部ばらしての
点検は必須。

また車体もZ1ともZ1000とも違うのですが
外観は同じように見えてもZ1000とは違い
過渡期のバイクとも言えます。

構造的に?と思われる箇所があり
それらを問題なく乗れるように改善すると
意外と手間がかかったりする。
つまり費用がそれなりにかかる。
また、整備しにくい箇所もある。

車体の価格はこれまたZ1とZ1000との
中間ぐらいになることが多く、
つまりきちんとしたものにして納品しようと
すると、それなりに手間がかかって
費用が掛かるため、Z1より安く買えても
整備しているうちにZ1に近くなっていくため
ベース車両が安く買えていないと
わざわざZ900を選ぶメリットが(価格面で)
なくなってしまいます。

そして今当社が一番薦めているZ1000。
価格の面では、Z1、Z900、Z1000、
Z1000mk2、Z1-Rの中では一番買いやすい金額。

ただベースにする車両が安いからと
お勧めするわけではありません。
状態が良いものが多く、
部品の変更少なく済み整備に集中できるという
ことと、乗っても良いというメリットが
あるのです。

まずフロントフォークの構造がMK2同様
一般的なものになっており、
オーバホールなどの整備作業がしやすい。
Z900などは整備作業がしにくいタイプの
ものがあり、作業時間が違ってきます。

作業時間で無駄が減ればその分
販売価格を抑えることができます。

Z1000は前後がディスクブレーキに
なっています。
フロントブレーキがシングルのままの
場合もあります。
出来ればダブルディスク化したいところですが、
どうしても予算が足りない時には
Z1000のリヤディスクブレーキを
ノーマルステップで使えば
Z1、Z900系リヤドラムブレーキよりは
断然扱いやすく効きが良い。

ですから、そのままでも乗れないことはない。
こういうところはスズキのGS750などでも
同様です。この時代のリヤブレーキは
ノーマルステップを使う時はレバーの
テコが効きます。

ステップはリヤブレーキの効きを
優先するのであればノーマルでも良いが
リヤがディスクブレーキ化されているので
ライディングステップキットを
良いものに交換することもしやすい。
(位置によってはサイドスタンドの
スプリング位置を変更する必要がある)

良いライディングステップキットは
ギヤシフトの精度が上がるので
シフトチェンジがスコスコしやすくなる。
カワサキZ系のノーマルステップも
整備されていれば悪くはないのですが。

電装系も大きくトラブルになるような
箇所はなく、程度が良い車両があれば
メインハーネスが再使用できるものも
あるぐらい。
充電系をチェックして、悪ければ交換し
合わせてレギュレーターを今のものに
すれば問題なし。

そしてエンジン。
エンジンはZ系最終型に近いものですから
最初から色々対策されている。
摩耗の少ないバルブガイド。
振動が少ないウェブ形状66mmストロークの
クランクシャフト。
クランクケース剛性も高いタイプが使用されており
エンジン全体が消耗していないものが
圧倒的に多い。

過去のエンジン整備履歴が解らないのが
当たり前なので、エンジンを全部ばらしての
点検整備は必須ですが、
分解し測定してみると純正ピストンが再使用でき、
ピストンリングの交換で(純正部品がまだ
でます)調子よく乗れる状態に出来ることが
とても多い。

ヘッドもガイドが減りにくいタイプのため
バルブシートや、バルブ自体もへんに摩耗したり
していることが少なく、シートカットすり合わせの
作業時間が少なく済むことも多く、
バルブも交換する必要がないことが多い。

これがZ1系であれば、バルブガイド交換、
バルブ交換は当たり前。
シートカットすり合わせもそうなると
とても手間がかかります。

またヘッド回りも肉厚になっており
熱に対して強く、歪みにくくなっている。
つまり納車後のオイルにじみなども
ないわけではないですが少ない。

そしてZ1000の過去オーナーの使われ方が
Z1系に比べ圧倒的におとなしめのものが
多いですね。つまり状態が良い。

Z1の方が飛ばして負担のかかる
乗り方をされているものが圧倒的に多く、
Z1000は飛ばさない人が割合的に多い。
そのおかげでフレーム含めた車体も
エンジンも傷みが少ないものが多いのです。

その分整備のために必要な部品交換の量、
手間が減ります。
その分同じ金額なら他の部分の整備に費用と
時間が回せる。

ただ改良されている分、各部品が重くなっています。
Z系にもそれのせいで走りが悪くなっているものも
ありますが、Z1000と、Z1000MK2は
車重が増えていても走りが悪くなっていない。
バランスが良いからです。
通常重くなると駄馬になってしまうのが
普通ですがZ1000は駄馬になっていない。

車両には多くの部品が使用されており、
どこの部品が重くなるかにより
乗り味が極端に悪くなる場合もあります。
それがZ1000とMK2ではそういうことがなく、
乗って安定しており、きちんと整備されたものは
曲がりにくいこともなく実に乗り易い。

特にZ1000はリムの幅を広げたりしていない
純正サイズのスポークホイール、
ノーマルタイプのアップぎみのハンドルと
あんこ抜きをしていないシートで
ぜひ乗ってもらいたい。
一般道をヒラヒラと走り、じつに快適に
気持ちよく走れます。

そしてエンジンのレスポンスについて。
Z1000のクランクシャフトの形状は
MK2とも違い、円形になっています。
つまり一番重くなる形状です。
通常こうなるとアクセルの開け閉めに
大してレスポンスが悪くなり、
乗っていてダルになり、楽しくなさそうですね。

ところがそうはならず
低回転域から中回転域の半分ぐらい
までの反応が実にアクセルの開け閉めに対し
実に忠実で心地よいのです。
MK2とも感じが違います。
ジェネレーター回りの構造が違うからかも
しれません。

ということはどういうことなのか、
つまり、それ程飛ばさないがZ系の良さで
あるトルク感を感じながら走りたい、
という方にはとても相性の良いバイクなのです。
ただ純正のマフラーは抜けが悪いので
交換したほうが良いのと
キャブレターは換えた方がよい。

それとマフラーとタンデムステップを兼ねた
フレームのステー形状です。

もしそこの部分の形が好きではない方は
そこの部分だけZ1タイプのものに変更可能です。
ただそれについては切断も面倒ですし
溶接もしにくく、塗装も必要になるので
その分の予算がプラスで結構必要になります。

Z1000は程度の良いものが多く、修正や
改良しなくてはいけない箇所が少なく、
現時点ではZ系の中ではベース車両が
比較的入手しやすい金額。
数も多くはないが入手困難というほど
少なくはないので、状態を選んで入手できる。

また乗ってもバランスがよく
Zらしさを満喫でき、整備をきちんと行えば
納品後のトラブルも少ない。
今現在断然お勧め、買いのZ系です。

予算的にはレストアをしないもので
きちんと走るように整備されたものが
300万円(税込み)から、
400万円で部分的にレストア車が購入できます。

今回は今、買いのZ系について書きました。
予算が存分にある方は750cc系でもMK2でも
もちろん良いのです。

人によって価値を感じるものは違います。
理屈で本質的に価値があるかどうかというよりも
人はそれぞれに思っている価値があると
感じるものにお金を払って手に入れているのでは
ないでしょうか。

カワサキZ系はDUCATI900ss、GSXR系より
今は高い買い物です。
多くの人が価値を感じる前に手に入れれば
費用面の負担は少なく済みますね。
Z1000はそれほど飛ばすようではないという方に
今買うなら断然お勧めのZです。

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