販売車両についてご報告を。
DUCATI900ss、ホンダCB1100Fは売約済みとなりました。
購入していただいたN様、O様ありがとうございます。
前回の3から間がかなり空いてしまいましたが
クランクケース下側の整備が終わって
上側の組みつけに入ります。
このGSX750E製作時は写真を普段より
多く撮っていたみたいなので、写真多めです。

ミッションの位置決めのCリング。
重要な部品です。

Cリングはクランケースにこのように組付けます。
Cリング端面を黄色く塗っているのは
次の写真で紹介していますが
ミッションを組んだ後でもCリングの
組み忘れがないかチェックしやすくするためです。


こんな感じでミッション組付け後も
Cリングを入れ忘れてないか一目見て
解るようにしています。
なんせ人間なんでミスをする前提で
どうしたらそれが防げるかという考えです。
組んだ後で少しでも不安があった時
写真ですぐに確認できるように
ということですね。

ミッション組付け後です。
ミッション自体の分解整備は
整備レストア模様紹介2で紹介しています。

シールが外に出てこないようにするための
プレート上のCリングです。

この様に組付けます。
今回は新品が出たのでそれを使用していますが
再メッキしたものを再使用でOKです。

クランクケース合わせ目のオイル通路部に
使用するオーリングです。

このオイルジェット部に使用します。

ノックピンをクランクケースに取り付けます。
このGSX750Eはクランクケース合わせ目の
ノックピンの数が他の空冷エンジンより多いので
忘れないように。
通常は2個が多いですね。



この様に4本使われています。
今回新品を使っている箇所もありますが
ノックピンは状態が良ければ再使用で
かまいません。

整備レストア模様紹介3の方でクランクシャフトや
カムチェーン回り組付け模様を紹介していますが
再度写真をのせます。


以前書いたことの繰り返しですが
ご覧の様にウェブ部分がボルト止めという
今では考えられない構造です。

このスタッドボルトはミッション
付近で使用します。

ここに先ほどのスタッドボルトは使用されています。

あらかじめ用意していた
クランクケース下側のボルトです。

こちらはクランクケース上側のボルト達。
クランクケース上下を組み合わせる際、
スムーズに作業できるように
上下に分けて準備をしておきます。

組み忘れがないか最終チェックします。
シフトフォークがスムーズに
ミッションの溝に入りやすいように
ニュートラル状態にしておきます。

クランクケース上側も最終チェックします。
シフトフォークもニュートラル状態に
しておきます。



クランケース合わせ面に液体パッキンを塗り
組みつけます。
クランクケースを組みつける時のみ
あらかじめ液体パッキンは
使う前にきちんと固まるかどうかを
毎回確認しています。


オイルフィルター内にも
ボルトがあるので組み忘れがないように。



クランクケースの組みつけが終わりました。
これからこの液体パッキンのはみ出た部分を
取り除きます。
これは機能的にはしなくてよい作業ですが
見た目が好きではないので。

色が変でピンボケですが液体パッキンを取り除く前。

取り除いた後。

取り除く前。

取り除いた後。液体パッキンは半渇きの時が
綺麗にとりやすいのでそのタイミングで
行います。

クランクケース上下組付け完成。





この写真はクラッチハウジング奥の
写真です。


オイルが流れている箇所なので
こちらのガスケットとプレートを組みつけていきます。

皿ネジが使用されていますが
弱めのねじロックを少し塗っておきます。

プレートとガスケットを組みつけました。
黄色チェックは締めてますの意味で。

クラッチハウジング奥のワッシャ。

プレートとワッシャを組みつけ。
ワッシャなどには薄くグリス塗っておきます。
右下に見えるギヤはオイルポンプを
駆動させるためのギヤです。

オイルポンプ駆動のための部品を組みつけていきます。
まずカラーを組付け。

カラーに取り付けるベアリングです。

カラーにグリスを塗ったベアリングを
組みつけました。

オイルポンプ駆動のギヤを組みつけました。

クラッチハウジングのスペーサーに
取り付けるベアリングです。

スペーサーを組付け。

ベアリングをスペーサーにグリスを塗って組付けました。

クラッチハウジングの裏側です。
クラッチ操作時のショックを受け止める
スプリングがついています。

この部分にそれほど意味があるのか解りませんが
ゴムのクッションが入ります。
カワサキ車などにはこのような部品はありません。

この小さなゴムの部品です。

この様に組付けます。
このキー溝にオイルポンプ駆動のキーを
はめ込むように組付けます。

写真では見えませんがオイルポンプ駆動のキー溝に
クラッチハウジングのキーがはまるように気を付けて
ハウジングを組付けました。

表裏のあるワッシャです。
写真は裏面でおそらくこの溝を
オイルが抜けていくようになっていると思います。

先程のワッシャの表面です。

ワッシャを組付けました。

クラッチハブです。
問題があるので修理します。
リングで抜け止めされている
いちばん奥のクラッチプレートは
問題ないためそのまま再使用します。

この部分にクラックが入ってしまっています。
一度削って溶接して、タイムサートを入れて
修理します。

一度削った後に溶接修理し、
タイムサートを入れる前の加工が終わったところ。
細く見えますが、雌ネジ側の加工を
行ったためそう見えるだけで、
外径はほぼ同じになるようにしています。

タイムサートを入れました。
タイムサート、ヘリサートは場所により
使い分けます。

クラッチハブを取り付けました。

クラッチハブを固定するセンターナットの
緩み止めになるロックワッシャです。

ロックワッシャを使用してナットで締め付け。
カワサキ車と比べ締め付けトルクが低い
設定となっています。
今の所当社の納品したものでこちらのナットが
緩んだことはありません。

点火系の機械式アドバンサーを
分解して整備します。


全体に状態が良いのが解ります。
清掃してグリスアップして組付けます。

分解整備が終わりました。

再メッキしたボルトにねじロックを
塗って規定トルクで締め付け。

一旦エンジン右側の作業は終わって
左側に移ります。

スタータークラッチの整備をします。
これは外側。
状態が良いので内部の部品のみ交換します。
部品自体は欠品です。

裏側。写真では説明が難しいのですが
状態が悪いとプレスしてあるプレートなどが
浮いて来たり、プレートに深めの傷が入ってきます。
バッテリーが弱っていたり、
セルモーターがへたって力がない、
キャブやエンジンが悪くて始動がすぐに出来ず
セルモーターを長く回していると
この部品が傷みます。
当社ではこのセルクラッチの寿命が
少しでも長くなるように
始動性ができるだけ良くなるような整備を
心がけています。
どこか一つ良いということではなく
指導に関係する部品が全部よくないと
そうはなりません。
ただ、始動手順が間違っていたり、
そもそもインジェクション車しか
上手く始動出来ないという苦手な人は
何をやってもダメな場合もありえます。
それはバイクのせいではありません。

こちらはスタータークラッチ内部部品の
ローラー、スプリング、ピンになります。
この写真は元々ついていたもの。
すべて欠品の為、他メーカーのスプリングと
ピンを今回は使用して交換しました。

ジェネレーターのローターと
スタータークラッチとの間に入るプレート
そしてスタータークラッチを固定するための
ボルトになります。
車種によってはプレートがついていないものも
あります。

ローターにプレートをのせます。

写真では解りにくいですがよく脱脂した上で
ねじロックを塗ります。

スタータークラッチをローターに
先程のボルトを使って組みつけました。
このボルトは緩む可能性があるので
しっかり規定トルクで締め付けます。
ボルトも伸びていたりすることもあり
その場合は交換します。

内部部品を給油してから組付けます。

ピンとスプリングをまず組付け。

ローラーまで組付けました。

スターターのギヤになります。
軸部分にはベアリングが使われていることが
多いですが、このエンジンはブッシュタイプです。

スターターギヤは全く傷んでおらず
再使用で問題ありません。
軸部の外周の状態で判断できます。
傷んでいる時はこの部分に深めの
スジ(傷)が入ります。

クランクの軸にグリスを塗ってから
先程組付けたローターASSYを組みます。

元々使用されていた写真左側の純正ボルトは
あまりよろしくないので別車種のものに変更します。

こちらもボルトを脱脂してからねじロックを塗り
規定トルクで締め付けました。
ローターの回りに少し見えるのは
締め付けの際に使う回り止めの特殊工具です。

ギヤの部分を手で回して違和感ないか
確認しておきます。

ジェネレーターカバーのノックピンです。
カバー自体は後で着けるのですが
忘れないようにするために先につけておきます。

ノックピンを取り付け。
ジェネレーターカバー部分は
カワサキ車は2本、スズキ車は1本が多いですね。

整備レストア模様紹介(1)で準備済みの
ピストンを組みつけます。



同じくノックピンを入れときます。
ピストン組みつけの邪魔になる時もあるので
もちろん後でも構いません。

シリンダーに問題ないか最終チェックし
1番から4番、再清掃したあと
ライナー内にエンジンオイルを塗ります。
後の作業がしにくくなるので塗りすぎないように。

シリンダーベースガスケットです。
今回は純正品。

ガスケットを取り付けました。

シリンダーを組みつけます。
特殊工具などは使わず手で行います。
慣れていますが慎重に。

シリンダーまで組付けました。
今回はここまでです。

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